名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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22.黒尽くめ

 高木刑事が現場付近をうろうろしていた怪しい二人を連れてきた。

「俺らはなんもしてねえって」

「そうだそうだ!」

 風貌は黒尽(くろず)くめ。兄の新一も黒尽くめの二人に小さくされたと言っていたが。

「あなたたち、組織の人間?」

「組織?」

 黒尽くめと目暮警部が疑問符を浮かべた。

「なんだね、その組織とは?」

 と、目暮警部。

「いや、なんでもないです」

で──と、聡美は二人組を見た。

「先ほど、この屋上から人が落下して亡くなったのですが、あなたたちは付近で何を?」

「も、もしかして俺ら疑われてる?」

 聡美たちは頷いた。

「あなた方には指紋を提出していただきたのですが……」

「指紋?」

「この建物の屋上からあるものが見つかりましてね。それについている指紋と照合したいのですよ」

「別にいいぜ」

なあ?──と、もう一人を見る黒尽くめの男。

 二人は指紋を提出するが、しかし、それは一致しなかった。

「どうやら俺らは容疑者から外れたようだが」

「帰らせてもらうからな」

 二人は去っていった。

「あれ?」

 蘭が何かに気付く。

「そういえば、今の人たち、新一がいなくなったときにも遊園地にいたわ」

「え?」

 聡美は思い出した。以前、コナンが言っていた、黒尽くめの二人の容姿を。その風貌が今の二人に酷似しているのだ。

「目暮警部!」

 千葉刑事が建物から出てきた。

「このアパートの屋上から飛び降りるところを見た、と証言する人物が現れました。面倒なことに巻き込まれるのがいやだから黙っていたそうですが」

「なんだと? それじゃあ、投身自殺なのか」

「恐らくは」

「しかし、遺書の指紋は……」

「恐らく、袋詰めの際に作業員の指紋が付着したのかと。念のため、亡くなった方の部屋にあった他の用紙の指紋も調べたところ、同様のものが」

「そうか。それじゃあ、自殺だな」

 捜査員は後片付けをして去っていった。

「帰ろっか」

 聡美たちは帰路に就く。

 交差点に差し掛かり、聡美は三人と別れて一人で工藤邸へ向かう。

 その途中、何者かに追跡されているのに気付いた。

 聡美が駆け出すと、何者かも走った。

 角を曲がる。

 何者かが角を曲がると、聡美の姿がない。

「どこへ行った!」

 何者かの後ろに聡美が現れる。

「何かご用ですか? ジンさんにウォッカさん」

 振り返る二人の黒尽くめの男ことジンとウォッカ。

「ほう。俺たちを知ってるとはな」

「兄貴、こいつどこまで知ってるんでやんすかね」

 ジンが懐から拳銃を取り出した。

「まだ警察がいるからそれはないんじゃない? 私を殺すなら例の薬を使いなよ」

「即死ではなく苦しんで死にたいか。いいだろう」

 ジンは拳銃を構えたまま、懐からケースを取り出してウォッカに渡した。

 ウォッカはカプセルを取り出し、聡美の口に放り込んだ。

「飲め」

 聡美は唾を飲み込む。

「うっ!」

 苦しそうにしながらその場に倒れる聡美。

「ずらかるぞ」

 ジンとウォッカは逃げ出した。

 聡美は口からカプセルを取り出す。

「これで解毒剤が作れるわね」

 聡美はカプセルをしまい、阿笠邸に向かった。

 ガチャリ、と阿笠邸のドアを開けた。

「博士、黒尽くめの奴らから薬かっぱらってきたけど」

「何!?」

 灰原が地下室から出てくる。

「それ本当!?」

 聡美はカプセルを灰原に渡した。

「これがあれば……」

 灰原は地下の研究室に戻って行った。

 


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