名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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3.コナン

 新一が蘭と共に、トロピカルランドでジェットコースターの順番待ちをしている。

 二人がコースターに搭乗し、次の二人が座ったとき、「どけどけ、俺たちが先だ!」と、黒ずくめの二人組が、その後ろの順番を割り込んで席に着いた。

 発車するコースター。

 コースターの走行中、新一の後ろの男性の首が吹っ飛ぶという(おぞ)ましい事件が起こった。

 犯人は、新一の前に座っていた体操部の女子大生で、トンネルの中で被害者の首にワイヤーを回し、ワイヤーの先端のフックをレールに引っ掛け、コースターの圧力で首を吹っ飛ばすという大胆な方法で殺害したのだった。

 その帰り、新一は黒ずくめの男の怪しい取引を目撃し、もう一人の男に襲撃され、目が覚めたら体が縮んでいた。

 新一は何とか家に帰り、中に入ろうとするが、門を開けられない。

 そこへ阿笠が通りかかり、新一に声をかけた。

「僕、何をしているんじゃ? そこは工藤兄妹の家じゃぞ」

「博士! 俺だよ、俺! 新一だよ! 変な奴らに変な薬飲まされて小さくなっちまったんだ!」

 新一は阿笠にことの発端を説明した。

「怪しいやつめ。警察に突き出してやる!」

 だが、信じてもらえず、引きずられる。

 新一は阿笠のヒゲに付いたケチャップや、ズボンの裾のシミを見て、彼がコロンブスというレストランに行っていたことを推理した。

「ほ、本当に新一なのか?」

「だからそうだって言ってんだろ」

「そんなことって……」

 信じられないという顔をする阿笠。

「とりあえず、中へ入れ」

 阿笠が門を開ける。

 二人は工藤邸に入り、書斎へ向かった。

 新一が幼い頃に着ていた服に着替える。

「新一兄ちゃん、帰ったの?」

 そこへ、聡美がやってくる。

「おお、聡美か。大変なことになってしまったんじゃ」

 と、阿笠が言う。

 聡美は阿笠の隣にいるメガネをかけた小さな新一を見る。

「……誰?」

「こいつは新一じゃ。変な奴らに毒薬を飲まされて体が縮んでしまってのう」

「はあ? 薬で体が縮んだ?」

 聡美の問いに、「そうなんだ」と、新一が答える。

 そこに、蘭が現れる。

「新一、帰ってるの?」

「あ、蘭!」

「聡美、新一は?」

「知らない」

「あら?」

 蘭が新一に気付く。

「君は?」

 新一は、名を聞かれて、とっさにこう答えた。

「コナン。僕の名前は江戸川(えどがわ) コナンだ」

「変な名前ね」

「お父さんがコナン・ドイルの大ファンで」

 と、新一改めコナンが言う。

「そうなんだ」

 蘭はそう言ったあと、阿笠を見た。

「この子、どうしたんですか?」

「実は両親が交通事故で入院してのう。しばらくうちで暮らすことになったんじゃが……。そうじゃ! 蘭くんのところでこの子を預かってもらえんかのう!? その方がコナンくんも喜ぶじゃろう!」

「別にいいですけど……」

「そうか! そいじゃ決まりじゃな! 蘭くん、コナンくんをよろしくな」

「はい」

 コナンは蘭に連れられ、蘭の父親が探偵をやっている事務所に転がり込んで行った。

 


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