このビッチな女神に祝福を   作:nyasu

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水の女神に温もりを

何なんでしょう、リスポーン地点なんでしょうか。

どうしてこの広い世界で局所的に知り合いにあったりするんでしょうか。

 

「だーうー」

「ねぇヒキニート、胸ばっか見過ぎじゃ無いかしら?」

「お構いなく」

「構うわよ!カズマさん、ねぇカズマさん!」

「お構いなく」

 

フォロ方さんの名前はカズマさんというらしい。

アクア先輩を下界に引きずり落とした張本人です。

 

「っだーもう、うるせぇなぁ!忙しいの見て分かんないか!見ろ、あのテーブルに押しつぶされた胸!」

「うわぁ」

「うわぁ」

 

カズマさんの発言に、女子二名がドン引きする。

なお、男の気持ちも分かる私は寛容なので若いなぁと見守っている。

 

「それで、エロースちゃんも特典としてこっちに来たのか」

「ちょっと頭パーンして記憶が飛んじゃってるナナシちゃんの特典です。あと、名前はあんまり呼ばないでください」

「おいアクア、くるくるぱーになった奴がいるじゃないか。お前、大丈夫みたいなこと言ったよな」

「言ってない」

「く、くるくるぱーって何?」

 

あーあー、なるほどちゃんと説明責任を果たしたわけですね。

すごいなー立派だなー、私ってば働かないからそんなのしてないよ。

 

「死んでないから問題ない」

「アンタね!いい加減にしないと、ぶっ殺すわよ!この、このっ!」

「痛たたた、胸が抉れる!?」

「……尊い」

 

ナナシちゃんの両手が、私の胸に伸びる。

そして、思い切り鷲掴みにされた。

や、やめてください!もっと優しくしてください。

 

「まったく、相変わらず私よりダメダメよね。エリートの私と比べるには流石に可愛そうだけど、もう少し頑張ったほうがいいわ」

「えっ、何だって?」

「あら、何か言いたそうねカズマさん」

「うん、少なくともその日のうちに日雇いの給料を溶かすお前よりこっちの方がいい気がしてきたよ」

 

おぉ、おぉぉぉぉ!

何と言うことでしょう、アクア先輩を選んだ狂信的な信者だと思っていたカズマさんが改宗しそうです。

これがNTRって奴ですか。嬉しいです、やったねえっちゃん信者が増えるよ。

 

「ダ、ダメよ!だってその子名前だけのなんちゃって女神なんだからね、ただのロリ巨乳ニート処女ビッチなんだからぁ!」

「ぷるぷる、僕悪い女神じゃ無いわよ」

「僕っ娘属性追加してきたぁ!?待って、嘘よね」

「アクアごめんな、お前とは遊びだったんだ」

「カズマさーん!待って、見捨てないで!」

 

私達の様子を遠巻きに見ていた人達がざわつく。

でも、なんでしょう。このいつものアイツらかみたいな雰囲気。

 

「まぁ、お互い冒険とかまだしてないけどこれからよろしくな。ガンガン頼るから」

「なにこのヒキニート、最初から他力本願なんですけど」

「よろしくお願いします。具体的に養ってください」

「ダメだわ、ダメな奴が増えてるわ!」

 

働いたら負けだと思っている。

しかし、アクア先輩の信徒とは惜しい。

すごくシンパシーとか感じるのにな。

 

翌日、私達は危機感を感じで冒険することにした。

何故かというと、夜中に泊まった馬小屋は死ぬほど寒かったからだ。

バイトなんて悠長な事はしてられない。

 

「どうよ!」

 

バーンと二人分のバイト代で拵えた装備を見せびらかすナナシちゃん。

茶色い髪をポニテにして、皮の鎧とズボンを穿いている。

腰にあるのは欠けた刀身を持つ剣だ。

これでイチキュッパである。安い。

 

「所でえっちゃん、そんな装備で大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない」

 

この身は人類を守護せし神の肉体、何を恐れることがあろうか。

寧ろ、鎧なんて不要なくらい完璧な肉体ですよ、はっはっはっ。

 

「そう言えばあの人達もそろそろ冒険とか言ってたわね。同じ依頼を受けようかしら?」

「それがいいです。生存確率が上がります」

 

恐らく最初はジャイアントトードー、なら多い方がタコ殴りに出来て良いだろう。

カエル程度、敵ではありませんよ。

 

「よお、奇遇だな」

「おー、カズマさんではありませんか」

「どうだ、形だけでも冒険者に見えるだろ?」

 

ドヤとカッコつけるカズマさん。

採集クエストとかやってそうな感じですね。

 

「あー、おはようございます」

「すごーい、君はかっこいい冒険者なんだねー」

「よせよ、照れるだろ」

「ナチュラルにスルーされた!?」

 

ナナシちゃんがショックを受けていました。

でも分かります、ナナシちゃん可愛いので女子と何を話せばいいか分からないカズマさんは緊張してるって。

これが頭のおかしい奴とか、自分に迷惑を掛けそうな奴ならまだしも、そうじゃないから難しいのでしょう。

なお、アクア先輩はノーカンです。

 

