名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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35.転落殺人

 聡美は帝丹高校から出て帰路に就いた。

 一緒に帰るのは蘭と園子、それから世良だ。

「ねえ、三人とも」

 と、蘭。

「どうしたんだ、蘭くん?」

 世良が訊く。

「帰り道に小学校通るから、コナンくん迎えに行こうよ!」

「そうだね」

 と、聡美。

 四人は帝丹小学校にやってくる。

 校門の前に立っていると、警備員がやってきた。

「君たち、何か用かな?」

「コナンくんを待ってるんですよ」

「ここで待つより、中へ入ったらどうかね?」

「そうですね」

 四人は校内に入った。

 一年の教室へ行く。

「コナンくん」

 元太たちと話していたコナンがこちらを見る。

「あ、蘭姉ちゃんたち、どうしたの?」

「帰るついでだから迎えに来たのよ」

「そうなんだ。でもごめん。みんなと博士の家に寄ることになってるから」

「そう。遅くならないうちに帰ってくるのよ?」

「うん」

 四人は帝丹小学校を後にした。

「どっか寄っていかない?」

 と、園子が言う。

「どっかへってどこへ?」

 その時だ。

「きゃああああ!」

 女性の悲鳴が聞こえてきた。

 聡美は悲鳴の元へ駆けつける。三人も追ってきた。

「何かあったんですか?」

 聡美の問いに女性が指を差した。

 その先にはマンションがあり、その前に男性が血だまりの上に横たわっている。

 聡美は男性の生死を確認した。

「どうなんだ?」

 と、世良。

 聡美は首を横に振るった。

「何があったんですか?」

「私、そのマンションなんだけど、いきなり上から落ちてきたのよ」

 聡美と世良が屋上を見上げた。

 特に怪しいものはない。

「上、行ってみるか?」

「蘭、警察に通報しといて」

 聡美と世良が屋上へと向かうが、しかし、そこへ繋がるところに柵状のドアがあり、錠前で閉ざされていた。

 ここへ登ってくる間、誰ともすれ違ってはいなかった。屋上の前までエレベーターで上がった時に、もし犯人が存在するとしたら、非常階段で逃げた可能性がある。

 二人は地上に降り、警察の到着を待った。

 やがて、サイレンが聞こえ始め、それが近づいてきて、覆面パトカーが姿を見せる。

 覆面パトカーから、目暮警部たちが降りてきた。

「聡美くんか。何があったんだね?」

 聡美は目撃者のことを示した。

「彼女が事件の目撃者です」

「事件? 殺人なのかね?」

「恐らくは」

 聡美に次いで、世良が口を開いた。

「たぶんあそこから落ちたんじゃないかな」

 世良はそう言って、屋上を指差した。

 ……。

 …………。

 ………………。

「えー、亡くなったは、このマンションの管理人で、檜佐木(ひさぎ) 秀一(しゅういち)さん、五十八歳の独身。屋上の前の扉に鍵がかけられていたところから見て、誰かに突き落とされた可能性があります」

 そう高木が事件の説明をする。

「警部、現場付近で不審な行動をしていた二人を連れてきました」

 と、佐藤刑事が二人の男性を示した。

「あなた方は?」

 左の男が言う。

「俺は山崎(やまさき) 昭雄(あきお)

「付近で怪しい動きをしていたというが?」

「ああ、コンタクトレンズを落としてしまいましてね。それで探し回ってたんですよ」

(新しいの買った方が速いんじゃないの?)

 と、聡美は思った。

「あなたは?」

「僕は吉原(よしわら) 敬三(けいぞう)

「付近でなにをしていたんですか?」

「すみません! 空き巣に入る家を物色してました! でも、今日は入ってません! 本当です!」

「空き巣はしないように! けど、今回は空き巣じゃなくて、殺人事件なんですよ」

 二人の顔が驚きの表情に変わった。

 


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