名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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14.食堂毒殺事件

 蘭は嬉しそうな顔をしていた。

「どうしたの?」

「昨日、新一に会ったの」

「え? 新一くんに?」

 蘭と園子が話をしている。

「うん。でも、すぐに事件があるからっていなくなっちゃったけど」

「そうなんだ?」

 蘭が聡美を見る。

「聡美の方は?」

「え?」

「新一に会った?」

「うん。昨日の事件の推理中にね」

(いつも会ってるよ。小さいけど)

 聡美は内心そう思った。

 チャイムが鳴り、朝礼が始まる。

 ……。

 …………。

 ………………。

 お昼休み、聡美は一人、教室で考え込んでいた。

 頭の中は同級生の男子生徒、清水(しみず) 洋一(よういち)のことでいっぱいだった。

 洋一は聡美たちのクラスに転校して来た、精悍(せいかん)な顔立ちをした男子生徒で、聡美は彼に一目惚れをしてしまっていたのだ。

 精悍な顔立ちゆえに、学年中の女子が洋一を取り囲んでいる。

 どうしたものか……。

 と、洋一を見てみると、彼と目が合う。

 ドキドキと心臓の鼓動が高鳴る。

「聡美、顔赤いよ?」

 と、心配そうに聡美を見る蘭。

「熱あるんじゃ?」

「洋一くんにお熱だよ」

「聡美、転校生の洋一くんのこと?」

「うん、惚れた」

 洋一がこちらへやって来る。

「顔、赤いけど大丈夫かい? 熱があるんじゃ?」

 聡美の額に、洋一がおでこをあてがう。

「大変だ! すぐに保健室行こう!」

 洋一が聡美を保健室へ連れて行く。

「すみません、この子熱が……」

 と、保健室に入るが、保健医は留守だった。

「(熱があるのはあなたのせいで……)」

「え、なんか言った?」

「う、ううん、何も?」

「とりあえず、横になってれば?」

「いや、大丈夫だから」

「でも……」

「本当、大丈夫だから。ありがとう」

「そういえば、名前、まだだったね。なんて言うの?」

「聡美、工藤 聡美」

「へえ。君があの有名な?」

「うん」

 顎に拳を当てて考え込む洋一。

「連絡先教えて」

「うん」

 聡美と洋一が連絡先を交換した。

「それじゃ、僕は」

 洋一は去って行った。

 一人残された聡美は、どうしたらいいか、わからなかった。

(いきなり連絡先を交換なんて)

 保健医が入って来る。

「どうしたの?」

「あ、いえ……」

 聡美は保健室を出た。

 保健室を出たはいいが、しかし、行くあてがなかった。

グー──腹の虫が鳴く。

 空腹に苛まれた聡美は、食堂へ向かった。

 食堂内は騒がしかった。

「おい、工藤!」

 上級生が聡美を呼んだ。

「何でしょう?……っ!?」

 聡美は床に倒れている洋一に気づいた。

「洋一くん!?」

 その体を確認する聡美。

 洋一は絶命していた。

 口元からはアーモンド臭がする。

「青酸カリ……」

 と、その時、聡美の携帯がメールの着信を知らせる。

「こんな時に何よ?」

 メールを確認すると、洋一からのだった。

 僕は命を狙われている。僕にもしものことがあったら、その時は犯人を見つけてくれ。

 


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