名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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40.ストーカー

 回転寿司店の厨房が爆発した。

 世良の機転ですぐに警察がやってきた。

「聡美くんに世良くんか」

 と、警視庁捜査一課強行犯係の目暮警部。

 その横には高木刑事と佐藤刑事がいる。

「毛利くんといい君といい、なんでこうも毎回事件に巻き込まれるんだね?」

「はは……」

「で? 爆発は厨房からか?」

 目暮や聡美たちは厨房に入る。

 厨房は完全に吹き飛んでおり、天井や壁が倒壊していた。幸い、ホールは無事だった。

 爆発に巻き込まれたのは、厨房で寿司を握っていた御影(みかげ) 健一(けんいち)という若い板前職人。届いた荷物を開けた瞬間に爆発し、両手が吹き飛び、なくなった。命に別状はなく、近くの米花総合病院で治療中だ。

「刑事さん!」

 と、御影の同僚のホール担当のスタッフが声をかける。

「なんですかな?」

「御影は、なんでこんなことに?」

「それはわかりません。ところで、あなたは?」

「あ……僕は工藤(くどう) 信一(のぶかず)です」

(工藤? 私と同じ……)

 聡美は内心思ったようだ。

「工藤さん、お気持ち察します。御影さんが恨まれるようなそういったことはありませんか?」

「うーん……、恨みね……。人に好かれるタイプでしたから、そのようなことはないと思いますが」

「そうですか……」

「あ!」

「何かあるんですか?」

「実は御影、ストーカーに悩まされてたみたいで。御影、女の子にモテる、いわゆるイケメンだから、そういうの多くて」

「ストーカー、ですか……。警察には相談は?」

「警察っていうか、私立探偵に犯人を調べてもらったみたいですよ」

「ほう。その探偵の名前とかは聞いてますかね?」

「えっと、確か、こうり もごろう……」

「毛利 小五郎?」

「そうそう、それでした!」

「よりによって毛利くんが関係してくるとは」

 聡美が口を開く。

「警部、これに爆弾が入ってたんじゃないですか?」

 現場を調査して見つけた金属の箱を示した。

「煤はついてますが、これだけ歪んではいますが壊れていません」

 鑑識が箱を受け取った。

「工藤さん、店が加入している警備会社は?」

「えっと……確か、OLSOK(オルソック)です。店長が全部やってるんで」

「店長さんは今日は?」

「今日はお休みですね」

「そうですか」

 高木——と、目暮が高木を見る。「店長さんに事件を伝えてくれ」

「わかりました」

 店長を調べ、事件を報せに行く高木刑事。

「聡美くん、犯人はわからないのかね?」

「いくらなんでも手がかりが少なすぎます。そりゃまあ、箱から指紋出ればあれでしょうけど。とりあえずは蘭のお父さんに話聞いてみませんか?」

「そうだな」

 佐藤くん——と、目暮。「私は毛利くんのところへ行く。ここは君に任せる」

「わかりました」

 目暮と聡美、世良は毛利探偵事務所へ。

「毛利くん、邪魔するぞ」

「警部どの、どうされました?」

「御影 健一、知ってるな?」

「いや、なんのことでしょう?」

「とぼけるな。御影の同僚から聞いたぞ」

「いや、私は本当になにも」

「守秘義務で依頼人を守りたい気持ちはわかる。だがな、その依頼人が事件に巻き込まれてな」

「事件? またスト……」

「爆破事件だ」

「……爆破事件!?」

「ああ。寿司屋の厨房で荷物を開けたところ、爆発して両手を吹っ飛ばされてな」

「そ、それじゃ、御影さんはもう寿司を?」

「そうなるな。運良く移植できればまた握れるかもしれないがな」

「そんな、御影さんが。犯人はわかってるんですか?」

「それを知るために来ておるんだろうが。依頼の調査でわかったことを教えてくれ」

朝倉(あさくら) 桃子(ももこ)という女がストーカーでした。英理と合同で本人に警告は出しました」

「その朝倉とはどういう?」

「ゴリーラーマンですよ」

「ゴリラーマン?」

「漫画のキャラクターでして、それに似てました」

(それ随分醜い女性ね)

「その女の連絡先を教えてくれ」

 小五郎は調査資料を探す。

「これです」

 目暮が住所をメモる。

「それじゃあな。あ、今回は聡美くんがいるんでな。お前は来なくていいぞ」

 目暮、聡美、世良は事務所を出た。

「さて」

 車で朝倉の家へ向かった一行。

 ピンポン、インターホンを押す。

 


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