フェニックス、突入。
第9話 紅の記憶
それはリアス・グレモリーが16になったの誕生日の日に起こった。
超絶シスコンの兄の催した誕生パーティから抜け出し、彷徨いてたところ、誘拐事件に巻き込まれた。
そいつらの顔は分からない。ただ聞こえてくるのは、これで依頼達成しただの、たんまり報酬が貰えるだの、低俗な会話。そして、誰かが言った。
引き渡す前にコイツの身体を楽しもうと…。
この時のリアスは魔法を使えなくなる拘束具を付けられていて抵抗することが出来なかった。
これは兄の気持ちを無下にした罰なのか?そうでないにしても、
「誰か、助けて…」
♪〜♪♪〜〜♪♪
突然、ハーモニカのメロディがその場に流れた。
「誰だ!?」
誘拐犯の誰かが叫んだ。そして、
「そのお嬢さん、返してもらおう」
『Rebellion Dragon Balance Breaker !!』
リアスの窮地に現れたのは、赤いラインが所々目立つ漆黒の龍の鎧だった。
「何者!?」
「漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙。『超越の黒龍』ダーク・リベリオン…」
ギシャアァァァァァァァァ!!
黒き龍の咆哮がその場に響き渡った。
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「うん…?」
懐かしい夢を見た。初めて一誠にあった記憶だ。あの後、一誠はその誘拐犯を完膚なきまでに叩きのめし、自分を兄の元に送り届けた(その後兄からの頬ずりがものすごく鬱陶しかった)。
一誠は(存在を表に知られていない)魔界神・神綺様に招待されて私のパーティいたらしい。私が連れ去られたのを聞いて速攻で会場を飛び出し、私を助けに来たそうだ。どうして場所が分かったのかは最後まで教えてくれなかった。
ふと、私の目にある紙が目に止まる。それは卒業後に迫ったライザー・フェニックスとの婚約の概要だった。
純血の悪魔を残す為とはいえ、私の意見を尊重しないで勝手に話が進むのはどうかと思う。
誰も私を「リアス・グレモリー」としてしか見ようとしない。私は、何時になったら「ただのリアス」になれるのか?
私は、「ただのリアス」になりたい。人間に純潔を捧げたと言えば、後で老いぼれが煩いだろう。ならば、
「私の純潔は、克人に捧げるわ…」
だが、決死の計画も兄の女王によって水泡に帰すのであった。
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「なるほど、そういう事ね」
一誠は松田からとある相談を受けていた。最初はただの妄想だろうと高を括って聞いていたが、グレイフィアさんが絡んできてその話が現実味を帯びた。
「それで、今日眷属全員部室に来るように言われたんだけど…」
「十中八九内容が見えてるしな…」
「…悪い、俺今日お前らの所には行けないわ…。ちょっと事情があってな…」
一誠のセリフは半分嘘だった。自分の母親に(幻想郷に)呼ばれたのが一つ、もう一つは、カリスマ(笑)の警告だった。
『あなたはその場に居てはならないわ。何故なら、あなたの存在が世界を揺るがしかねないのだから』
そいつは運命を見ることが出来る。幻想郷からこちら側に戻る時に全て言われた。リアス部長の婚約話、そして、その場に俺が居てはならない事を。
確かに俺はどの勢力にも属していない、所謂ダークホースだ。それが悪魔側に加担してるとバレればグレモリー眷属にどんな影響があるのか分からない。俺はその話の概要を後で伝えるように松田と元浜に伝えると帰路についた。
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一誠が元の世界に戻る前、幻想郷・紅魔館にて。
「レミィ?あなた嘘をついたわね?」
「その通りよパチェ。でも、イッセーは気づいていた様だけど?」
紅魔館の主、レミリア・スカーレットはクスクスと笑っていた。確かに、一誠には嘘をついた。正確には、「(自分達の)ライバルが増えかねないから」だ。レイナーレとかいう烏天狗もどきにとんでもない力を持ったオーフィス、この2人だけでも(幻想郷の女性陣から見たら)脅威なのに、更にライバルが増えるとか御免こうむる。特に、あの姫島朱乃とかいう女は一誠ととてつもなく強い絆で結ばれている。今は向こうが心を閉ざしているので力の発現まで至っていないが、あの朴念神が陥落する可能性が万に一つでもあるのだ。その可能性は即刻排除したい。
「でも、こうでもしないとライバルが増える一方よ?咲夜の為を思ったまでよ」
「実際はあなたがイッセーを欲しいだけのくせに…(ボソッ)」
「う…!パチェこそ、イッセーの事を見る時目を逸らしてるじゃない!!」
この日も見事なカリスマブレイクが発動し、いつもの言い争いが幕を開けた。
一誠は満足民で、ハーモニカでの登場。ここまで言えばどんなBGMが流れたのか想像つくはず(小並感)
神綺
魔界神でアリスの母親。一誠の世界の冥界に何故かいる。一誠に「神綺お姉ちゃん」と呼ばれるのが今の楽しみ。
レミリア・スカーレット
紅魔館の主。一誠の婚約者という訳では無いが、咲夜の恋心を利用して執事長として彼を紅魔館に招き入れようと画策している。一誠との関係は妹の恩人。
パチュリー・ノーレッジ
通称「動かない大図書館」と称される魔女。一誠がフランドールを救う姿に一目惚れ、一誠の婚約者候補になる。本人曰く脱いだらすごいらしい。