名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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42.爆破事故

「ん?」

 誰かの視線に気づき、振り返る聡美。

「誰だ!?」

 視線の主は去っていった。

「聡美くん、進展があった!」

 目暮が叫ぶ。

 聡美は目暮に駆け寄る。

「御影さんなんだが、危険物取り扱いの資格を持っていたことがわかってな。昔は映像会社で特撮ドラマの撮影に携わっていたらしい。事故だとはいえ、その時に仲間が爆発に巻き込まれて亡くなっていたそうだ」

(なんだと?)

「それでな、爆発スイッチをうっかり触って押してしまった沖山(おきやま) 恵子(けいこ)も辞めて、二軒目の現場のここで働いていたことがわかった」

「なんですって!?」

 驚く聡美。

「それじゃ、その仲間の死を恨んでる誰かが爆弾を?」

 と、世良が言う。

「いずれにせよ、爆発はこれで最後だろう」

 そう断言する目暮。

「とりあえず、その爆発事故で亡くなったスタッフについてボクは知りたい」

「私も知りたいです」

 二人の言葉に、目暮は申し訳なさそうな顔をして言った。

「その映像会社は潰れててな。残念ながら、当時のスタッフを捜すのは骨が折れるよ」

「当時の関係者を御影さんから聞きましょう」

「そうだな」

 三人は東都総合病院に足を運んだ。

 病棟の個室に、御影はいた。

「御影さん、警察です」

 目暮が御影に警察手帳を見せた。

「あなた、寿司を握る前は映像会社で働いてましたよね?」

「はい。

「その時に起きた爆発事故についてお話を聞かせてくれませんか?」

「いや、今はなにも……」

「しかし、爆破事件の犯人を捕まえないとまた襲われる可能性がだね」

「刑事さん、あなたは当時の関係者が犯人だと?」

「その可能性は十分にあります」

(ひかり)ですよ」

「え?」

天沢(あまさわ) (ひかり)が爆発に巻き込まれて亡くなったんです」

「天沢?」

 目暮は埼玉県警に天沢という警察官がいることを思い出した。

 その天沢の妹が、輝という名で、他界しているらしい。

「目暮警部、天沢 輝って確か、当時ニュースになったけど、兄が記者会見してませんでした?」

「その兄、私の知り合いの警察官かもしれん」

「警察官?」

「埼玉県警のな」

「それじゃ、その警官が?」

「いや、まだ決まったわけじゃないよ」

「警部、容疑を固めるためにも、埼玉県警へ飛びましょう」

「そうだな」

 三人は埼玉県警本部に向かった。

「警視庁の刑事さんが何の用で?」

「天沢について調べてる。知ってることを教えてくれ。東京で起きた爆破事件の重要参考人なんだ」

「天沢?」

「輝の兄だ」

「ああ、あの映像会社の事故の?」

「ああ」

「天沢は今、爆発物処理班に配属されておるよ。まさか、爆弾の知識を取り入れて?」

「処理班だな? よし」

 目暮は二人を連れて爆発物処理班の部屋へ向かった。

「なんですか?」

 目暮は警察手帳を見せる。

「警視庁?」

「天沢はどこだ?」

「今週は有給で休みです」

「どこにいるか聞いてるか?」

「さあ、それは」

「連絡先教えてくれないか? 重要参考人なんだ」

「なんの?」

「東京で二件起こった爆破事件のな」

「え? まさか、天沢が?」

これが携帯番号ですけど——と、職員が番号を見せる。

「どうもありがとう」

「あと、これも」

 目暮は天沢の住所が書かれたメモを受け取った。

「行くぞ」

 三人は天沢の家に向かった。

 ピンポン、とチャイムを鳴らす。

 男性が出てきた。

「あれ! 目暮警部じゃないですか」

「天沢、今日なにしてた?」

「なにって、家にいましたが?」

「実はな、お前の妹が務めていた映像会社の関係者の店で事件が起きてな」

「事件? 相当の威力だったんでしょうか?」

「ああ、両手が吹っ飛ぶくらいのな。二件目は客が死んでおる」

「そうなんですね」

 聡美は口を開いた。

「今の、秘密の暴露ですよね?」

「え?」

「目暮警部は爆破事件だなんて一言も言ってません。なんで、爆破だとわかったんですか?」

「ああ、それはニュースを見て……」

「まだニュースにはなってませんよ」

「……………………」

「一件目、二件目の料理屋を爆破したのは、あなたですよね?」

「俺は寿司屋なんて爆破してねえ!」

 聡美は勝ち誇った笑みを浮かべた。

「なんだよ?」

「寿司屋、と言いましたね?」

「ああ、それがどうした?」

「私は料理屋と言っただけで、寿司屋だなんて、一言も言ってませんよ」

「……!?」

 焦る天沢。

「天沢、署まで来い」

 天沢を署まで連行する目暮。

 その後、天沢は取調室で全面自供した。

 


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