聡美たちは北海道警察苫小牧警察署に足を運んだ。
捜査一課で、首吊り自殺の概要を聞いている。
ちょうど、その警察署に、赤峰刑事が出張で来ており、それもあってか、簡単に捜査情報を引き出せた。
捜査によると、稲垣の妻は生きる気力を失った、と言うのが動機で、警察は自殺と処理した。
事件の捜査で、警察は薬物を押収していた。所有者は自殺した稲垣の妻だった。
「(お兄ちゃん)』
と、小声で言う聡美。
「なに?」
「なんで奥さんは薬物を?」
「それは俺も疑問に思ってたところだ」
「他殺の線が正しいとすると、奥さんは薬関係の取引とかをやってたのかしら?」
「関係がこじれて殺された?」
「うん」
(ということは……)
「「麻薬取締官」」
聡美とコナンが同時に言った。
「赤峰刑事、ちょっと」
と、聡美が赤峰刑事を呼んだ。
「なんだい、聡美さん?」
「北海道厚生局で、稲垣さんの奥さんの籍がないか調べてくれない?」
「なんで厚生局なんか?」
「亡くなった奥さんが厚生局に勤めていたんじゃないかなって」
「どうして?」
「だって、亡くなった奥さん、薬物を持ってたっていうじゃないですか。薬物を所持できるのは、厚生局に務める麻薬捜査官か、医療関係者くらいに限られてくるじゃん」
「なるほど。わかった、聞いてみるよ」
赤峰刑事はスマートフォンを出して、北海道厚生局に繋いだ。
「あ、もしもし? 僕、警視庁捜査一課の赤峰と申しますが、そちらに稲垣さんという名前の女性はお勤めになってますか?……ええ。……ええ。……お勤めになってる!?……実は、その方がお亡くなりになりましてね。薬物がらみの事件で殺されたんじゃないかと考えてるんですが……。……はい、ではこちらで捜査させていただきます」
赤峰刑事が、「失礼します」と、スマートフォンをしまった。
「聡美さん、ビンゴだったよ」
「相手は何て?」
「
「その組織の名前は?」
「コウノトリ」
「コウノトリだって!?」
コウノトリは世間を賑わせてる犯罪組織だった。
事件を起こしても、証拠が掴めず、なかなか逮捕ができず、警察も手を焼いていた。
稲垣の妻は、薬物側から解体しようと、コウノトリに潜入したのである。
だが、妻は正体が発覚し、ついには殺されてしまった、と聡美は推理した。
北海道警察は全勢力をあげて、コウノトリを殺人の疑いで逮捕し、一網打尽にしたのである。
聡美たちは旅館に戻り、稲垣に事件の解決を報告した。
「ありがとうございます! みなさん、お疲れだと思うので、今夜は是非ゆっくりしていって下さい! 調査料ってことでお金はいりませんので!」
「それは助かる」
と、小五郎。
聡美、コナン、蘭は先に部屋へ向かって行った。