「犯人がわかりました。容疑者を事務室に集めて下さい」
(殺人の方は証拠がないけど、自白に持ち込んでやるわ)
「わかった」
目暮警部が容疑者の二人を事務室に呼んだ。
「犯人がわかったって本当かよ、刑事さん」
「……………………」
「みなさん、お揃いで。では、これから警察官爆殺事件と、予告状の送り主を暴いてみせましょう」
「面白い。やってみろ」
「……………………」
「事件の発端は、学校に爆破予告が届いたことから始まります」
「ほう?」
「犯人は爆弾に詳しい人物だと思われます。岸辺先生、確かあなたは物理の教師でしたね?」
「それがどうした? 俺を疑ってるのか?」
「続けましょう。予告状を送りつけた犯人は、予め校長先生の車に携帯電話で作動する爆弾を仕掛けておき、何食わぬ顔でこの場に現れました」
「それで?」
「……………………」
「そして、我々が容疑者と話している最中に、携帯電話を使って処理班の警察官を一名、爆殺しました。これについては携帯会社を調べたところ、犯人の携帯から爆破時刻に発信履歴が残っているのがわかっています」
「む……?」
「犯行の動機は恐らく、以前に自分を逮捕した警察への恨み。そして、自分をクビにした校長への恨みでしょう」
「それで、犯人は誰なんだ?」
「犯人は、岸辺先生、あなたです!」
聡美はかっこよく人差し指を岸辺に向ける。
「な、何を言うかと思えば。馬鹿馬鹿しい。俺を犯人に仕立てたいなら、証拠を見せろ」
聡美はポケットから焦げたワイシャツのボタンを取り出した。
「これがその証拠です!」
「それが何だって言うんだ?」
「これは、あなたが校長先生の車に爆弾を仕掛ける際に取れてしまったもの。爆発の影響で焦げて車外へ放り出されたのを私が拾いました。ここからあなたの指紋が出れば、決定的な証拠になります!」
その場に崩れる岸辺。
「あーあ、ばれちゃったか。俺がやった。俺が犯人だよ」
「連れて行け!」
警察官が岸辺を連行する。
「校長先生を殺害したのも彼なのかね?」
「いえ、校長先生を殺害したのは……」
聡美は黛を見る。
「黛先生、あなたです」
「……!?」
驚き戸惑う黛。
「動機は恐らく、校長先生の奥さんのため、ではないでしょうか。不倫が発覚し、夫婦喧嘩が勃発。夫が邪魔になった奥さんは、黛先生に校長先生を殺害するよう依頼をしたんです」
と、そこに現れたのは、言わずと知れた名探偵、工藤 新一だった。
「お、お兄ちゃん!? 何で?」
(お兄ちゃんは縮んでしまったはず。この人は?)
「新一くんではないか! 今までどうしてたんだね?」
「そんなことはどうでもいいでしょう?」
「そうだったな。黛も連れて行け!」
警察官に連行される黛。
「お兄ちゃん、ちょっと」
聡美は新一を校舎裏に連れ出した。
「あんた誰?」
「誰って、オメエの兄貴じゃねえか」
「嘘。お兄ちゃんは……」
「縮んじまったって言いたいんだろ? この姿でいられるのも一時的なんだ」
「どう言うこと?」
「風邪の症状と
「灰原って、あのウェーブの子?」
「ああ」
ゴホッ!──咳き込む新一。
「大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ」
「でも何でまたそんな得体の知れないものを飲んだの?」
「実験段階なんだよ」
「つまり、モルモットにされたわけ?」
「そう言うことさ」
「どのぐらいなの?」
「何が?」
「時間よ。今の姿でいられる時間」
「半日らしい。本当は蘭に会いに来たんだけど、校門のところにパトカーが止まってるじゃねえか。事件かと思って来てみたら案の定だ」
それにしても──と、続ける新一。「証拠もないのに黛先生を挙げるなんて無謀すぎやしねえか?」
「うるさいわね!」
「ま……落ちたからいいけどよ」
「蘭には会って行くの?」
「そのつもりさ」
じゃな──と、去って行く新一。