名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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9.船上の毒殺

 苫小牧港を離れ、本州を目指すフェリー。

 聡美たち四人は個室を取っていた。

「ねえ、蘭姉ちゃん」

「なーに? コナンくん」

「船内探索してきていい?」

「じゃ、私が付き添うわ」

 聡美とコナンが個室を出る。

「お兄ちゃん、なんか飲む?」

「さっきからコーヒーが飲みたい気分なんだよな」

「じゃカフェへ行こう」

 聡美とコナンがカフェへと移動した。

 カフェの前には人だかりが出来ている。

「なんだ?」

 聡美が人混みをかき分けて中に入った。

 驚き戸惑う聡美。

 視線の先には、人が倒れていた。

 人だかりの中から不安の声が上がる。

「一体なんだってんだ?」

 と、コナンがやってきて驚く。

 コナンは倒れている人物に触れた。

「気絶してるの?」

「いや、もう亡くなってるよ」

 コナンは遺体の口元で臭いを嗅ぐ。

「アーモンド臭だ」

 辺りを見渡すコナン。

「恐らく毒殺だろうな」

「みなさん、殺人事件です! ここから離れて下さい!」

 聡美が叫ぶ。

 人だかりが騒ぎ出す。

「店員さん、船長さんを呼んできてもらえますか?」

 聡美が店員に言った。

「はい!」

 店員が駆け足で船長を呼びに行き、連れて戻ってきた。

「一体何が……っ!?」

 驚いて震え出す船長。

「船長さん、捜査の指揮を願います」

「捜査の指揮?」

「はい。大型船の船長には司法警察権がありますので」

「と言われましても、こういうことは初めてなので……」

「マニュアル通りでいいですよ」

「それより、あなた方は?」

「探偵……ですよ?」

「探偵?」

「そんなことより、指揮を。あと、医師に診断してもらいたいので、乗船していたら手配を願います」

「わかりました」

 トランシーバーで医師を呼ぶ船長。

 やってきた医師が遺体を確認した。

「亡くなってますね。死因は毒物によるものでしょう」

 医師の診断をよそに、聡美は被害者の所持品を調べている。

 運転免許証などによると、被害者の名は、小御門 健介(こみかど けんすけ)という。

「なあ、聡美」

 と、コナン。

「うん?」

「赤峰刑事、この船じゃなかったっけ?」

「そういえば……」

 聡美は一緒に船に乗った赤峰刑事を思い出す。

「私、赤峰刑事捜してくる」

 聡美は客室に駆け出した。

「赤峰刑事、いませんかー!?」

「おい、一体なんの騒ぎだ?」

 小五郎が個室から出てくる。

「ああ、小五郎さん」

「どうした?」

「カフェで人が毒殺されたんだ」

「何!?」

 小五郎はカフェへと駆けて行った。

 各個室を開けて回る聡美。

 個室の客からは変人と思われるが、致し方ない。

「あれ? 聡美さん、何やってるの?」

 赤峰刑事が声をかける。

 その手には船内で買ったと(おぼ)しきお土産が。

 


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