「お、おはよう。いやー今日はいい天気ですね…………」

「あっ、いたいた!カーズーマーさーん!何で起こしてくれないのよ!あら、貴方達も冒険かしら奇遇ね」

「ちっ、邪魔が入ったか」

「あー今日はよろしくお願いします、アクア先輩」

「任せなさい!」

「あー、こういうの見ると一応先輩後輩なんだな……」

 

程無くして、約束もしてないのにメンバーが集まったので四人で冒険することになった。

やっぱりジャイアントトードーということで、私の魔法が輝くに違いない。

 

「だーうー」

「大丈夫か?」

 

そう思っていた頃もありました。

ギルドを出て数分で私はバテた。

くっ、高貴な身だから体力がないのだ。

 

「まったくだらしないわね。見てなさい、私の身体捌き。ゴッドブローをお見舞いしてやるわ」

 

シュッシュッとシャードーするアクア先輩。

じゃあ、戦闘は任せました。

そんな私はカズマさんにおんぶして貰ってます。

意外と背中大きくて安心する。

 

「ねぇ、カズマさん疲れたら歩きますよ」

「んふっ、気にしないでくれえっちゃん」

「そうですかぁ?甘えちゃいますよ」

「ずっとこうしててもいいくらいだぜ、ふぅ……」

 

……なるほど、胸の感触を味わっていると把握。

まるで童貞のようだぜ、きっとそこら辺をアクア先輩に刺激されてこんな世界に行くことを決心したに違いない。

 

「カズマさんカズマさん、もし改宗してくれたら何でもしてあげますよ」

「な、なんだって……ゴクリ」

「な・ん・で・も・ですよ」

 

ならば引き抜きなんて余裕です。

アクア先輩はたくさん教徒がいるから、一人くらい貰っても罰は当たらないと思うの。

 

「うわっ」

「ちょっと!甘言を労するなんて悪魔みたいなことしないでよ!」

「ま、待て二人とも!俺はまだ何も言ってねぇ!」

 

あと、一歩の所で邪魔が入った。

くそぉ、ナナシちゃんでもいいけどカズマさんの方が簡単に入信しそうだったのにな。

まぁ、ともあれ街の外にやってきた。

 

「アレか、でっかいカエルだな」

「出番よ、えっちゃん!」

 

ご指名されてカズマさんから下ろされる私。

えっ?えっ?えっ?

 

「どうしたのえっちゃん」

「えっ、困る」

「何でよ!魔法使いでしょ、遠距離攻撃しようよ」

「私の扱えるのって便利なのとエロ系の魔法だけで戦闘向きじゃないです」

「うがぁぁぁぁ!」

 

ナナシちゃんがキレた。

頭を抱えながらもうお終いだって感じに落ち込んでいる。

なんだこの地雷女神って具合に混乱している。

でも、戦闘系の神様じゃ無いんですいません無理です。

 

「ちなみにどんな魔法が使えるんだ?別に興味があるとかじゃ無くて、戦力の把握の為に聞きたいのだが」

「うわぁ、このクズニート下心がダダ漏れだわ」

「ばばば、そんなんじゃねぇーから!」

 

カズマさんの発言にアクア先輩が軽蔑の目を向ける。

でも、そう言うやりとりは信頼関係があってこそ出来ることなのだろう。

私なら、そのまま疎遠になるとかならないの程度をはかることが出来ないからだ。

いいなぁ、仲のいい信者がいて。信者欲しいなぁ。

 

「チラチラ」

「そっとしておこう」

「なんでよ!ナナシちゃん私の信者になってよ!」

「嫌に決まってるでしょ、自分から淫乱だって名乗ってるような物じゃないの!」

「今ならなんと性欲が強くなってサボり癖が付きますよ!」

「デメリットしかないじゃないの!とんだ邪教だわ!」

「酷いよ、サキュバスとかオークには大人気なんだから」

「なお嫌だわ!」

 

こんなにアピールするも、素気なく断られるのだった。

でも信者では無いけど、仲良く騒げる友達は出来たなと思うのだった。

 

「なんでこの子、嫌がられてるのにニヤニヤしてるのかしら?ドMなの?」

「なんだかんだあっちもダメな女神で苦労してるんだな」

「特典が女神だと自分は素のスペックだから足を引っ張るもんね」

「はぁ?」

「はぁ?」

 

あと、アクア先輩が乱闘の末にカエルに食べられてました。

 

「カズマさん!カズマさん!ぎゃぁぁぁ、早く早く、ぎゃぁぁぁぁ!」

「アクアー!いいぞ、そのまま食べられてるんだ!」

「良くないわよ!ちょっと、早く助けて!助け、あっ……」

「ふむ、捕食中は動きが止まるのか」

 

この後、滅茶苦茶ヌルヌルになった。

主にアクア先輩が。

 


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