弟はマのつく自由業、私はメのつく自由「いえいえ、王たる夫に永久就職です!!」   作:紗代

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エピローグです。
色々弄ってるし、無茶苦茶ですがお許しを~


エピローグエンドロール

聖杯が破壊されて冬木の聖杯戦争は幕を閉じた。

 

あれからもう早いことに三か月が経つ。

聖杯が元で起こった「一斉浄化」によって冬木市の、特に深山町の人口は戦争前の約二割程度に減り、その結果空き家が増え、ややゴーストタウンのような状態になっている。

大空洞のあった円蔵山は幸い柳洞寺やそこで生活する僧たちに被害はなかったものの地下の大空洞から溢れ出た魔力が地表を伝い住宅街へ雪崩れ込んだことで山を覆っていた木どころか生えていた草花、苔までもが無くなり一部山肌が見えたような状態になっているが、今は復興最優先で行政が動いているためひとまず植林などは先延ばしになるようだ。

教会と協会は御三家とともに隠蔽や実地調査、事後処理や様々な手続きなどで慌ただしく動いており、どうも協会の方はこの機会を逃すまいと聖杯の仕組みについて解析しようと試みたらしいが、ただでさえ規格外の神霊を注がれていた聖杯とそれに接続していた大聖杯はそのせいで元々オーバーヒート気味でメルトダウンを起こしていたらしい。そのうえギルガメッシュの宝具によるこれまた規格外の一撃によって破壊されたため術式も仕組みもほぼ分からず仕舞い。また、このことに関してはアインツベルンがひたすら黙秘を決め込んでいるため聖杯の鋳造方法は永遠に知れ渡ることはないだろう。

 

さて、次に聖杯戦争の結果と参加者(マスターとサーヴァント、各陣営の協力者)について。

まず初めに優勝者は一応名目上は願いを叶えた衛宮切嗣である。しかしこれが知れ渡ると協会の法廷での裁判どころではなくなる(彼は「魔術師殺し」という魔術師専門のフリーランスなヒットマンだったらしく多方面から恨みを買っている)とのことで公にはされず、結果「非公開」または「優勝者なし」とすることになった。

 

次に参加者の安否とその後。

まず聖杯を壊したギルガメッシュはそのままシールダーの後を追うように消滅した。聖杯の魔力はまだ大聖杯に湖のようにたまっていたし、後でわかったことだが外に流出した魔力もそのまま霊脈に浸透したことでマナが濃くなりサーヴァントが受肉し世界に現界し続けることも可能だったらしいがやつはそれを断った。なんでも「語り部は三人もいらん」とのことだそうだ。後「次は我ら夫婦そろって召喚せよ。ああ、もう一人・・・友を呼ぶというのもいいな」というトンデモ発言とともに消えていった。

 

次にランサー陣営。全員生還。結局ソラウさんはケイネスさんを選んだ。ランサーは受肉し、従者として付き従っている。ちなみにソラウさんのことが無くなったためか結構仲は良好なんだとか。

ただ戦争が終わってからが修羅場だったらしく事の概要を聞いたソラウさんが怒りのあまりエマさんと切嗣さんに猛抗議し(エマさんに至ってはビンタされる寸前まで行ったらしい)聖杯のことがある程度片付くと一旦帰国。ただ帰国してからも家のことで色々あったようで、次期当主であった彼女の兄が亡くなり元々彼女が生まれた時の権力争いの影響で親族で有力な当主候補は殆ど残っていなかったことから急遽刻印を移植され次期当主に据えられた彼女はケイネスさんを婿養子にして彼から魔術を教わりつつ家をまとめている。

ケイネスさんはソラウさんが次期当主になると聞いて「婚約解消か・・・・」と沈んでいたが「あら、何言っているの?貴方も一緒に来るのよ」とのソラウさんからの逆プロポーズで復活し頼れる夫として彼女を(自覚はないだろうが)献身的にサポートしている。

 

流れ的に次の紹介はライダー陣営。ライダーはやっぱり受肉した。そして「征服するにはまずこの世界のことを知らなければな!」とのことで今は一人で世界の国々を放浪しており、時々フラーっとウェイバーくんのもとに帰って来ては行って来た国の土産話を肴に宴会を開くらしい。うるさくて書類整理が捗らないと嘆きつつもどこか満更でもない声色で電話越しにウェイバーくんが語っていたのは記憶に新しい。

ちなみにウェイバーくんが付いていかなかったのは前に説明したランサー陣営が深く関わっている。

ソラウさんが急遽ソフィアリ家を継ぐことになりケイネスさんを婿として迎え入れてしまったせいで今度は当主を失ったケイネスさんの家の方で問題になってしまったのだ。そんななか、ウェイバーくんは「お前も聖杯戦争の関係者だろうが、責任とれやコラ」と言わんばかりにエルメロイ家の人々に馬車馬の如くこき使われていた時にちょうど魔術の基礎を学んでいた子にアドバイスしたところそれがなんとエルメロイの末席の子だったらしい。彼女に気に入られたことで益々逃げ場を失い自棄とばかりにバリバリ仕事をこなしたらそれが評判になり、そのうえその時上手くいったからと強請られ彼女の魔術のアドバイザーをしていたところ、どうやらウェイバーくんにはそっちの才能があったようでその子の魔術のレベルは凄いスピードで上がっていった。これまたそれも評判になりエルメロイの人々に認められつつある。認めている者の中では「ロード・エルメロイ二世」なんていう風にも呼ばれているとかいないとか。

