名探偵コナン〜新一の妹〜   作:桂ヒナギク

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11.帝丹高校爆破予告事件

 米花町、工藤邸。

 聡美は自分の部屋で推理小説を読んでいた。

「はーあ」

 机を離れ、ベッドに横たわる。

 時刻は既に三時を過ぎていた。

「寝よう」

 聡美が眠りに就くのもつかの間、朝を迎えた。

「眠い……」

 時刻は九時前。

「しまったー!」

 遅刻である。

 聡美は慌てて制服に着替えると、ダッシュで帝丹高校へ向かう。

 帝丹高校の校門の前に、パトカーが止まっていて、蘭や園子が中に入れず立ち往生していた。

「どうしたの?」

「ああ、聡美。実は学校に爆破予告が届いたみたいで、生徒たち全員外に避難してるのよ」

ていうか──と、続ける園子。「あんた、遅刻?」

「三時まで推理小説読んでた」

「新一くんもそうだったわね」

 聡美は現場にいた目暮警部に声をかけた。

「警部!」

「うん?」

 振り返る目暮警部。

「おお! 聡美くん」

「爆弾は見つかったんですか?」

「今、爆発物処理班が捜索してるところだよ」

「爆破予告が届いたそうですね」

「これだよ」

 目暮警部が聡美に爆破予告を見せる。

「これが、今朝、ポストに入っていたそうだ」

 目暮警部に無線連絡が入る。

 爆弾は発見されなかったようだ。

 ふう、とため息をつく聡美。

「爆弾が出なくてよかったわ」

「刑事さん」

 と、校長が目暮警部に声をかけた。

「なんですかな?」

「学校の運営は再開しても?」

「ああ、もう構いませんよ」

 校長含め学校関係者は全員校内へ入っていく。

 

 

 聡美は教室で爆破予告のことを考えていた。

 犯人は割れたのだろうか。

「工藤 聡美!」

 という教師の声も届かない。

「おい、工藤 聡美!」

「ほえ?」

「これを訳してみろ」

 英語の時間だった。

 聡美は黒板に書かれた日本語を英文に訳した。

「せ、正解だ」

 聡美は自分の世界に戻る。

 考えていても埒が明かない。

 聡美は教室を出ていく。

「おい、工藤!」

 教師が叫ぶ。

 聡美は無視して事務室へ向かう。

 事務室には目暮警部がいた。

「聡美くんか。今は授業中じゃないのかね?」

「いいんです。それより、事件の犯人は割れたんですか?」

「いや、まだだ。猫の手も借りたいぐらいだ」

「予告状から指紋は?」

「一切検出されなかったよ」

「そうですか。聞き取りの方は?」

「特に犯人と思しき人物はいなかったよ」

 聡美は思い出す。

(そういえば、この前、学校を辞めた先生が二人いたな……。どちらかが犯人か、あるいは……)

「目暮警部、以前、ここで教師をしていた、岸辺(きしべ)先生と(まゆずみ)先生を呼んでもらえますか?」

 目暮警部は高木刑事を通して二人の元教師を呼んだ。

「お久しぶりですね、岸辺先生に黛先生」

「お、お前は!?」

 岸辺が聡美を見て驚く。

 岸辺は万引きしたところを、聡美に目撃された挙句、警察に通報され、それが学校にも知れ渡り、クビになっていた。

「……………………」

 黛は無言だった。

 黛は校長の奥方と不倫しているのが発覚、辞職に追いやられている。

「お二人がなぜ呼ばれたのか、わかっておりますな?」

 目暮警部が二人に訊ねる。

 


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