ONEPIECE 空の王者が海を征す   作:魔女っ子アルト姫

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空の王者、看病する

リトルガーデンのログが溜まるまでに1年という時間が掛かる事が判明し深刻な事態に陥ったしまった麦わらの一味を救ったのはMr.3との戦いでは一切姿を見せずに戦いに関与する事がなかったサンジであった。どうやら自分達の捜索中にアジトらしき拠点を発見しそこでバロックワークスのボスことMr.0であるクロコダイルとのデンデン虫での会話をしたとの激白した。

 

どうやらそこはMr.3のアジトだったらしく、ちょうど居合わせたサンジがMr.3になり済まし自分立ち麦わらの一味とビビを始末したと虚偽の報告した上にアラバスタに向かう為のエターナルポースを手に入れたと意気揚々と報告をしてきた。これにより追撃は無くなりリトルガーデンのログが溜まるのを待つ事無くアラバスタへと向かえる事が判明した一同は大喜びした。皆はドリーとブロギーとの挨拶を済ませると足早に島を出向する事になった。

 

「レウスよ、達者でな。お前らは必ずでかくなるぞ、自信を持って旅を続けるが良い」

「ああ、有難うなブロギーさん。いや、師匠。オッス!!」

 

そしていざ出向すると二人の巨人が出向の見送りにと島の海岸に仁王立ちしていた。二人はエルバフの戦士としての誇りを守ってくれた事に対しての感謝を述べながら自分達を信じて決して道をかえずに真っ直ぐに進め!と力強く宣言した。ルフィ(船長)その言葉に強く頷きながら船を進めた、だが島を出て少しと立たない間に島喰らいとも呼ばれる超巨大金魚が姿を表した。

 

「「覇国ゥゥゥゥ!!!!」」

 

だがその巨大金魚を、二人の巨人の戦士が、最強の一撃にて葬り去った。友の海賊旗(誇り)を守らん為に100年以上をも苦楽を共にし数々の敵を打ち取ってきた武器が砕けるような最大の一撃を放った。凄まじい覇気と斬撃は容易く、だがゴーイングメリー号を一切傷つけずに島喰らいを巨大な風穴をぶち開けて麦わらの一味のこれからの旅を祝福するように道を示した。

 

「「さァ、行けェ!!!!」」

 

 

「「エ~ルバフバフエ~ルバフ♪きょきょ巨人きょきょ巨人!!」」

「やれやれ我らが船長と狙撃手は元気だな。俺は少し気抜けしちまったかも」

「奇遇ねレウス……私もよ」

「ビビちょっとログ見てもらっても良いかしら、私ちょっと疲れちゃって……」

 

尊敬するブロギーの誇り高き凄まじい一撃を目の当たりにしたウソップとそんな戦士がいるエルバフという村に行きたいと強く願うルフィは二人して肩を組んでコサックダンスにも似た踊りをしながら今だ先程の興奮が覚めない様子。二人を見ながらナミは呆れながらレウスに寄り掛かるように座っている、先程の島喰らいで一番取り乱してパニックになっていたのは彼女なのだから致し方ない。というかあれが普通の反応だろう。

 

「ナミすわぁ~ん♡ビビちゅわ~ん♡本日のおやつ、プチフールです♪ドリンクはコーヒー、紅茶どちらになさりますか?レウスお前の分もあるぜ。お二人を助けるとは流石だぜほれ」

「サンジさん、ええいただきます♪私は紅茶が良いかな」

「サンキュ……。まあ折角助けるならお嬢様方を助けるさ、野郎よりは乗り気がするってね」

「気が合うな流石だ」

 

レウスからしたら正直当たり前の事でゾロを助けたのだがサンジからしたら彼など正直、彼女らに比べたら比較対象にならないのだろう。サンジらしいと言えばサンジらしいが、ナミも折角だからリラックスする為にとプチフールを手に取ろうとするが急に身体を震わせながら苦しそうに息を洩らしながらレウスに凭れ掛かってしまう。

 

「お、おいナミちゃん?如何したんだ一体……?」

「うぉぉぉレウスてめぇなんて羨ましいんだこんちきしょぉぉぉ!!!」

「ちょっちょっと待ってナミさんの様子が可笑しいわ!?顔が真っ赤だし、凄い熱よ!!?」

「……こいつは拙いぞ!?サンジベットだ、大急ぎでベットに運ぶぞ!!」

「ナ、ナミさぁぁぁああああんっっ!!!??」

 

ナミの体調が急変した事を受け大急ぎで彼女をベットへと担ぎ込む、取り合えずエターナルポースはウソップへと預け逐一チェックしながらの舵取りを任せる事にした。顔を酷く赤くしながら息を洩らすナミへと濡らしたタオルを当てながらビビは病気の原因はグランドラインの気候の影響だと言う。

 

「この中で少しでも医療を齧ってる人は誰?少しでも良いの」

「ナミ」

「ナミさぁんだ…」

 

ビビはやっぱりと唇を噛むがその中で一人、手を上げていた。ビビは視界の端に映っていたレウスに希望の光にも見た物を見た。

 

「本当に少しでも良いんだったら……」

「それで良いの、お願いレウスさん!」

「解った。サンジ、応急キットを早く!」

「お"う"!!」

 

