シャドウサーヴァントから始まる人理救済   作:ドリーム

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なんか日刊8位にぶち込まれてた。なにをいってるのかわからねえと思うが、俺もなにが起きたのかわからなかった。頭がどうにかなりそうだった…リヨぐだ子だか、キイイイィィィィィヤアアアアァァァァァァァァシャベッタアアアァァァァァァだとか…そんなチャチなもんじゃ断じてねえ…もっと恐ろしい三周年フェスの片鱗を味わったぜ…

まあガチャは見事に爆死だがな!運営が見たら、奴も笑うでしょうよ。

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それはきっと空色の思い出

ーくず視点ー

 

〜????〜

 

青空が広がる石造りの遺跡に風が吹き抜ける。

 

「う…くぅ…ああ…いてぇ…眼が…熱い…!!」

「落ち着いてください。それは収まります。大事なのはその先です」

「うぐぐぐ…よし…慣れてきた…でもやっぱりいてぇ…」

 

風が汗をかいた肌にあたり、心地よい涼しさを与えてくれる…が、しかし心地よさを上回る謎の痛みに、俺は頭を抱えうずくまっていた。

眼球に強力な粘着剤でもぶち込まれたかのような痺れる痛み。目はある意味最も外側にありながら最も柔らかい器官。それに伴う痛みと、同時に来る失明感は、人間の五感の一部を停止させるにふさわしいものである。

 

「く、クソッタレ…お、俺は作戦参謀だ…負けるはずがない…作戦の参謀は人生の参謀…これしきでダメージを受けてたまるか…!

…俺はさっきから何を言っているんだ…ウゴゴゴ…」

「相変わらず言動がちぐはぐでおかしいことは変わりないようですね。ある意味ホッとしました」

「ちなみにそれはどんな意味で?」

「聞きたいですか?」

「…遠慮しときます」

 

ていうかさっきからメドゥーサ姐さん近いねん。色々とやばいねん。俺の中の何かがやばいねん。あーいけませんお客様!胸が潰れるくらい近づいちゃいけません!あーあーいけません!いけません!

俺のそばに近寄るなァァァァァァ!!(本音:どんどん近づいてください。お願いしますなんでもしますから)

 

「…今なんでもしますって思いましたね?」

「…奴隷くらいになら」

「なるんですか…」

「そんな呆れ顔で見ないでください。正直目つきまでエロすぎです姐さん」

「眼の痛みもだいぶおさまったようですね」

「あれ?スルー?」

 

メドゥーサ姐さんは相変わらずクールにネタをスルーしていく。

…やばい嬉しさで涙が出そう。

え?普通逆じゃないかと?Mなの?死ぬの?

 

いや、Mじゃねえけど…やっと会えたんだぜ?ここまで何十回もの爆死にあってそれが試練だというなら乗り越えて正解だったッ!!

勝った!第3部、完!

 

「さっきから何のポーズですかそれは」

「気にしないで下さい。ただの荒ぶる鷹のポーズです」

「そうですか」

「さすがのスルー力に別の意味で泣けてきた。目から蕎麦湯が止まらない…あれ?おかしいな?目が痛いや…さっきとは別に…」

 

くそう…この蕎麦湯メェ…俺蕎麦ダメなんだけどなぁ…

 

「…そんなに私に会えて嬉しいのですか?」

「もちろんです。恋してますから…なんなら愛でもいいですよ?」

「…あなたはもう一人のマスターよりかは羞恥心があるように思えましたが…」

「好きな人に好きっていうのは素晴らしいことだと思う希ガスって感じですハイ」

 

だってこのローブをいつまでも手放せないのは俺が彼女に恋をしているからだ。

男の俺が恋を語っても誰得って感じだが、俺はメドゥーサという女性に恋をしている。

このローブは彼女との唯一のつながりであり、消える直前に渡してくれた俺をマスターと一瞬でも認めてくれた“証”のようにも感じている。

 

「……多田野 荒木。それがあなたの名前でしたね?」

「はい。俺は荒木です」

 

俺は当然そう返した。

 

メドゥーサ姐さんはいつものクールな顔でこちらを見据えている。

 

