名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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19.教官殺し

 聡美はバイクで警視庁の警察学校の前までやって来た。

 校門の前には複数のパトカーが赤色灯を回転させながら止まっている。

 中への立ち入りは制服警官によって封鎖されている。

「すみません」

「はい?」

 聡美の声に警官が反応した。

「殺人事件が起きたそうですね」

「え? どうしてそれを?」

「警視庁本部の目暮警部が事件の通報を受けたみたいだから」

「君は目暮警部とお知り合いなの?」

「はい。よく事件の捜査を手伝ってます」

「君は?」

「工藤 聡美。探偵です」

「そう。でも、ここに探偵は必要ないよ」

「そうですか」

 そこへ志村刑事が現れる。

「あ、志村刑事!」

「おお、聡美くんか。こんなところで何を?」

「ちょっと、事件の臭いに誘われて」

「中には入れられないぞ」

「ですよねえ……」

「それじゃ、捜査があるんでな」

 志村刑事は校内へ入っていった。

 それから暫くして、高木刑事が出て来る。

「高木刑事!」

「ああ、聡美さん!」

「どんな事件なんですか?」

「猪俣教官が校舎の屋上から転落して亡くなったんだよ」

「猪俣教官?」

「警察学校時代の僕の恩師だよ」

「他殺、なんですか?」

「うん。かもしれないね。少なくとも目暮警部はそう思ってる」

「猪俣教官のフルネームは?」

猪俣(いのまた) 陽介(ようすけ)

「猪俣 陽介? もしかして、猪俣 勝男(かつお)の息子?」

「そうだけど、どうして知ってるの?」

「前に父親が殺害され、警察官を目指したって、ドキュメンタリー番組でやってましたよ。確か、父親を殺した犯人、まだ捕まってないんでしょ?」

「うん、そうだね」

「容疑者は浮上してるんですか?」

「教官の方はまだだよ。父親の方は容疑者は浮上してるんだけど、証拠不足で逮捕できてないんだ」

「父親を殺害した容疑者は?」

「小学校の教師だよ」

「どこの?」

「コナンくんたちが通ってる帝丹小学校だったはずだよ」

「その容疑者の名前は?」

荻田(おぎた) 鉄平(てっぺい)。被害者に借金の返済を迫られて殺したんじゃないかと警察は見てるよ」

 聡美はバイクへ跨った。

「どこへ?」

「帝丹小」

「君一人じゃ危険だ。僕も行くよ」

「でも、捜査があるんじゃ?」

「実は荻田に話を聞きに行くところだったんだ」

 聡美と高木刑事は帝丹小へ向かう。

 事務室で事情を説明し、荻田との接触を図るが、荻田は退職していて、いないとのことだ。

 事前に調べた住所に行っても、荻田はいない。それどころか、部屋そのものがもぬけの殻と化していた。

「どうしようか」

「荻田を捜すしかないでしょ」

(ん?)

 聡美が血の臭いに気付く。

「これは……」

 お風呂場へ行く。

「どうしたんだい?」

 高木刑事の問いを無視してバスタブの蓋を開けた。

「……!?」

 そこには、血まみれの女性の遺体があった。

 


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