ナミのみを心配しながら号泣しているサンジは一旦部屋から出ると瞬時にその手に応急キットを持って戻って来たその速さに思わずルフィが驚いて飛び上がるほどに、その中にあったキットを使いながらナミの身体に器具などを当てながら診察を開始するレウス。一同が固唾を呑んで見守る。

 

「お前、医者だったのかレウス?」

「本格的な治療は出来ないけどな。島に居た頃、余りにも暇だったから襲ってきた海賊から色々奪ってた本とかを読んでた。その中には医療関係の物もあったからな、それを元に数回病気になった時は自分を治療してた」

「何でも良いがらナミざんをぉぉぉ……!!」

「解ってる……!」

 

慎重に診察を続けていく中、レウスは体温計を見ながら眉をひそめながら驚愕した。今のナミの体温は40度という高熱だった、通常だったらあり得ない体温だ。確実に拙い……!!

 

「おいサンジ。俺から抜けた爪とか牙が入った袋を「持ってきた!!」早いな!?まあいいや助かった!」

「レウスさんナミさんはどうなの!?」

「熱が40度、加えて多分だけど動脈炎や他にも……!!」

「そんなっ……!!!??」

 

レウスの診断にビビは思わずショックを受けながら口に手を当て如何したら良いのかと思ってしまう、病気に掛かった事の無いルフィはそんなに辛いのか?と思わずサンジに聞いてしまうが彼も掛かった事は無いらしいがこんだけ辛そうにしてるんだからそう決まってんだろうがァ!!!と蹴り飛ばされた。舌打ちをしながら自らから抜けた牙や爪に鱗をすり鉢に突っ込むとそれを磨り潰して粉状にしていく。

 

「レウスさん如何しよう……!?って何をやってるの!?」

「竜化した時に抜けた俺の牙とか爪とか鱗を磨り潰してるんだ、動物の牙や爪は煎じて呑むと薬になるだろ?俺は病気になった時にそれを試して見たんだ、それが大当たりだったんだよ!」

「それじゃあ薬になるの!?」

「ああ、鎮痛剤と解熱剤位にしかならないけどな……ないよりマシだろ!サンジ水!」

「此処に!!」

 

三種類の物を粉にしてナミにそっと飲ませる、少々苦いがそれでもナミは飲んだ。それを固唾を呑んで見守るが次第にナミの表情は少しではあるが安らいでいく、ある程度は苦しみを取り除いて上げる事は出来るようだと思わず安堵してしまう。

 

「おおっ治ったか!?」

「直ぐには治らねぇよ。今は安定してるだけ、大急ぎで医者に見せないと命に関わる……!!」

 

この言葉にルフィは医者を探すことを決意し大急ぎでアラバスタに行こうと言うがビビによると一週間以上は掛かってしまうとビビは力無く答えた、そんな時間ナミの身体が持つとは思えない。だがビビも急いで国に戻らなければならない。先程ナミを看病する為に道具を探した際に見てしまったのだ、アラバスタの凶報を知らせる新聞を……。30万人以上の国王軍が反乱軍に寝返ったと言うニュース、一刻でも早く国へと戻らないと行けないと言う事態になったのにこの状況。ビビは絶望に表情を染めたが瞬時に顔を切り替えた。

 

「私は直ぐにアラバスタに行かないと……だから今すぐ医者を探しましょう!ナミさんが元気になってこそ、一番のスピードが出るでしょ!!」

「ビビ!!おうそれ以上は出ねえ!」

「惚れなおしたぜビビちゃん!良く言ってくれたぜ!!」

「ああ、そうだな。サンジ、ルフィ大急ぎで見張りを頼む!近くの島を探すんだ、ビビちゃんはウソップの手伝いに!」

 

レウスは新たな薬を作ると同時にナミの傍で看病を続けると告げ指示を出した、現状でナミの苦しみを少しでも和らげられるのはレウスのみ。ならば傍に居続けて何時でも薬が出せるようにしておくが良いとサンジ達も納得し部屋から飛び出していった。それを見送るとレウスは新たな薬を作り始める、少しでも多く作って置かなければいけない……という意識があった中、ナミが目を覚ました。

 

「レ、レゥス……船、は……?」

「これから医者を探す。ビビちゃんがトップスピードでアラバスタに向かうには君の病気を治すのが先決だって言ってくれてね。俺が付いてるから今は寝てた方が良いよ」

 

優しく囁くように言うレウスにナミは弱弱しく震える手を伸ばした、酷く暖かく震えているその手を取った。

 

「レゥス……私、私……死んじゃう、のかな……!?」

 

消え入りそうな震えるで涙ながら問いかけた、何時もは気丈に振る舞い強がるであろう彼女もまだ少女だ。病気の時は誰しも心細くなる物、心も身体も衰弱してしまうのが病気。今一番辛いのはナミだ、酷く不安なのだ。そんな彼女を安心させる為にレウスはその手を優しく強く握りながら笑顔で言った。

 

「大丈夫、必ず医者に見せて君を助けるから……だから安心して今は眠って」

 

力強い言葉と笑顔に励まされたナミは安心しきったのかそのままゆっくりと眠りに付いた。


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