高木刑事が現場付近をうろうろしていた怪しい二人を連れてきた。
「俺らはなんもしてねえって」
「そうだそうだ!」
風貌は
「あなたたち、組織の人間?」
「組織?」
黒尽くめと目暮警部が疑問符を浮かべた。
「なんだね、その組織とは?」
と、目暮警部。
「いや、なんでもないです」
で──と、聡美は二人組を見た。
「先ほど、この屋上から人が落下して亡くなったのですが、あなたたちは付近で何を?」
「も、もしかして俺ら疑われてる?」
聡美たちは頷いた。
「あなた方には指紋を提出していただきたのですが……」
「指紋?」
「この建物の屋上からあるものが見つかりましてね。それについている指紋と照合したいのですよ」
「別にいいぜ」
なあ?──と、もう一人を見る黒尽くめの男。
二人は指紋を提出するが、しかし、それは一致しなかった。
「どうやら俺らは容疑者から外れたようだが」
「帰らせてもらうからな」
二人は去っていった。
「あれ?」
蘭が何かに気付く。
「そういえば、今の人たち、新一がいなくなったときにも遊園地にいたわ」
「え?」
聡美は思い出した。以前、コナンが言っていた、黒尽くめの二人の容姿を。その風貌が今の二人に酷似しているのだ。
「目暮警部!」
千葉刑事が建物から出てきた。
「このアパートの屋上から飛び降りるところを見た、と証言する人物が現れました。面倒なことに巻き込まれるのがいやだから黙っていたそうですが」
「なんだと? それじゃあ、投身自殺なのか」
「恐らくは」
「しかし、遺書の指紋は……」
「恐らく、袋詰めの際に作業員の指紋が付着したのかと。念のため、亡くなった方の部屋にあった他の用紙の指紋も調べたところ、同様のものが」
「そうか。それじゃあ、自殺だな」
捜査員は後片付けをして去っていった。
「帰ろっか」
聡美たちは帰路に就く。
交差点に差し掛かり、聡美は三人と別れて一人で工藤邸へ向かう。
その途中、何者かに追跡されているのに気付いた。
聡美が駆け出すと、何者かも走った。
角を曲がる。
何者かが角を曲がると、聡美の姿がない。
「どこへ行った!」
何者かの後ろに聡美が現れる。
「何かご用ですか? ジンさんにウォッカさん」
振り返る二人の黒尽くめの男ことジンとウォッカ。
「ほう。俺たちを知ってるとはな」
「兄貴、こいつどこまで知ってるんでやんすかね」
ジンが懐から拳銃を取り出した。
「まだ警察がいるからそれはないんじゃない? 私を殺すなら例の薬を使いなよ」
「即死ではなく苦しんで死にたいか。いいだろう」
ジンは拳銃を構えたまま、懐からケースを取り出してウォッカに渡した。
ウォッカはカプセルを取り出し、聡美の口に放り込んだ。
「飲め」
聡美は唾を飲み込む。
「うっ!」
苦しそうにしながらその場に倒れる聡美。
「ずらかるぞ」
ジンとウォッカは逃げ出した。
聡美は口からカプセルを取り出す。
「これで解毒剤が作れるわね」
聡美はカプセルをしまい、阿笠邸に向かった。
ガチャリ、と阿笠邸のドアを開けた。
「博士、黒尽くめの奴らから薬かっぱらってきたけど」
「何!?」
灰原が地下室から出てくる。
「それ本当!?」
聡美はカプセルを灰原に渡した。
「これがあれば……」
灰原は地下の研究室に戻って行った。