名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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16.犯人は帝丹

 聡美は目暮警部に聞いた。

「洋一くんの薬のケースの指紋は調べたんですか?」

「ああ、鑑識が調べて、清水とそのご家族以外の指紋が出とるよ」

「江古田の生徒からは指紋を採取したんですか?」

「採取はしたが一致しなかったそうだよ」

 その時、新一そっくりの男子生徒が二人の前を横切る。

「え?」

「新一くん?」

 振り返る男子生徒。

「何か?」

「いや、なんでもないです」

「あ、そ」

 男子生徒は去っていった。

「似てましたね」

「似てたな」

「念のため、帝丹高校の指紋も取りませんか?」

「そうだな」

 目暮警部は捜査本部に帝丹高校関係者の指紋を採取させた。

 その結果、一人の女子生徒が容疑者に浮上した。

 その名は、三年の四方田(よもた) 明美(あけみ)だ。

 四方田を調べると、米花警察署でストーカー被害の相談を受けてることがわかった。

 ストーカーの加害者はわかっていない。

 そして、面白いことに、四方田は毛利 小五郎にストーカーの犯人探しを依頼していた。

 小五郎の話によると、洋一が犯人だったという。

 聡美は四方田が洋一を殺害したのだろうと睨み、目暮警部と共に毒物の入手ルートを洗った。

 その結果、闇市場で四方田が青酸カリを購入したことが判明した。

 聡美と目暮警部は四方田の家を訪ねた。

「四方田さん、清水 洋一を殺害したのは、あなたですね?」

「何をいうのかな、工藤さん」

「これ、毒物の購入リスト。ここにあなたの名前が記載されてます」

 目暮警部が闇市場のとある店の顧客リストを取り出した。

「これは私じゃないですよ」

「洋一くんの薬のケースからあなたの指紋も出てます。それでも言い逃れをしますか?」

 その場に崩れる四方田。

「私がやりました。あのストーカーに殺されると思って、先手を打ちました」

「青酸カリはどうやって薬のケースに?」

「スリの技術でケースを盗んで、青酸カリを入れて、落としたよって言って返したんです」

「スリ?」

「実は駅とかでスリもやってたんです。本当に、すみませんでした」

「……呆れた」

「署までご同行を」

 目暮警部が四方田を警視庁に連行した。

 聡美は四方田家を離れ、帰路に就く。

 家までの道を歩いていると、背後から気配を感じた。

(つけられてる?)

 聡美は走り出し、角を曲がった。

 何者かは慌てて追いかけて曲がるが、行き止まりなのに聡美の姿がない。

(どこ行った?)

 何者かの背後に、聡美が姿を現わす。

「あんた誰?」

 何者かは振り返る。

 手元にはスタンガンが見えた。

(スタンガン……?)

 ビリリリリ──スタンガンが電気を放つ。

(こいつ、最近話題の通り魔?)

「お前には死んでもらう」

 何者かが聡美に襲いかかる。

 聡美は何者かを、カンフーでねじ伏せると、殺人未遂の現行犯で呼んだ警察に引き渡した。

「ご協力感謝します!」

 警察官はお礼を言うと、通り魔を警察署に連行した。

 


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