ONEPIECE 空の王者が海を征す   作:魔女っ子アルト姫

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空の王者、竜と対峙する

夕日に照らされる砂漠に立つ二人の男、灼熱の砂漠は冷え切った大地へと変わろうとしている最中沈もうとする太陽に照らされた影は獰猛な竜の姿を映し出した。低い唸り声を上げながら相手を牽制するように威嚇する竜、今にも相手へと襲い掛かろうとしている。

 

「空の王者か、そりゃいい。なら王様よ、暴君のパワーを持ったこのディーロを味わっていけよ。サービスしてやるぜ?」

「御免蒙る、俺はノーマネーでな。タダより高い物は無いっていうぜ」

「善意だ。さあ味わえ!!」

 

胸の前で拳をぶつけあったディーロの姿はどんどん変化して行く、先程のディアブロスの形を身体に溶け込ませているかのような鎧を纏っているかのような姿。人獣型へと変形していく。頭部の角は両肩へと移動するかのようにしながらもその凶暴性を保持し続けている、レウスも人獣型へと変化し左腕の竜の頭を相手へと向ける。

 

「ヘぇ面白いな、お前は左手に頭が付いてんのか」

「御気に召したかな」

「ああ、てめぇの腕剥ぎ取ってコレクションにさせてもらうぜ!マサクルチャージ!!」

 

姿勢を低くしながら肩の角を此方へと向けるとそのまま強靭な足で地面を蹴り凄まじい突進力で直進してくる。かなりの勢いによる突撃はかなりの威圧感を相手を与えながらその角で相手を貫通せんと迫って来る、それを喰らう物かと軽く回避するがディーロはすぐさま方向を転換すると跳躍するようにレウスへと迫った。

 

「転換衝方!!」

「があっ!!」

 

確かな手ごたえを感じ取ったディーロ、急激な方向転換には多くの相手が対応しきれてこなかった。こいつもかと思ったがレウスは竜頭にて突き刺さる寸前の角を噛み付くように受け止めていた。それでも突進をやめようとしないディーロは笑い声をあげる。

 

「止めるかいやるねぇお兄さん!!」

「どうも!!毒浴!!」

 

超至近距離からの毒蹴りを加える、腹部へと炸裂したはずだがディーロのスピードが全くといっていいほど落ちない。そのままスピードを維持したままレインベースへと向かい続けていく、このままでは拙いと思ったレウスは竜頭から火球を爆発させるように発射しその爆風で相手と自分を吹き飛ばし何とか距離を取る事に成功した。

 

「カカカッ!!!火ぃ吐けるのか、コリャ羨ましいなぁおい!!」

「(こいつ……ピンピンしてやがる……!!)」

 

大声で純粋にレウスを羨ましがっている彼に少し嫌気を感じる、出来れば体力を残したいと思ったがそんなことを思っている暇などなさそうだ。本気でやるしかない、翼を広げ宙へと浮き上がりながらディーロの懐へと飛び込みながら火球を連発する。

 

「ハッハッハァ!!いいねえもっと打って来いやぁ!!」

「お望みのままに、喰らいやがれ!!」

「むっ!?」

「焔ァ!!」

 

その懐へと飛び込んだレウスは先程まで火球を放ちその影響で非常に熱くなっている竜頭を構えながら、それを深く腰をいれながら胸へと叩きこんだ。ジュウゥ!と熱によって焼ける音が耳へと伝わるのを感じなが更にそれを押し込んでいく。

 

「いいねいいねえ、だけど俺に熱は利き難いんだぜ…?」

「知るか!火射蛇(ヒーター)!!」

 

高熱と化している竜頭を今度はディーロの頭部へと噛み付かせそのまま一気に火球を放射状にして吐きだす、ゼロ距離で浴びせ掛けられる超高温の炎。流石のディーロもこれは利いたのかうめき声を上げながら暴れるようにレウスに何度も拳をぶつけて振り解く。

 

「如何だ、ちったぁ利いたか!!」

 

幾ら炎に強いと言ってもこれには耐えられないと踏んで使ったが効果はあったようだ、ディーロは炎の熱さに苦しみながら砂を撒きあげながら消そうとしている。ディアブロスはリオレウスと同じく火に対して耐性を持つ竜だが流石に超高温の炎を常に浴びせ掛けられるのは駄目なようだ、攻略の糸口を掴んだような気がした。だが次の瞬間にレウスは焦った、奴が消えている。

 

「何何処へ……。し、しまったディアブロスって事は?!」

―――遅いぜ!!!

 

地面が揺れると共に周囲に響き渡る轟音、思わず地面に手を付いてしまうほどの揺れが起こっている。まるで地震が起きているのかと疑ってしまう、飛び立とうにも地面の揺れのせいで全く飛び立つ事が出来ない。目の前の地面からディアブロスが現れその巨体で自分を吹き飛ばした。

 

「砂隠・巨飛!!」

「―――っっっ!!!」

 

腹部からまともに受けてしまったレウスは血を吐き出しながら空へと吹き飛ばされる、ディアブロス最大の脅威と言えばその角と異常なまでの突進力。その破壊力は常人離れしている狩人ですら易々と葬る威力を持つ、ワザと砂を撒き上げて自分の姿を隠しディアブロスへと姿を変えて地面へと潜り地面からの強襲を掛けた。重力に次第に引っ張られたレウスは落下して行くがそこへ更なる追撃が襲い掛かった。斧のような尻尾が振るわれてしまった。

