名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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43.米花中央病院殺人事件!

 帝丹高校。

 体育の授業。

 聡美ら生徒たちはマラソンをしている。

 チャイムが鳴り、授業が終わった。

「はあ……はあ……」

 息切れ中の聡美。

「もうラメ……」

「聡美、あんた飛ばしすぎよ」

 と、親友の鈴木 園子が言う。

「だって……」

 と、聡美は世良 真純を見る。

「ニヒヒ」

 世良がニヤニヤと笑ってる。

「ライバル心燃やしたいのはわかるけど、そんなことしてるといまに大変な目に遭うよ?」

 というのは毛利 蘭だ。

「そうね」

 聡美はそう答えた。

「あ、そうだ!」

 蘭が思い出したように言う。

「今晩、部活の練習で遅くなるから、コナンくんお願い、聡美」

「小五郎さんは?」

「お父さん、仕事で遅いのよ」

「わかった」

 四人は話しながら校舎へ入っていく。

 

 

 放課後、聡美は一人帰路に就いている。

「よう」

 校門の前で、コナンが塀に寄りかかっている。

「蘭にお兄ちゃんの子守頼まれたんだけど」

「いらねえよ」

「だよね。でも形だけ」

「そうだな」

 二人は歩き出す。

「ねえ、お兄ちゃん」

「あん?」

「寄り道してもいいかな?」

「いいけど、どこ行くんだ?」

「ついてくればわかる」

 聡美はコナンを連れて古いアパートの一室の前にやってきた。

「ここって、加村の家じゃ?」

「そうだよ」

「そういえば、おめえ小学校で加村とクラスメイトだったな。でもなんで?」

「義男くんは私のこと知ってるわ。戻るとこ見られちゃって」

「なに? 余計なことは言ってないよな?」

「お兄ちゃんのことも知ってるよ」

「なんだって?」

 ガチャ。

 扉が開き、義男が出てくる。

「あ、聡美お姉さん!……と、高校生探偵の新一お兄さん?」

(マジかよ)

 と、コナンは思った。

「それで、お兄さんの行方はまだ?」

「うん」

 コナンが話に割って入る。

「お兄さんに何があったんだ?」

 義男は無言で封筒を見せた。

 果たし状と書かれている。

「これが兄ちゃんの机の上にあったんだ」

「ちょっといい?」

 聡美は封筒から手紙を取り出した。

 そこには、義男の兄、康之(やすゆき)を呼び出すようなことが書かれている。

「手紙の相手は?」

「わからないよ。でも、兄ちゃんはきっとそこに行ったんだ」

「じゃ、三人で行こっか」

「うん」

 三人は手紙に書かれた待ち合わせ場所に向かう。

 待ち合わせ場所のある河川敷。

 康之がボロボロの姿で倒れていた。

「兄ちゃん!」

 義男が駆け寄る。

 意識がない。

 聡美は救急車を呼んだ。

 ピーポーピーポー、と康之と聡美たち三人を乗せた救急車は米花中央病院へとやってきた。

 康之は怪我の具合がひどく、治療が終わってもなかなか目を覚まさない。

「兄ちゃん……」

 泣きそうになる義男。

 そこへ米花中央署の刑事がやってくる。

「通報をしたのは君かい?」

「はい」

「名前は?」

「工藤 聡美です」

「く、工藤 聡美!?」

 驚き戸惑う刑事。

「工藤 聡美って帝丹高校の女子高生探偵!?」

「そうですけど、それが?」

「と言うことは、加村 康之は何らかの事件の被害者なのか?」

「いや、ただの喧嘩でしょう」

「なんだ。工藤さんの推理が見れると期待しちゃったよ」

 刑事はベッドで静かに眠る康之を見た。

「加村の家にこれがあったそうよ」

 聡美は先ほどの封筒を刑事に渡した。

「果たし状……決闘罪が成立しそうだな」

「決闘罪ってなに?」

 義男が訊く。

「正式には決闘罪に関する件と言って、決闘および決闘への関与を禁止する日本の法律なんだ」

 と、コナンが説明する。

「決闘罪は全6条からなり、決闘を申し込んだ人、申し込まれた人、決闘立会人、証人、付添人、決闘場所提供者など決闘に関わった者に適用されるんだ。もっとも、構成要件及び法定刑は主体ごとに定めるとしているよ」

 と、付け加えるコナン。

「僕、よく知ってるね?」

 と、刑事がコナンを見下ろす。

「って、テレビでやってたよ!」

(なんちゅう番組だ)

 と、突っ込む聡美。

 その時、どこからか、悲鳴が聞こえてきた。

「きゃああああ!」

 聡美とコナンは駆け出した。

 悲鳴の元は女子トイレである。

「どうしたんですか!?」

 個室の前で腰を抜かしている女性。

 ワナワナと震える手で指差した先には、血だらけになった女性の遺体。

「……!?」

「一体なんの騒ぎだい?」

 駆けつけた刑事がトイレの入り口の前で訊ねる。

 聡美は外に出て、事件が起こった、と伝えた。

 


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