弟はマのつく自由業、私はメのつく自由「いえいえ、王たる夫に永久就職です!!」   作:紗代

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あっけなく静かで眠るような終わりだったのです。


それはフィナーレというには余りにも

セイバー陣営が気力を無くし項垂れているなか、間桐雁夜は立ち上がりギルガメッシュの方を見る。

 

「アーチャー、いや、英雄王ギルガメッシュ。頼みがある」

「なんだ雑種」

「俺を桜の、娘のもとへ連れて行ってほしい」

「桜・・・貴様とともにイノリが救った娘か。よかろう、行くぞ」

「ああ、頼む」

 

*****

まだ魔力の波は間桐の家までは到達しておらず桜は家にいたため無事だった。帰りが遅いことに不安になっていたらしい。帰った途端飛び付かれた。

 

「お父さん!!」

「桜!」

「帰って来ないから・・・・無事でよかった」

「桜も。間に合ってよかった」

「?先生は」

「シールダーはお父さんとみんなを守って消えちゃったんだ」

「桜を嫌いになったわけじゃなくて?」

「うん。むしろ消える前までは桜のところに帰ってくる気満々だったから、どっちかというと桜に会えなかったのは心残りなんじゃないかな」

「そっか・・・・・ねえ、お父さん。私、先生に会いたい」

「・・・・もう、元のシールダーの姿じゃないよ、それでもいいの?」

「うん。それでも、それでも先生とちゃんとお別れしたいから」

 

娘の我儘は自分の我儘でもあった。しかしあの空間はもう聖杯から溢れた魔力で近寄ることすら出来ない場所に成り果てているはずだ。俺だけならまだしも桜がどうなるか分からない以上ギルガメッシュに頼らざる負えない。

 

「ギルガメッシュ「話は纏まったか、ならば行くぞ」え、いいのか?」

「何を惚けている。貴様らはイノリが庇護した者たち、ならばあの魔力も眷族である貴様らには無害な水に過ぎん。何、イノリを召喚した褒美だ。我が成す幕引きに付き合うことを許す」

「・・・・ありがとな」

 

そして俺と桜はギルガメッシュと共に聖杯の、シールダーのもとへ急いだ。

 

*****

大空洞のある山に戻るとやはりまだ魔力は流れ続けており、セイバーやそのマスターたちは無事だったものの、その周囲も下の住宅街も静まり返り、植物も苔一つ生えていない有り様だった。そんな風景を見ながら大空洞内に入ると俺と桜は聖杯を一目見た後、そこからかなり離れたところに移動させられた。目が悪いわけではないので問題はないが何でも聖杯を破壊するのに本気を出すため近くにいては巻き添えになりかねないとのことだった。

そしてギルガメッシュは姿を変え、体に赤い模様のようなものが刻まれた「ネイキッド」という状態で聖杯のもとへ近づいていき突剣のような宝具を構えた。

 

「今、そこから解き放ってやる。 ――――――さらばだ我が最愛の妻よ、此度の逢瀬もなかなか愉しかったぞ」

 

そしてそれは振り下ろされ、聖杯が破壊されたことで聖杯戦争の約二百年間における歴史は幕を下ろすこととなった。

 




次はエピローグになります。

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