名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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45.ポアロ

 米花中央病院。

 康之の病室に、聡美はいた。

(よくよく見てみると康之くんイケメンね)

「う……」

 呻いて目を覚ます康之。

「あ、気がついた」

 康之が聡美を見る。

「誰だ、あんた? てか、ここどこだよ?」

「私は工藤 聡美。そしてここは病院だよ」

「工藤? ああ、あいつの妹か」

「決闘なんかしちゃダメよ。決闘は犯罪なのよ?」

「知るか、そんなこと」

 康之がベッドから降りようとして崩れる。

「無理しちゃダメよ。今、看護師さん呼んできてあげる」

 聡美が病室を出てナースステーションへ。

「看護師さん、加村くんが」

 看護師が康之の元に急ぐ。

「加村くん、ベッドに戻りましょうね」

「俺はガキか。くそ」

 康之はベッドに戻った。

 そこへ、刑事が訪ねてくる。

「加村くん、気がついたんだね?」

「あんたは?」

「私はこういうものだよ」

 刑事が懐から警察手帳を取り出して提示する。

「サツかよ。くそ」

「君には決闘のことで話を聞きたくてね」

「俺、逮捕されるのか?」

「状況次第だね」

 聡美が病室に入ってくる。

「康之くん、私もう帰るね」

 聡美はそう言って病室を出た。

「ん?」

 入り口の脇に立つコナンに聡美は気づく。

「お兄ちゃん? 何やってんの?」

「お前に用があってな」

「私に?」

「お前、キッドに変装と声真似を教わったんだったな」

「まさか?」

「頼む! 俺に変装して蘭と会ってくれ!」

 コナンが両手を合わせてお辞儀をする。

「いいけど、どうして?」

「蘭のやつ、俺を新一と疑い始めたんだ」

「しょうがないな。後で行くから帰ってて」

「頼んだぜ」

 コナンは走り去っていく。

 聡美も工藤邸に戻ると、大急ぎで新一に変装し、毛利探偵事務所に向かった。

 ガチャ。

 事務所の扉を開ける聡美。

「うん? 依頼か? ん!?」

 小五郎が聡美を見て驚く。

「て、てめえは新一!」

「小五郎さん、蘭は?」

「蘭ならコナンと夕食の買い物に行ってるぞ。ってか、おめえ今まで何してたんだ!? 蘭のやつすっごく心配してたぞ!」

「そうですか。じゃあ待たせてもらいます」

 聡美が小一時間ほど待つと、蘭とコナンが食材を買って帰ってきた。

 ごとりと食材が蘭の手から落ちる。

「し、新一?」

 蘭はコナンと聡美を交互に見る。

「よう、久しぶりだな」

「新一、あなた今まで何してたのよ!?」

「言っただろ? 厄介な事件抱えてるって」

「事件事件って、私のことはどうでもいいわけ?」

「どうでもって……」

「どうなのよ? はっきりしなさいよね! 全く!」

 蘭は落とした食材を拾う。

「行こ、コナンくん」

 蘭が半泣きしながらコナンと上の部屋へ向かっていく。

(とりあえず、これで疑いは消えたかな)

 聡美は事務所を出る。

「どこ行くんだ?」

「まだ片付けてない事件があるので」

 聡美はそう言って階段を降りていく。

 小五郎は窓越しに聡美を見る。

「厄介な事件ってなんだよ?」

 と、その時、喫茶店のポアロにトラックが突っ込んだ。

 ガシャーン!

 窓ガラスが割れ、トラックの前部が潰れる。

「な、なんだあ!?」

 コナンが驚いて外へ飛び出す。

 聡美もトラックの方を振り向く。

 


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