中からゴリラーマンみたいな女が出てくる。
「誰?」
目暮が警察手帳を見せた。
「警視庁捜査一課の目暮だ。御影の件で話が聞きたい」
「御影? 誰ですか? そんな男、知りませんよ」
「ほう。なぜ男だと? 私は御影と言っただけですよ?」
「いや、それは……」
「あなたが御影 健一に思いを馳せていたというのは明白です。ストーカーをしていたというのも、毛利探偵から聞いている」
目暮の言葉の後、聡美が言った。
「朝倉さん、あなたが御影さんに危害を加えたのでは?」
「私、何もやってませんよ。ストーカー以外は。何かあったんですか?」
「寿司屋が爆発してな」
「ば、爆発!?」
「どうやら金属の箱にセットされて送られてきたらしいことがわかってる」
「そんな恐ろしいこと……」
「署まで来てもらえますか?」
朝倉は三人を突き飛ばし、逃走した。
「待て!」
三人は追う。
朝倉は二・三百メートル先ですっ転び、その隙に取り押さえられ、目暮に対する公務執行妨害でしょっぴかれた。
「御影くんのことは確かに好きでした。告白してフラれたけど、それでも諦められず、アタックを続けてました」
「それがエスカレートしてストーカー行為に発展した、と?」
「はい。すみませんでした」
「ふーん……」
目暮は考え込んだ。
隣の部屋からガラス越しに聡美と世良が見ている。
「朝倉が犯人なのかな?」
「え?」
「私にはクロだと思えないんだよね」
「第三者が犯人だというのか? でも、朝倉は実際、犯罪に走ってるわけだし」
「いや、ストーカーだからといって爆発なんて過激なことはしないと思う。それに、御影さんを狙うんだったら、別の方法があったはずよ。爆弾犯には別の目的があったんじゃない?」
「そうか。じゃあ、寿司店そのものを破壊するつもりだったとか?」
その時、取調室に捜査員が駆け込んできて、目暮に耳打ちする。
「何!? 杯戸町の寿司屋で爆発!? 被害状況は?」
「かなり深刻で。全体吹っ飛んで、中にいた客も重傷です。中には亡くなった方も」
「わしは現場に行く。朝倉を拘留しといてくれ。公妨だ」
「わかりました」
目暮は取調室を出て、聡美と世良に合流する。
「行こう」
目暮の運転で第二の現場へ。
爆発したのは、杯戸町のチェーン店の回転寿司店だ。
やはり、厨房で爆発し、完全に倒壊し、今度は客からも死傷者が出ている。
「聡美くん、世良くん、手分けして調べるぞ。何か手がかりが掴めるかもしれん」
三人は手分けして鑑識に混じって現場を捜索した。
「目暮警部!」
と、世良。
「さっきの箱のような金属片を見つけたんだが」
「確かにさっきの箱と同じ柄だな。しかし、威力がでかすぎる」
「ん?」
聡美は現場の前でそわそわしている男性に気づく。
「すみません、どうかされました?」
訊ねる。
「え? いや……」
「お名前、聞いても?」
「は、
「犯沢さん?」
「いや、何もしてないですからー!」
犯沢は逃げいていった。
(あれは関係ないね、たぶん)