聡美はバイクで警視庁の警察学校の前までやって来た。
校門の前には複数のパトカーが赤色灯を回転させながら止まっている。
中への立ち入りは制服警官によって封鎖されている。
「すみません」
「はい?」
聡美の声に警官が反応した。
「殺人事件が起きたそうですね」
「え? どうしてそれを?」
「警視庁本部の目暮警部が事件の通報を受けたみたいだから」
「君は目暮警部とお知り合いなの?」
「はい。よく事件の捜査を手伝ってます」
「君は?」
「工藤 聡美。探偵です」
「そう。でも、ここに探偵は必要ないよ」
「そうですか」
そこへ志村刑事が現れる。
「あ、志村刑事!」
「おお、聡美くんか。こんなところで何を?」
「ちょっと、事件の臭いに誘われて」
「中には入れられないぞ」
「ですよねえ……」
「それじゃ、捜査があるんでな」
志村刑事は校内へ入っていった。
それから暫くして、高木刑事が出て来る。
「高木刑事!」
「ああ、聡美さん!」
「どんな事件なんですか?」
「猪俣教官が校舎の屋上から転落して亡くなったんだよ」
「猪俣教官?」
「警察学校時代の僕の恩師だよ」
「他殺、なんですか?」
「うん。かもしれないね。少なくとも目暮警部はそう思ってる」
「猪俣教官のフルネームは?」
「
「猪俣 陽介? もしかして、猪俣
「そうだけど、どうして知ってるの?」
「前に父親が殺害され、警察官を目指したって、ドキュメンタリー番組でやってましたよ。確か、父親を殺した犯人、まだ捕まってないんでしょ?」
「うん、そうだね」
「容疑者は浮上してるんですか?」
「教官の方はまだだよ。父親の方は容疑者は浮上してるんだけど、証拠不足で逮捕できてないんだ」
「父親を殺害した容疑者は?」
「小学校の教師だよ」
「どこの?」
「コナンくんたちが通ってる帝丹小学校だったはずだよ」
「その容疑者の名前は?」
「
聡美はバイクへ跨った。
「どこへ?」
「帝丹小」
「君一人じゃ危険だ。僕も行くよ」
「でも、捜査があるんじゃ?」
「実は荻田に話を聞きに行くところだったんだ」
聡美と高木刑事は帝丹小へ向かう。
事務室で事情を説明し、荻田との接触を図るが、荻田は退職していて、いないとのことだ。
事前に調べた住所に行っても、荻田はいない。それどころか、部屋そのものがもぬけの殻と化していた。
「どうしようか」
「荻田を捜すしかないでしょ」
(ん?)
聡美が血の臭いに気付く。
「これは……」
お風呂場へ行く。
「どうしたんだい?」
高木刑事の問いを無視してバスタブの蓋を開けた。
「……!?」
そこには、血まみれの女性の遺体があった。