名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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18.誘拐

 聡美が工藤邸の自室で寝ている。

ドカーン!──隣家の阿笠邸が爆発する。

 びっくりして起きた聡美はすぐさま阿笠邸に移動した。

「博士、また?」

「目覚ましがわりになったじゃろ?」

「休日なんだから寝かせてよ」

「どうしても君に頼みたいことがあってな」

 普通に起こせよ、と内心思う聡美。

「頼み?」

「実はな、君たちの両親なんだが、日本に戻ってくるんじゃ」

「父さんと母さんが?」

「ああ。それで、新一のことを少し話したんだ」

「で?」

「それで、本当に新一か試すようだから、協力して欲しいんじゃ」

「何をすればいいの?」

「変装するんじゃ。君のお母さんは江戸川(えどがわ) 文代(ふみよ)という名で新一に接触する。お前さんも誰かに変装してついってってくれ」

「面白そうね。わかった。でも、誰に変装すれば?」

「そうじゃのう……」

 阿笠は考える。

「この子なんてどうじゃ?」

 阿笠が写真を持ってくる。

「これは?」

有希子(ゆきこ)さんの高校の時の写真じゃ」

「へえ、これが母さん」

そうだ!──と、閃く聡美。「高校時代の母さんに変装しよう」

 聡美は大急ぎで変装道具を集め、高校時代の有希子に変装してポアロの前に向かった。

 聡美はそこで小太りの女性と出会う。

「あら?」

 小太りの女性が口を開いた。

「あなた、私の若い頃にそっくりじゃない」

「母さん……なの?」

「え?」

「いや、江戸川 文代さんですね?」

「あなたは?」

「娘の聡美だよ」

「あ、さっちゃん」

 文代、もとい有希子は聡美をさっちゃんと呼ぶ。

「私、江戸川 香純(かすみ)って名乗るから。行きましょ?」

 聡美と有希子が階段を登る。

コンコン──有希子が扉をノックした。

「はーい」

 扉が開き、蘭が出てくる。

「お客様ですか?」

「私たち、江戸川 コナンの家族のもので、コナンを引き取りに来たんです」

「ちょっと待って下さいね」

 蘭がコナンに言う。

「コナンくん、家族の人が迎えに来たわよ」

「え?」

 コナンがやって来る。

「それじゃ、今までどうもありがとうございました」

 聡美たちはコナンを連れて車に乗り込んだ。

「おばさんたち、僕の家族じゃないですよね?」

「お前の正体は分かっている。工藤 新一」

「……!?」

 コナンが驚いた表情をする。

(面白い)

 と、聡美。

 車が渋滞にはまる。

 コナンがドアを開けて逃げ出した。

 二人はコナンの行動パターンを読み、阿笠邸に先回りした。

「逃げても無駄よ」

 コナンはクロロフォルムを嗅がされ、眠らされて誘拐されてしまった。

 

 

「あ、私抜ける」

 聡美は携帯のメールをチェックしていた。

「あら、どうして?」

「目暮警部からお呼びが」

「そう。それは残念ね」

 聡美は車から降りると、変装を解いて警視庁へ向かった。

「聡美くん、大変じゃ。少年探偵団の連中が、コナンくんが誘拐されたと言っておる。何か知らないか?」

「少年探偵団?」

「コナンくんが入団している小学生の探偵チームだよ。何度か事件の解決に協力してもらっていてな。そんなことより、その探偵団の連中が、コナンくんが誘拐されるとろを、阿笠さんの家の前で見たと言ってるんだ」

(やば。クロロフォルムはやり過ぎだったか?)

「あー、大丈夫ですよ。コナンくん、賢いし」

「いや、しかし、万が一ってことも」

「大丈夫ですって」

「そうかね。だが、目撃証言があるから、警察としては動かねばならん」

「いや、ですから、私もあの場にいて、子どもたちが見た誘拐犯はコナンくんのお母さんなんですよ」

「お母さん?」

「今日、毛利さんのところに迎えに来たらしいですよ」

「そうか。ならば大事(おおごと)にしなくてもいいか」

「それじゃ、私は帰りますよ」

 その時、捜査一課の室内に電話が鳴り響く。

 高木刑事が電話に応答した。

「目暮警部! 警察学校で殺人事件発生です!」

「何!? 警察学校でか!」

 捜査員たちは慌てた様子で現場へと向かって行った。

 


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