弟はマのつく自由業、私はメのつく自由「いえいえ、王たる夫に永久就職です!!」   作:紗代

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タイトルのまんまです。ほぼイノリちゃんの独白っぽくなっちゃいました。


おねえちゃんは心配性

あれから半年とちょっと。弟の有利(ゆーちゃん)は無事高校に合格し入学した。いやー、渾身の祈祷をした甲斐があったね!(←※学問の神様です)

私も学年が上がって2年生になった。これといって私に変化はない。が、ゆーちゃんにはあったようだ。

たぶん村田君っていう元同級生を庇ってなぜかびしょびしょになって帰ってきたときから。身体や心はなんともなさそうだったけど、魂レベルで覚醒させられていた。きっと誰かが無理矢理ゆーちゃんの魂に干渉したのだろう。

やっぱり帰ってきた時点でもっと強い加護をかけておくんだった。私の知る魔術より結構荒っぽいその術は下手をすると魂の崩壊が起こってもおかしくない代物だった。かけた相手をまず血祭りに上げるべきだろうか。

とにかくゆーちゃんの今後が心配なのでより強い加護をかけさせてもらった。これでしばらく大抵のことは大丈夫だろう。いざとなったらリオかユキを付けておくのもいいかもしれない。

これはゆーちゃんが乗り越えるべき試練なのかもしれない。でも、さすがにこんなことされてはちょっと黙っていられないのが私なのである。

過保護で結構。失ってからでは遅いのだからそういった不安は一から潰していくに限る。

この頃妙に運がいいのだとよくわからないながらも嬉しそうに語る弟を見て私もにっこりと笑う。

 

「へえ、そっか。よかったね、ゆーちゃん」

 

でもね、あんまり気にしなくていいよ。周りに私の正体がばれたら結構面倒臭いかもしれないから。前だったらこんなこと気にしなくてよかったんだけどなあ。今より信心深くて神様に対しての許容範囲広いし、大っぴらに魔術とか権能とか出してもあんまりとやかく言われるようなこともなかったしー・・・そう考えると今の現代社会って私みたいなやつには生きづらく設計されているのかもしれない。まあ、制約があったならあったなりに楽しむけどね!!

 

ゆーちゃん、無茶はほどほどにしてね。おねえちゃんはなんだか心配です。いざとなったら世界をぶち破ってでも報復に行くから、誰かにいじめられたときはいうのよ?

 

 

「へっくし!」

「どうなさいました、陛下?もしや風邪でも召されたのでは」

「いや、急にちょっと寒気がしただけだから。なんだろ、だれか俺の事噂してんのかな?」

「む、ユーリ!お前というやつはまた浮気か?へなちょこのくせn『ガシャーン』・・・・」

「今日は窓か、たしかこの前は床が抜けたのだったか」

「おかしいな、この間点検したばかりなんだが・・・」

 

過保護な女神(あね)がほくそ笑む。




神代での後悔を味わいたくないとばかりに先手必勝でいきました。たぶん被害は大したことないけど一番あいそうなのはヴォルフラム。有利の魂の記憶を無理矢理こじ開けたアーダルベルトはイノリちゃんのブラックリスト入りしています。

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