聡美と蘭にコナン、そして小五郎の四人は、死ぬほどうまいという寿司屋にやってきた。
「コナンはいいとして、なんで探偵娘まで付いてくるんだよ?」
と、開口一番に小五郎は言った。
「だってしょうがないじゃない。コナンくんが聡美も一緒にって言うんだから」
蘭が言い終えると、店長が口を開いた。
「いらっしゃい! 空いてる席にどうぞ!」
四人は空いてる席に座る。
「お久しぶりですね、毛利さん」
と、店長。
「仕事で一千万ほど入ったからよ。パーっとうまいもんでも娘たちにご馳走してやろうと思ってな」
聡美とコナンは店内を見渡す。
客は我々四人だけのようだ。
「今度は何を解決したんですか?」
「お金持ちが飼ってる猫を探して見つけただけだよ。依頼主の気前が良くてな。解決したら報酬を弾んでくれたんだ」
「そうでしたか。では、これなんか?」
特上のネタを四人に差し出す店長。
ガラガラ──扉が開き、男が入ってくる。
聡美とコナンは男を横目で見やる。
ヒゲの生えた
続いて、若い女が入ってくる。
そして、更に男。
彼らはそれぞれ空いている席に着いた。
「トイレどこ?」
最初に入ってきた見窄らしい男がトイレの場所を訊いて入った。
その後、若い女が入る。
若い女が出てくると、最後にやってきた男が、トイレに入る。
男が出てくると同時に、志村刑事と赤峰刑事がやってきた。
「志村さんに赤嶺さんじゃないですか」
と、聡美が言う。
「工藤くん!? なんで?」
「名探偵の小五郎さんのご馳走で寿司を
「いや、実はな──」
志村刑事たちは、近くで通り魔による刺傷事件が起き、聞き込みで得られた目撃証言や防犯カメラの映像を元に犯人の足取りを追ったら、この寿司屋に辿り着いた、と言う。
「──と言うことなんだ」
「その防犯カメラに犯人の顔は?」
「それが、目出し帽を被っててわからなかったんだ」
「コナンくん、一緒に来て」
「うん」
聡美とコナンが店を出る。
「志村刑事、犯人はどっちから?」
「店を出て左の方からだ」
「行ってみよう」
聡美とコナンは左へ進んだ。
「ん?」
「どうしたんだ?」
「あの家……」
コナンが聡美の指差した家の窓を見る。
「ああ、確かにな」
真昼間なのにカーテンがかかってるのはおかしい。
聡美は家の駐車スペースに止まってる車を確認した。
(なるほどね)
聡美はスマホを出すと、104から住所でその家の電話番号を調べた。
入手した電話番号へ自分のスマホからかける。
「も、もしもし?」
震えた声で応答する住人。
「立てこもり犯に変わっていただけますか?」
住人とは違う別の声で相手が応答する。
「なんだてめえ? 警察か?」
「探偵ですよ」
「探偵がなんで?」
「刺傷事件起こしたのは、あなたですよね? 馬鹿な真似はやめて出て来てもらえませんか?」
「こっちには人質がいるんだ! 要求を飲めば考えてやる」
「わかりました。要求を飲みましょう」
「もしできなかったら人質は殺す」
「それで? 私は何をすれば?」
「そうだな……」
聡美はコナンに目配せをした。
コナンが気配を殺して家に潜入した。
「
電話が切れる。
聡美は寿司屋に戻った。
「志村刑事! 刺傷事件の犯人見つけました!」
「今それどころじゃないよ。ここで女性の方が亡くなってしまってね」
と、赤峰刑事。
「え?」
思考が停止する聡美だった。