このビッチな女神に祝福を   作:nyasu

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負け確定イベント、相性ゲーとか糞だわ

ワーニング、ワーニング、その日はまたかよという感じでギルドで緊急招集が掛かっていた。

 

「デストロイヤー警報、デストロイヤー警報!」

「カズマ、逃げるわよ!さっさと逃げるの」

「よし、みんな必要な物は持ったな。逃げるぞ」

 

ギルドではワーワー言いながらみんなが右往左往していた。

あぁ、悲しいけど敗北確定イベントがやって来たようだ。

なんでもすげぇロボットがやってくるらしい、デストロイヤーとか機動要塞とか強そう。

 

「皆さん、良く集まってくれました。現在機動要塞デストロイヤーは街の北西側からゆっくりと進行しています」

「取り敢えず、大樽爆弾を仕掛けよう。何、カニのようなモンスターならたくさん狩ったことがある」

「モンハンみたいなこと言ってるけど、ナナシちゃんってば裸装備だからね」

「当たらなければ問題ないから、大丈夫大丈夫」

 

ギルドでは、デストロイヤーに対する作戦会議が行われていた。

マジ無理ゲー、そんな強敵駆け出し冒険者の街に来ちゃダメだろう。

 

「ええい、こんな所にいられるか。俺達は逃げさせて……おい、ダグネスどうした?」

「カズマ、悪いが私は残ることにする」

 

そんな死亡フラグなことをカズマさんが言っていた。

勝てない的には挑まない、愛国心?始まりの街にあるわけねぇだろと言わんばかりだ。

聞き耳を立てるとどうやらパーティーで意見が割れているようだった。

 

「おい、流石のお前もデストロイヤーに殴られたら死ぬぞ。いい加減、その変な性癖治せ」

「カズマ!貴様、よもや私がこんな時まで欲望に忠実だと思っているのか」

「思ってるよ、当たり前じゃん」

「なっ……!」

 

プルプル震えるダクネス、どんまい。

でも、そう思われる事例が君には多すぎると思うんだよぉ。

しかし、それでも残る理由は別にあるようだ。

 

「いいか、カズマ。私の本当の名はダスティネス・フォード・ララティーナという」

「なんだその名前は、ダクネスの癖に生意気だな」

「どうして、お前という奴は、息を吸うように、罵倒してくるんだ!」

「それで、ララティーナは領主の娘とかそんなんで守る義務がうんちゃらかんちゃらなの?」

「貴様、エスパーか!」

「はいはいテンプレ乙」

 

呆れるようなカズマさん、そんな彼が選ぶ決断をピピピッと私は予想できた。

何だかんだお人好しな彼はきっと残るだろう。

それに、と私はシリアスな雰囲気の中で私の信者達を思い出す……。

 

『あぁ、もっとです!もっと、もっと!』

『う~ん、フヘヘ』

『こんなに濃ゆいのがたくさん、ウフフ!』

 

あかん、碌なもんじゃなかった。

男性冒険者に夜這いしてるところやないの。

う~ん、でもきっとこれは天啓に違いないと思うの。

 

『聞こえますか、私は貴方に直接語りかけています』

『この声は、またこのパターンか』

『届け、私の思い!君に届け!』

『な、なんだこの映像は……』

 

説明しよう、私はまばたきを我慢出来る間、脳内に声だけでなく映像も送り届けられるのだ。

サキュバスの映像を、送り込めるのだ。

 

『ここは、店?おぉ、サキュバスのお姉さん。あれ、なんか様子が……ストリップだと!?』

『私が店に行った時の記憶です』

『何故に、行ってるし』

『言わせんな、恥ずかしい』

 

ヤルことは一つだろ、おぉん?

まぁ、そんなことは良いのです。

 

『ぬ、脱ぐ!夢の中でしか見れなかった、想像でしか補完できなかったあの姿が、見れる。これが、サキュバス補完計画とでも言うのか』

『残念ですが、ここから先は有料です』

『ま、待ってくれ!あと少しで、あと少しで見れるんだ』

『等価交換だろ』

『こ、これが人間のやることかよぉぉぉぉ!』

 

急に発狂するカズマさん、ギルドの視線が集まりいつものことかと流される。

びっくりしていたのはダクネスだけだ、ビクッてするララティーナかわいいよララティーナ。

それで、カズマさんは戦う理由を思い出した。

 

