名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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8.コウノトリ

 聡美たちは北海道警察苫小牧警察署に足を運んだ。

 捜査一課で、首吊り自殺の概要を聞いている。

 ちょうど、その警察署に、赤峰刑事が出張で来ており、それもあってか、簡単に捜査情報を引き出せた。

 捜査によると、稲垣の妻は生きる気力を失った、と言うのが動機で、警察は自殺と処理した。

 事件の捜査で、警察は薬物を押収していた。所有者は自殺した稲垣の妻だった。

「(お兄ちゃん)』

 と、小声で言う聡美。

「なに?」

「なんで奥さんは薬物を?」

「それは俺も疑問に思ってたところだ」

「他殺の線が正しいとすると、奥さんは薬関係の取引とかをやってたのかしら?」

「関係がこじれて殺された?」

「うん」

(ということは……)

「「麻薬取締官」」

 聡美とコナンが同時に言った。

「赤峰刑事、ちょっと」

 と、聡美が赤峰刑事を呼んだ。

「なんだい、聡美さん?」

「北海道厚生局で、稲垣さんの奥さんの籍がないか調べてくれない?」

「なんで厚生局なんか?」

「亡くなった奥さんが厚生局に勤めていたんじゃないかなって」

「どうして?」

「だって、亡くなった奥さん、薬物を持ってたっていうじゃないですか。薬物を所持できるのは、厚生局に務める麻薬捜査官か、医療関係者くらいに限られてくるじゃん」

「なるほど。わかった、聞いてみるよ」

 赤峰刑事はスマートフォンを出して、北海道厚生局に繋いだ。

「あ、もしもし? 僕、警視庁捜査一課の赤峰と申しますが、そちらに稲垣さんという名前の女性はお勤めになってますか?……ええ。……ええ。……お勤めになってる!?……実は、その方がお亡くなりになりましてね。薬物がらみの事件で殺されたんじゃないかと考えてるんですが……。……はい、ではこちらで捜査させていただきます」

 赤峰刑事が、「失礼します」と、スマートフォンをしまった。

「聡美さん、ビンゴだったよ」

「相手は何て?」

山崎 美江(やまざき よしえ)名義で犯罪組織に潜入してたそうだよ」

「その組織の名前は?」

「コウノトリ」

「コウノトリだって!?」

 コウノトリは世間を賑わせてる犯罪組織だった。

 事件を起こしても、証拠が掴めず、なかなか逮捕ができず、警察も手を焼いていた。

 稲垣の妻は、薬物側から解体しようと、コウノトリに潜入したのである。

 だが、妻は正体が発覚し、ついには殺されてしまった、と聡美は推理した。

 北海道警察は全勢力をあげて、コウノトリを殺人の疑いで逮捕し、一網打尽にしたのである。

 聡美たちは旅館に戻り、稲垣に事件の解決を報告した。

「ありがとうございます! みなさん、お疲れだと思うので、今夜は是非ゆっくりしていって下さい! 調査料ってことでお金はいりませんので!」

「それは助かる」

 と、小五郎。

 聡美、コナン、蘭は先に部屋へ向かって行った。

 


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