弟はマのつく自由業、私はメのつく自由「いえいえ、王たる夫に永久就職です!!」 作:紗代
今回は眞王廟に召喚されてます。
拝啓ギルガメッシュ、エルキドゥ。座での生活は如何でしょうか。といっても座には時間の感覚がほとんどないとかいう話なのでひょっとしたら居心地とか関係ないのかもしれないけど。かくいう私はというと―――――知らない池にいた。
「ここはどこ―――――って、あれ?」
さすがにトリップ数回目ともなるとやや冷静に対処するようになってしまった。余裕はないけど頭は冷えてるっていう状態はまさにこのことをいうんだろうか、と思っていたらあることに気が付いた。この大気のマナの感じって、たしか前にも経験したことがあったような。そう、ゆーちゃんが魔王様してる世界。って・・・
「ここゆーちゃんの治めてる世界か!!」
とりあえず起き上がって周りを見渡すと私のいる池のようなところは中庭のようになっており、囲うようにして壁、というか廊下が広がっている。
前はどこか分からない村の近くの森の散策しかしてないからこういう人工的なもののあるところなんて初めてなんだよね。もしここが王宮とかだったら不法侵入で捕まっちゃうし、余計なことして警戒されるのも嫌なんだよなー。
「リオー、私を乗っけて空飛んでくれる?」
「きゅう!!」
リオは元気に一鳴きすると子ライオンの姿から元のライオンの姿に変身し私を乗せると空高く飛び上がった。よくあるRPGみたいに「ぼーっとしててそのまま見つかって捕まる→見逃してもらう代わりに面倒事を押し付けられる」とか有り得ないとは断言できないもん。たとえゆーちゃんが実権を握ってたとしても皆がゆーちゃんの言ったことに満場一致で賛成するとは限らないし、身内だからと言ってゆーちゃんに謁見できるとも限らないし、何より元の世界じゃない以上ゆーちゃんとの関わりを証明できるものがないんだよね。
だから現状把握できてない今私がすべきなのは捕まって小間使いになることではなく、この世界を知り、自分の目的を確立させることである。決して前に出来なかった異世界旅行をしようとかなんて思ってない。・・・・思って、ない。
ひとまず自分のいた建物の全景とか立地とか見ておくに越したことないよね。
そして、もうここら辺までくれば見渡せるかなーとか、もうここにいればたとえ見つかったって誰も追ってこないよねーなんて考えて下を見る、と。
カタカタカタカタッ!
「は?」
目の前、しかも至近距離にいかにも年期の入った骸骨が・・・・
「な、な、なぁ――――――?!」
そしてそのまま軽く失神した私は下へと落下して行くのでした・・・・
別名・イノリちゃん脱走失敗の回。
コッヒーみたいな生物はいくらメソポタミアであったとしてもいないはず、というかそんなのがバビロニアにわんさかいたら誰だって泣く。下手するとガルラ霊が出没してるなんていう噂になる。
なのでイノリちゃんも突然のことに失神しました。
今は半神半人であって完全な女神モード(ゼロの時や神代の終わりごろの姿)じゃないので七章のキャスギルみたいに逃げなきゃならないからです。