苫小牧港を離れ、本州を目指すフェリー。
聡美たち四人は個室を取っていた。
「ねえ、蘭姉ちゃん」
「なーに? コナンくん」
「船内探索してきていい?」
「じゃ、私が付き添うわ」
聡美とコナンが個室を出る。
「お兄ちゃん、なんか飲む?」
「さっきからコーヒーが飲みたい気分なんだよな」
「じゃカフェへ行こう」
聡美とコナンがカフェへと移動した。
カフェの前には人だかりが出来ている。
「なんだ?」
聡美が人混みをかき分けて中に入った。
驚き戸惑う聡美。
視線の先には、人が倒れていた。
人だかりの中から不安の声が上がる。
「一体なんだってんだ?」
と、コナンがやってきて驚く。
コナンは倒れている人物に触れた。
「気絶してるの?」
「いや、もう亡くなってるよ」
コナンは遺体の口元で臭いを嗅ぐ。
「アーモンド臭だ」
辺りを見渡すコナン。
「恐らく毒殺だろうな」
「みなさん、殺人事件です! ここから離れて下さい!」
聡美が叫ぶ。
人だかりが騒ぎ出す。
「店員さん、船長さんを呼んできてもらえますか?」
聡美が店員に言った。
「はい!」
店員が駆け足で船長を呼びに行き、連れて戻ってきた。
「一体何が……っ!?」
驚いて震え出す船長。
「船長さん、捜査の指揮を願います」
「捜査の指揮?」
「はい。大型船の船長には司法警察権がありますので」
「と言われましても、こういうことは初めてなので……」
「マニュアル通りでいいですよ」
「それより、あなた方は?」
「探偵……ですよ?」
「探偵?」
「そんなことより、指揮を。あと、医師に診断してもらいたいので、乗船していたら手配を願います」
「わかりました」
トランシーバーで医師を呼ぶ船長。
やってきた医師が遺体を確認した。
「亡くなってますね。死因は毒物によるものでしょう」
医師の診断をよそに、聡美は被害者の所持品を調べている。
運転免許証などによると、被害者の名は、
「なあ、聡美」
と、コナン。
「うん?」
「赤峰刑事、この船じゃなかったっけ?」
「そういえば……」
聡美は一緒に船に乗った赤峰刑事を思い出す。
「私、赤峰刑事捜してくる」
聡美は客室に駆け出した。
「赤峰刑事、いませんかー!?」
「おい、一体なんの騒ぎだ?」
小五郎が個室から出てくる。
「ああ、小五郎さん」
「どうした?」
「カフェで人が毒殺されたんだ」
「何!?」
小五郎はカフェへと駆けて行った。
各個室を開けて回る聡美。
個室の客からは変人と思われるが、致し方ない。
「あれ? 聡美さん、何やってるの?」
赤峰刑事が声をかける。
その手には船内で買ったと