 

「ゴハァッ!!」

「どんなお味だい、暴君の力はよぉ!?」

「……!!!効く、ぜ……!!!」

「ハハハハハッ!!さあこのままお前を殺してやるぜ、そしてあのカニもなぁ!!!」

 

鋼鉄のハンマーで殴られたかのような凄まじい衝撃と痛みが全身を貫いていく、当たる寸前に竜頭で尻尾の一撃を防いだと言うのにこの破壊力。直撃したら間違い無くアウトになる、威力に顔を歪める。苦しんでいるレウスの姿を見るとディーロは笑いながら再び地面へともぐって行ってしまう。こうなると此方からは手を出しづらくなってしまう、それでも地面からの強襲は避けたいと飛び上がり完全竜化する。

 

「出てきやがれ!!」

 

ディアブロスは潜行中は爆音に弱いと言う事を覚えているレウスはそこら中に火球を打ちこみ始める、次々と放たれていく火球は砂漠の砂を焼いて行きながら爆音を巻き散らして行く。打ちこんでいく内に地面に現れている砂煙がどんどん移動しているのを理解した、あの下に奴がいるのだと理解しそこへ合わせるように火球を打ちこんでいく、するとそこからディアブロスが勢いよく飛び出し空中の自分目掛けて飛び掛ってきた。

 

「煩いんだよぉ!!!」

「そりゃ悪かったなぁ!!」

 

地面にいる間は何も出来ない相手の領域だが空中の此方の領域、幾らでもやりようはある。地面でかなり助走を付けたのか空中のレウスにも届こうとする程の勢い、だが相手の翼はそれほど飛ぶには適していない為空中での姿勢制御はあまり出来ない。対するリオレウスは空中でこそ真の力を発揮する竜、飛び掛ってくるディアブロスを回避すると背後に回りこむと尻尾へと喰らい付いた。

 

「いってぇええ!!!?」

「ぐぅ、重い……!!」

 

ディアブロスの巨体を尻尾に喰らい付いた口だけで支えるのも限界がある、そのまま一気に降下し勢いを付けて地面へと叩きつける。その衝撃で立派な角の一本がへし折れるとレウスは一気に畳み掛ける、首に力を込めて相手を一気に持ちあげ空へと放り投げる。

 

「うおぉぉおお!!?」

「空の王者、舐めんじゃねえぞごらぁああ!!!」

 

怒りの一撃、先程自分がされたように落ちてくる所への狙い打ち。身体を回転させその勢いで加速する尻尾を相手の喉元へと叩きこんだ。

 

「がぁっ……!……!!」

「おおおおおりああああああ!!!!」

 

喉元へと炸裂した一撃、重く硬い攻撃は先程レウスが受けた尾撃にも劣らない破壊力を生んだ。更に強く地面を掴み身体全体を更に回転させてより深くまでダメージを刺さらせる、ディーロはその一撃によって血を巻き散らしながら地面へと沈む。

 

「はぁはぁ……誰を、殺すって……!?ざけてんじゃ、ねえぞ!!!」

 

怒りのままにディーロの喉元へと喰らい付くリオレウス、牙や肉を切り裂き骨へと到達する。バキバキと骨を砕くかのような音が周囲に響く、そして遂にディアブロスの命の鼓動が止まったのを確認すると勝利の雄たけびを上げるかのように空へと身体を起こし大声で叫んだ。

 

「か、勝った……はぁはぁ……疲れた……」

―――へぇ、そりゃ良かったな。

「ッ!?」

 

満身創痍の中、痛みに耐えながら竜化を解除すると自分の勝利を祝うような声が後ろから響いた。振り向いて見るとそこにはもうまた別の竜が鎮座していた、それを形容するとすれば原始的な竜。黄色い外殻に青の縞模様を持ちながらその身体は極めて強靭にしてしなやか、四本足で地面で立ち前足には自分と比べると小さいがしっかりとした翼があった。絶対強者轟竜ティガレックス。それが此方をジッと睨み付けていた。

 

「あーあー俺の弟分をよくもやってくれたなお前さん、中々強いな」

「……そりゃ、どうも……」

「不出来な弟だがそれでも俺の弟なんでな、一発やらせて貰うぜ」

 

ティガレックスは身体を丸める、そしてそのまま一気に回転すると鋭い棘のような強靭な尻尾をレウスへと叩きこんだ。ディアブロスの一撃とはまた違う破壊力の一撃に血反吐を吐きながら吹き飛ばされる、そのままレインベース近くまで吹き飛ばされてしまった。血を吐き出すレウスへと近づくティガはボロボロとなったレウスを見ると軽く笑う。

 

「お前も竜なら俺を追ってみな。これからアルバーナに行くんでね」

「な、に……!?てめぇ、まさかバロック、ワークスの……!!」

「まあそんなもんだ。退職金は貰ったが最後に見物でもする、もしかしたらその時に王女を殺すかもな。止めたきゃ止めてみろよ空の王者さんよ」

 

そこまで言うとティガはそのまま走り出して、50キロを超える速度で巨体はどんどん遠ざかって行く。レウスはそれをただただ見送る事しか出来なかった。

 

「ビビ、ちゃん……!!」

 

気力を振り絞り立ち上がる王者は既に深手を負っている、だがそれでも立つ。仲間の為に……

 

「まずはルフィを……そしてアルバーナへ……!!!」


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