名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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12.帝丹高校殺人事件

「ああ、爆破予告事件だろ? ニュースでやってたよ。だけど、犯人は俺じゃねえ」

「恨みがあるなら、私一人を狙えばいいですからね。となると、黛先生、あなたということになる」

「……………………」

 黛は無言だ。

「黛先生?」

 高木刑事がいう。

「黛さんは声帯を全摘出したんです」

「どうしてですか?」

「ガンに侵されていたんです」

 黛が手話で伝えてくる。

 僕はやってない。僕は無実だ

「目暮警部、彼はやってないと言ってます」

「聡美くん、君は手話もできるのかね?」

「はい」

「黛さん」

 と、目暮警部が黛を見る。

「あなたは校長の奥さんと不倫をしていたそうですね?」

「あれは僕の意思じゃないんです。向こうが言い寄ってきて、だそうです」

「そうですか」

「僕は校長に申し訳ないことをしました。謝罪の気持ちで一杯です」

「岸辺さん、あなたは万引きを咎められたそうですが?」

「出来心だよ」

「いけませんな。出来心でも、ものを盗んでは」

 聡美は考える。

 この二人のどちらかが犯人なのだ、と。

「なあ、もう帰っていいか?」

 と、その時だ。

「目暮警部!」

 部下の刑事がやってくる。

「ば、爆弾が! 爆弾が発見されました!」

「なんだって!?」

「今、処理班が処理してますが」

「どこでだね?」

「車です。校舎内を探してもなかったものですから、安心してたのですが、まさか校長の車に仕掛けられているとはつゆ知らず」

ドカーン!──爆音が響いてくる。

 爆発物処理班の解体作業も虚しく、爆弾は爆発し、車が炎上して処理班の一人が殉職した。

 炎はすぐさま消防隊によって消し止められた。

 遺体は粉微塵になっており、原形を保っていない。

 その様子を見ていた犯人は、ニヤリとほくそ笑む。

(警察を一人殺した。次はあの女だ)

 視線を感じた聡美は振り返るが、そこには誰もいない。

「ん?」

 聡美が焦げたワイシャツのボタンを見つけて拾った。

(そういえば、あの人……)

 聡美はワイシャツのボタンが取れていた、ある教師の手首を思い出す。

(これは証拠になるな)

 聡美は焦げたワイシャツのボタンをポケットにしまった。

「目暮警部、爆弾なんですが、携帯電話と連動して爆発する仕掛けになっていたそうです」

 そういうのは、高木刑事だ。

「うむ……」

「高木刑事!」

 と、聡美。

「どうしたんだい?」

「あの、……………なんだけど、調べてもらえますか?」

「すぐに調べるよ!」

 高木刑事は駆けていった。

 それから暫くして、高木刑事が戻ってくる。

「聡美さん、調べてきたよ。君の睨んだ通り、爆発のあった時刻にあの人の発信履歴があったよ」

「ありがとうございます」

 聡美は目暮警部に歩み寄った。

「目暮警部!」

 その時、部下の刑事が慌てた様子でやってきた。

「なんだね?」

「校長先生が、殺害されました」

「何!?」

(なんだって!?)

 聡美たちは遺体が発見された校長室へ向かった。

 そこには、ナイフで胸を一突きされ、絶命している校長の姿が。

 遺体が運び出され、鑑識作業が行われた。

 鑑識の報告で、ナイフからは指紋が検出されなかった。

 鑑識作業の終わった現場を、聡美が隈無(くまな)く調べる。

 


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