聡美が工藤邸の自室で寝ている。
ドカーン!──隣家の阿笠邸が爆発する。
びっくりして起きた聡美はすぐさま阿笠邸に移動した。
「博士、また?」
「目覚ましがわりになったじゃろ?」
「休日なんだから寝かせてよ」
「どうしても君に頼みたいことがあってな」
普通に起こせよ、と内心思う聡美。
「頼み?」
「実はな、君たちの両親なんだが、日本に戻ってくるんじゃ」
「父さんと母さんが?」
「ああ。それで、新一のことを少し話したんだ」
「で?」
「それで、本当に新一か試すようだから、協力して欲しいんじゃ」
「何をすればいいの?」
「変装するんじゃ。君のお母さんは
「面白そうね。わかった。でも、誰に変装すれば?」
「そうじゃのう……」
阿笠は考える。
「この子なんてどうじゃ?」
阿笠が写真を持ってくる。
「これは?」
「
「へえ、これが母さん」
そうだ!──と、閃く聡美。「高校時代の母さんに変装しよう」
聡美は大急ぎで変装道具を集め、高校時代の有希子に変装してポアロの前に向かった。
聡美はそこで小太りの女性と出会う。
「あら?」
小太りの女性が口を開いた。
「あなた、私の若い頃にそっくりじゃない」
「母さん……なの?」
「え?」
「いや、江戸川 文代さんですね?」
「あなたは?」
「娘の聡美だよ」
「あ、さっちゃん」
文代、もとい有希子は聡美をさっちゃんと呼ぶ。
「私、江戸川
聡美と有希子が階段を登る。
コンコン──有希子が扉をノックした。
「はーい」
扉が開き、蘭が出てくる。
「お客様ですか?」
「私たち、江戸川 コナンの家族のもので、コナンを引き取りに来たんです」
「ちょっと待って下さいね」
蘭がコナンに言う。
「コナンくん、家族の人が迎えに来たわよ」
「え?」
コナンがやって来る。
「それじゃ、今までどうもありがとうございました」
聡美たちはコナンを連れて車に乗り込んだ。
「おばさんたち、僕の家族じゃないですよね?」
「お前の正体は分かっている。工藤 新一」
「……!?」
コナンが驚いた表情をする。
(面白い)
と、聡美。
車が渋滞にはまる。
コナンがドアを開けて逃げ出した。
二人はコナンの行動パターンを読み、阿笠邸に先回りした。
「逃げても無駄よ」
コナンはクロロフォルムを嗅がされ、眠らされて誘拐されてしまった。
「あ、私抜ける」
聡美は携帯のメールをチェックしていた。
「あら、どうして?」
「目暮警部からお呼びが」
「そう。それは残念ね」
聡美は車から降りると、変装を解いて警視庁へ向かった。
「聡美くん、大変じゃ。少年探偵団の連中が、コナンくんが誘拐されたと言っておる。何か知らないか?」
「少年探偵団?」
「コナンくんが入団している小学生の探偵チームだよ。何度か事件の解決に協力してもらっていてな。そんなことより、その探偵団の連中が、コナンくんが誘拐されるとろを、阿笠さんの家の前で見たと言ってるんだ」
(やば。クロロフォルムはやり過ぎだったか?)
「あー、大丈夫ですよ。コナンくん、賢いし」
「いや、しかし、万が一ってことも」
「大丈夫ですって」
「そうかね。だが、目撃証言があるから、警察としては動かねばならん」
「いや、ですから、私もあの場にいて、子どもたちが見た誘拐犯はコナンくんのお母さんなんですよ」
「お母さん?」
「今日、毛利さんのところに迎えに来たらしいですよ」
「そうか。ならば
「それじゃ、私は帰りますよ」
その時、捜査一課の室内に電話が鳴り響く。
高木刑事が電話に応答した。
「目暮警部! 警察学校で殺人事件発生です!」
「何!? 警察学校でか!」
捜査員たちは慌てた様子で現場へと向かって行った。