「ダクネス」

「な、なんだカズマ畏まって」

「俺、やっぱり好きだ」

「にゃ!?にゃ、にゃに言ってるんだ、こんな時に」

「この街を、見捨てるなんて出来ない。俺、気付いたんだ。この街には大事な思い出がたくさんあったんだって」

「カズマ、そこまで私達との思い出を……あと、告白じゃなかったのか」

「だから俺、守るよ。お前もついでに守ってやんよ!」

 

なお、守るのはサキュバスだって私は知ってた。

あそこだけ切り取るといい感じなんだよな。

 

「そうですよダクネス、私達に任せて下さい」

「しょうがないわねぇ、カズマさんがどうしてもって言うなら手伝ってあげてもいいのよ」

 

チラチラとカズマさんを見るアクア先輩、いい話だな。

なお、ギルドの中ではあんなラブコメ展開を他所に作戦会議が始まっていた。

ふむふむ、デストロイヤーってすごい結界が張られてるのか、無理ゲーだろ。

 

「こんな時、魔剣の勇者様がいれば」

「魔剣のない魔剣の勇者様とか、ただの無能だしな」

「なんで魔剣無くすんだよ、馬鹿かよ」

 

憤る冒険者達、いつその魔剣を無くした経緯がバレるか焦るカズマさん。

そんなカズマさんが話題を逸らそうとした。

責任逃れ、流石カズマさん汚い。やることが汚い。

 

「おぉ、アクア。お前なら結界を破れるんじゃないのか?」

「えっ?うぅ~ん、やってみなければ分からないわ」

「ほ、本当ですか!ダメ元でもいいので試して下さい!後は、火力さえアレば」

「いるだろ、頭の可笑しいのが」

 

そう言えば、いたなとみんなが一点を見つめる。

ジーと注がれる視線、それは私達に注がれていた。

正確には私の隣だ。

 

「おい、待て!それが私の事を言っているのなら、その頭の可笑しいという呼び方は辞めてもらおう!辞めないと言うなら、頭がオカシイということをここで証明してやろう!」

「頭がオカシイことを認めてるじゃないか。それと私は可笑しいはずがない、これでも知力のステータスはそれなりだ」

「ステータスでしか物が考えられないとは可哀想な子ですね」

「一発屋で動けない継戦能力のないウィザードは言うことが違うわね」

「なにおー!」

 

取っ組み合いの喧嘩を始めるめぐみんとナナシちゃん。

なお、ナナシちゃんの一本背負いが決まって、ぐでーんとしているめぐみんの負けである。

そんな一幕を見ていたら、おっぱいが来た。

まちがえた、おっぱいではなくリッチーのウィズがやってきた。

これで勝てる、エロースちゃん大勝利な流れがギルドに出来た。

という訳で、デストロイヤー討伐である。

 

「よし、まずはえっちゃん、デバフを頼む」

「ロボットだから、デバフとか無理ですぅ」

「なっ……なら、支援魔法で頼む。ナナシは、ダメだな」

「悔しいが、物理が通じないとな。私は、無力だ……」

「使っかえねぇ!いつもと違って、役立たず過ぎる!おい、アクア大丈夫なんだろうな!」

「私が聞きたいわよ、大丈夫なんでしょうねぇ!」

「こっちは……めぐみんが緊張して使い物にならなさそうだ」

「大丈夫じゃない!?」

 

早速のピンチであった。

ロボット嫌い、アイツら色欲とかないし混乱とかしないし状態異常とか最初から無いとか意味わかんない。

そんな私が出来ることと言えば、パフパフだろうか。

 

「頑張れ、頑張れ」

「わひゃぁ!?な、何をするのです」

「ほら~、綺麗なクッションですよ」

「めぐみん、うら……大丈夫そうだな。よし、アクアやれ!」

 

カズマさんの指示により、ゆっくりやってくるデストロイヤーに向けて、先輩の魔法が放たれた。

すごい、これならきっと勝てるに違いない。

 

「うりゃぁぁぁぁぁぁ!」

「よし、今だ爆裂魔法だ!」

 

結界が壊されると同時に爆裂魔法が二発同時に放たれる。

やった、第一部完!

 

「やったか」

「俺、これが終わったら結婚するんだ」

「さぁ、返って乾杯よ!報酬はおいくらかしらね?」

「この馬鹿ーどうしてお前はお約束が好きなんだ!」

『被害甚大に付き、自爆機能を作動します』

「ほら見たことかー!」

 

ど、どうやら私達の戦いはこれからのようだった。

 


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