名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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21.自殺か他殺か

 帝丹高校。

 いつものように蘭と登校する聡美。

 教室に入ると、園子が声をかけて来た。

「二人とも、聞いて! 今日、うちのクラスに転校生が来るそうよ!」

「転校生?」

「イケメンかしら?」

「園子……」

 苦笑いをする蘭。

 チャイムが鳴り、教師が入って来る。

「みんな、ホームルームの前に転校生の紹介だ」

 教師がその人物へ入るように促すと、女子が入って来た。

「ボクは世良(せら) 真純(ますみ)。みんな、よろしくな」

「あいつ男のくせにスカート穿いてるぜ」

 男子が笑い出す。

「ボクは女だよ!」

「男の()だってよ」

「ちょっと男子!」

「なんだよ、工藤?」

「彼女は本物の女子よ。膝が内側に向いてるでしょ?」

「言われてみれば」

「男子だったら外側を向いてるから」

「すまん、ボクっ娘」

(やれやれ……)

 転校生の紹介を終え、ホームルームが始まる。

「あー、イケメン男子じゃなかった……」

 聡美の横で園子が机に伏している。どうやら女子だったことにショックを受けているようだ。

(ん?)

 聡美は過去の記憶がフラッシュバックした。

 幼い頃、海辺で、世良に似た女の子と遊んでいた記憶。

 その時、ある事件が起きて、新一がピエロと呼んだ男がその事件を解決したこと。

(世良って言ったか。あの子、どこかで……)

「それじゃ、世良は……あそこだ」

 空席を指す教師。そこは新一の席だった。

「とりあえず、そこに座れ。席は後で用意する」

 世良は指定された席に座った。

「君、名は?」

「工藤」

「へえ、君が女子高生探偵の工藤さんか」

「成り行きだけどね」

「へ?」

「いや、死体発見能力が備わってるから、そのついでに事件の解決を、とね」

 やがて、ホームルームが終わり、教師が出ていった。

 ……。

 …………。

 ………………。

 放課後、聡美たちは世良と共に帰路に就いた。

「世良さん」

 と、聡美。

「何かな?」

 その時、背後でドスッと物音が聞こえた。

 四人が恐る恐る振り返ると、そこには男性の遺体。

「「きゃあああああ!」」

 蘭と園子が悲鳴を上げる。

「蘭、救急車と警察!」

「う、うん!」

 蘭はスマホで消防と警察に通報した。

 やがて、救急車とパトカーがやってくる。

 遺体は救急車で病院へ搬送され、間も無く死亡が確認される。

「また君かね、聡美くん」

 と、目暮警部。

 聡美は無言を回答に落下したと思われる建物の屋上を見やる。

「目暮警部!」

 と、高木刑事が建物から駆け下りてきた。

「屋上にこんなものが」

 高木刑事が目暮警部に渡したのは、男性が残したと思われる遺書だった。

「なるほど。自殺か」

「いや、他殺だと思うよ」

 そう言うのは世良だ。

「なんで……ていうか、君は?」

「世良 真純。探偵さ」

(また面倒なのが現れたか)

 内心突っ込む目暮警部。

「聡美くん、彼の言った通り他殺なのかね?」

「ボクは女だよ!」

(何回やるんだこのくだり)

 と、聡美も内心で突っ込む。

「さっき、遺体を見たんですけど、抵抗した痕跡があったから、私も自殺ではないと思います」

「そうか……」

 目暮警部は一瞬考えると再び口を開いた。

「高木、千葉、他殺の線も入れて捜査だ」

 高木たち捜査員が聞き込みや現場をくまなく調査する。

 


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