弟はマのつく自由業、私はメのつく自由「いえいえ、王たる夫に永久就職です!!」   作:紗代

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久々の投稿で頭が回りません


弟とダイケンジャー

目を覚ますと、そこは見知らぬ天上。

 

「ここ、は・・・・?」

「あ、お気づきになられましたか」

「?」

「少々お待ちください。ダカスコス、目を覚まされたことを至急陛下に伝えてきなさい」

「え、じ、自分がでありますか?」

「他にだれがいる!!、ほらさっさと動く!!」

「う、承りました!」

 

混じり気のない長い緑の髪をした優し気な女性は私が目を覚ましたことに気が付くと、近くにいた兵士に指示を出した。・・・さっきの口調といい逃げるように慌てて去って行った兵士の人といい、この人って結構アレなのかな・・・。

 

「あ、あのー、つかぬ事をお聞きしますが、ここはどこですか?陛下って、もしかしなくてもゆーちゃ・・・有利のことですよね?」

「はい。ここは陛下が直接お治めになられている眞魔国の血盟城という城の一画にある客室です。骨飛族が貴方様を運んで来た時には何事かと思いました」

「あはは・・・すみません」

「いえそんな、謝らないでください客人の方の体調管理も仕事の一つですから」

 

そうやって話しているうちに複数の足音が近づいてくる。

 

「ギーゼラ!姉貴が目覚ましたって本当!?」

「ええ、意識もしっかりしてらっしゃいますし、幸い意識を失ったときも骨飛族が受け止めて怪我などはありませんから大丈夫ですよ」

「そっか、よかった・・・」

「はい。では私はこれで失礼いたします」

「ありがとう、ギーゼラ」

「いえ、それでは」

 

ギーゼラと呼ばれた女性はほんの少し微笑むとそのまま退室していった。

 

「今回で二回目だけど本当にゆーちゃんは王様なのね・・・」

「はいはい、どうせ魔王らしくない魔王ですよ」

「そんなつもりで言ったわけじゃないんだけどね、どうしてもあのアメリカにいた時のキュートなゆーちゃんを思い出しちゃってさ」

「わあ!?やめろよ、人のそういう黒歴史広めようとするの!!」

「思い出すって言っただけで広めてないよ・・・と、隣にいる子は?」

 

ゆーちゃんの隣にいるここではめずらしい、日本ではよく見る黒髪黒目の眼鏡男子に目を向けた。

 

「はじめまして、渋谷のおねーさん。僕は村田健。こっちでは一応双黒の大賢者、猊下って呼ばれてます。」

「そう、よろしくね。村田君」

「ええ、こちらこそ末永くよろしくお願いしますね。おねーさん」

「村田、おまえなんでそんなにいつもより恭しいんだよ」

「え、渋谷気付いてないの?」

「なにが」

「おねーさんの魔力。尋常じゃないくらい澄んでるんだよ。それこそ、常人じゃあり得ないくらいね」

 

この子、鋭いな・・・うーんどうやって誤魔化そうか、というか誤魔化す必要は・・・いや、あるのか?変に軍事利用されても困るしな。まあ、来るべき時が来たら言うってことでいいか。

 

「うーん、魔力の感知が得意な人にはよく言われるけどね。でもあんまりこれといって自覚はないかな。本人が煩悩塗れだし」

「そうだよな」

「・・・なんか言った?ゆーちゃん♡」

「い、いえ別に」

「うふふふふー」

「ところで、なんでおねーさんはここにきたんですか?」

「それが分かんないんだよね気が付いたらここにいた、みたいな感じで。その気が付いたところが中庭っぽかったから不法侵入と間違えられたくなくて脱出しようと思ったらそこに至近距離であの骸骨がいたから失神したんだ」

「ああ、コッヒーな。俺も最初ここに来た時アトラクションかと思った。」

「私は怖かった・・・もう私死ぬのかなって、思って」

 

今思い出しても身震いしてしまう。あれが本当にガルラ霊だったら冥界行きである。

 

「あー、おねーさん?大丈夫ですよ彼らはなにもしませんから」

「本当に?ガルラ霊の進化したやつとかじゃないのね?」

「が、ガルラ霊?」

「そっか、渋谷。おねーさんはこの世界の前にメソポタミアに行ったんだよな」

「そうだけど、それと何の関係があるんだよ」

「大ありかも。メソポタミアのガルラ霊って冥界に生者が来るとそれを殺して死者にする巡回みたいなのやってるらしいんだよ。ひょっとしたらおねーさんは死にかけてガルラ霊に追いかけられたことでもあるんじゃないかな」

「ええ!?あ、姉貴―?」

「ガルラ霊怖い、助けてギル、エルゥ、エレシュキガル・・・」

「やばい、もうこれ別の扉開こうとしてる!!」

「帰ってきてください、渋谷のおねーさん!!」

 

こうして偽ガルラ霊、もといコッヒーになれるまでおよそ一週間かかってしまう私なのであった・・・


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