 

アサシン陣営はこれといって、関係性に変化はない。でも悩んでいた神父はシールダーの教えた愉悦?であるホラゲーに嵌まったらしく新作が出るとアサシンに並ばせたり調査させたりしているらしい。教会の労働力も増えたことで璃正神父はこの頃上機嫌でいることが増えた。アサシンも璃正神父から労ってもらうことにやりがいを感じているらしく仕事の速度が倍速に、けれど全てを完璧にこなす執事的な存在になっているらしい。

 

世を騒がせたキャスター陣営のマスターはあの海魔との戦いの際民衆に紛れ込んでいたところを衛宮切嗣に射殺されたらしい。何故子どもを攫ったのか、あの惨状はどちらによるものだったのか謎を残したままで終わってしまった。

 

次にアーチャー・・・というかアーチャーだったギルガメッシュは消滅してしまったのでマスターだった時臣と葵さんと凛ちゃんの話になる。

時臣は桜のことと葵さんと凛ちゃんのことがあったからか凛ちゃんへの接し方について考えることが多くなった。葵さんは真実を知ってしまったあと情緒不安定になり一時期は離婚も考えていたらしいが凛ちゃんにしてしまったことと彼女の今後を考えて今度はしっかり向き合っていくのだと言っていた。桜に対してもまだ全てを受け入れられたわけではなさそうだったが少し言い辛そうにしながらも「桜ちゃん」と呼んでいた。それを聞いた桜がにっこりと笑顔で「はい」と返事をしていたのを見てお互いを認めているように見えた。

凛ちゃんは・・・・どうやら回路を暴発させたショックで魔術回路と神経両方に障害が残った。回路はメインとサブの切り替える繋ぎ目がほぼ焼き切れ、何とか繋ぎ合わせたものの別物になってしまっているらしく、魔術を使うことはできるが回路を全開にしての魔術には激痛が伴い完全に才能を発揮することが出来るかどうかは微妙なところらしい。ただ幸いだったのは後遺症で歩くことが出来ず車椅子だがリハビリを続ければいずれ歩けるようになる可能性が高いことだった。

 

セイバー陣営は失意の中でとにかく生存者を探していたところ、町に倒れていた少年を発見し保護した。士郎くんというその子は無事だったわけではなく聖杯の魔力の影響で記憶を消されてしまっていた。そもそも彼の家は魔力の通った場所にあったため家族は魔力に飲まれ、彼のみが生き残ったらしい。このままにしておくことはできないと結局セイバー陣営も深山町に根を下ろすことにしたらしい。陣営が常にお通夜状態でこのままでは自殺者が出かねないからとアインツベルンからアイリスフィールさんと衛宮切嗣の娘を奪還するときの戦力の事も考え、色々なストッパー役としてセイバーも現界したままになっている。

 

そして俺たち、バーサーカー陣営。バーサーカーはもう悔いがなく王にも会えたことからそのまま感謝しながら消滅していった。一方の俺は桜の父親としての法的手続きやら兄貴とのジジイの財産分与で頭を悩ませたりとウェイバーくんほどじゃないが落ち着かない日々を過ごしていた。俺はジジイが亡くなったことで当主にもなってしまったので教会や協会を相手に聖杯関係の方にも手を焼いている。

桜はシールダーがいなくなってから少しへこんでいた。なので二人で話し合ってシールダーが俺たちの前に現れたその日を「先生・シールダーの日」として毎年お祝いして忘れないようにしよう。ということになった。それ以来また笑顔で呼びかけてくる娘を強いなあ、なんて思いながら過ごす。

兄貴は海外から帰ってきた慎二と一緒に新都の方に住むそうだ。まああいつは資産運用とか得意そうだしあまり心配はしていない。

 

「おとーさん!手、つなごう」

「そうだね、よしじゃあ今日はお手伝いさんもいないしこのまま夕飯の買い物にいこうか。桜は何が食べたい?」

「今日はお父さんの作ったハンバーグがいい!」

「はいはい、お姫様」

 

そうして二人で歩き出す。なあ、シールダー、俺たちは今とても幸せだ。だからどうか、お前に次があるのなら、次こそは幸せになってくれ。俺も桜もそれを願ってる。

 

 

それじゃあ、また次の運命の夜に――――――

 

 




これにてZero編終了です。
なるべく大団円のグランドフィナーレ的なものを目指しました。
切嗣さんに関してはすみません、でも一番聖杯に執着してて手段選ばないのってやっぱりこの人しかいないなと思ったので白刃の矢が立ちました。あとギルガメッシュの考える世界と真っ向から対立しそうだと思ったのもあります。

これからの予定は決まってません。でもFGO編は書きたいなと思ってます。

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