名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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6.通り魔の解決

「それで、事件なんですか?」

「検視官の報告によると、死因は毒物によるものだということだよ」

 と、赤峰。

「亡くなった女性の名は?」

磯貝(いそがい) 望美(のぞみ)さん、二十代後半だよ」

(望美?)

 聡美は立てこもり犯の言っていた人物の名を思い出した。

「あれ? コナンくんは?」

 と、コナンがいないことに気付く蘭。

「コナンくんなら用事あるからって言っていなくなったけど……」

「なんだよ。寿司ご馳走してやるって言ったのに」

「赤峰刑事、我々以外の男性二人と女性に接点はあるんですか?」

「それはなかったよ」

「となると、怪しいのは、店長さん……あなたということになってしまうのですが?」

「待って下さい! 私はやってませんよ!」

「ご同行願えますか?」

 と、志村刑事。

「だから、俺が殺したんなら証拠を持ってこい、証拠を!」

「志村刑事、待って下さい」

 と、聡美。

「あ……ああ」

 聡美はトイレを確認する。

「赤峰刑事、このトイレットペーパーを鑑識に回して下さい」

「わかりました」

 赤峰刑事がトイレットペーパーを回収した。

 鑑識からの報告で、トイレットペーパーから毒が検出された。

「女性の前にトイレに入ったヒゲの方、あなたはトイレットペーパーに触れましたか?」

 ヒゲの見窄らしい男性は首を横に振るった。

「志村刑事!」

 他の捜査員がやってきて、志村刑事に報告した。

「何!?」

「どうしたんですか?」

「トイレの窓の外で目出し帽が発見されたそうだ」

「そういえば、毛利さんたちが来る前に男が来たな」

「どんな顔ですか?」

 と、どこからか用意した画用紙とペンでモンタージュを作成する聡美。

「こんな感じ?」

「そうそう、その男だ!」

「名前、わかりますか?」

峯岸(みねぎし)さんですよ。うちの常連客の」

「峯岸……殺人までやらかすとはね」

「工藤くん、その峯岸が犯人なのか?」

「否定はできませんね。刺傷事件の犯人は峯岸で確定ですが」

「その峯岸はどこに?」

「近所の家に立て籠もってますよ」

「よーし! その峯岸のところへ行こうではないか!」

 聡美たちは峯岸が立て籠もっている家へ向かった。

 現場に着き、電話をかける聡美。

 応答する男。

「峯岸さん」

「な、なぜ俺の名を」

「あなた、先ほど寿司屋に行きましたね? トイレの窓の外に目出し帽があったそうですよ」

「そんな事より、望美は連れて来れたのかよ?」

「亡くなりました」

「はあ?」

「あなたが殺したんです」

「どういう事だ?」

「寿司屋のトイレで毒物が検出されてます。あなたが用意したものではないんですか?」

「知らねえよ! 俺じゃねえ!」

「そもそも、あなたが立て籠もってる理由は通り魔をやらかしたから、ですよね?」

「は? 通り魔なんてやってねえよ」

「え?」

 思考が一瞬停止する聡美。

(はっ!?)

「志村刑事、寿司屋にいたヒゲの男性を! 速く!」

 志村刑事が他の捜査員に寿司屋のヒゲの男性を確保させた。

「工藤くん、部下にヒゲの男性を確保させたが、何の容疑で立件するんだ?」

「通り魔の刺傷事件と口封じに磯貝さんを殺害した容疑です」

「何?」

 疑問符を浮かべる志村刑事。

「峯岸さん、あなたはなぜ立て籠もっているのですか?」

「望美に会いたいからだよ」

「峯岸さん、磯貝さんとはどういうご関係で?」

「恋人だよ! 運命の! だけど、別れたんだ。もう会わないって。だから、事件起こして、警察に連れて来てもらおうと思ってな」

投降しよう──と、峯岸が家から出て来る。

 制服警官が峯岸を警視庁へ連行する。

 さりげなく出て来るコナン。

「あら、コナンくん」

 と、蘭。

「忘れ物しちゃって、戻ってきたらこの騒ぎだけど……」

「小さな探偵さんの出番はなかったかな」

 嫌味を言う聡美。

「ほっとけ」

 一方、寿司屋で捜査員に確保された男は、警視庁の取調室で犯行の全てを自供したと言う。

 


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