「あなたは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分自身が()()()()()()()()()()()と言ったら…それでも生きようと思えますか?」

 

 

 

 

 

 

—————青空に亀裂が入る。

 

 

 

 

 

ー《F/GO》ー

 

 

ーぐだ視点ー

 

 

〜監獄塔〜

 

あいも変わらずじめっぽい廊下をアヴェンジャーと二人で歩いていく。

流石のじめっぽさに上のベルトを緩め、チャックを少し開けている。時折上からたれてくる水滴にイライラしながらも、僕たちは順調に進んでいた。

 

無論、亡霊に容赦はないが…

 

むちっ…バキィ!!

 

「亡霊ってさ…意外と柔らかいよね」

「実態のないものの感触を確かめるのか…お前は」

「アヴェンジャーも触ってごらん?ムッチムチだよ?正直気味悪いけど…」

「なら差し出すな…しかし…」

 

アヴェンジャーは目の前の光景を見て考え込むように顎に手を当てる。

 

目の前にはこの監獄塔にいた…“大罪の具現”と()()()()()()()()()()()が転がっている。まあやったの僕なんだけどね。

 

「いやあつい手が滑っちゃった…」

「英雄ではないが…その首をバターにナイフを通すように素手で切り裂くお前は一体なんなんだ」

「さあ?霊基の基本構造が甘かったんじゃない?」

「………」

 

大罪の具現。それはどこかで聞いた七つの罪。

嫉妬。色欲。怠惰。憤怒。暴食。強欲。そして傲慢。人間が持つ七大の大罪だとか言われている。

そして今目の前に転がっているバラバラなものは嫉妬の具現。それは以前フランスで会った…というか僕が出会い頭に射殺したサーヴァント、オペラ座の怪人。

しかしアヴェンジャー曰く彼らはこの監獄島の妄念をそれぞれの大罪にあったサーヴァントの皮で包み込んで動いている餃子野郎共らしい(命名)

 

つまり何が言いたいのかというと、こいつら具現餃子達は本来の英霊ほど強くはないということだ。

 

「この扉の向こう側に出口…なんてイージーモードじゃないよね…」

「その通りだマスター。それは第2の扉へ続く扉だ。貴様が倒したのは嫉妬の具現。これよりは未だ確認していない大罪の具現がお前の道に立ちふさがるだろう」

「ふむふむ…」

 

正直なことをぶっちゃけると、僕はこのアヴェンジャーを完全に信用してしまいそうだ。

本来、見知らぬ場所に放り込まれ、そこでこうやって理由もよくわからず僕に着いてきてくれる彼を信用してはいけないんだろう…

だが、僕の…俺の直感が彼は信用してもいいと思っている。

無論注意はするが…ちょっと気を緩めば簡単に背中を預けてしまいそうだ…

 

「じゃ、行こうか!アヴェンジャー」

「…ああ」

 

さて、次に出てくるのは一体どんな罪なのか…

 

「———」

 

「え?」

「…どうした」

「いや、今…女の人の声が…」

 

気のせい…じゃないな!

 

僕は声の聞こえた方へ全力ダッシュする。アヴェンジャーは一瞬止まっていたが、すぐに僕のことを追いかけてきた。

うう、本当…いい奴なのか…単に僕になんらかの利用価値を求めているのか…

 

 

 

 

 

 

 

 

(————姿…いや、たとえ数億回の磨耗によって、今にも消えそうになっても貴様は変わらず誰かの元に走り出すようだな…()()()()()())

 

 

 

「君は…?」

「ここは…どこで…私は誰ですか?」

 

 

 

 

 

 

ー《F/GO》ー

 

 

 

ーくず視点ー

 

〜????〜

 

 

凄まじい強風が巻き起こる。そのせいで彼女が俺に何を言ったのか、俺はイマイチ聞き取れなかった。

 

「うお…すごい風だぁ…あ、すいません。いまなんて言いました?」

「…いえ。何も。そんなことより、あなたは今ここがどこなのか知る必要があります」

 

嘘だ。間違いなく彼女は何か言った。しかし俺はそれを問いただせない。

 

———彼女の眼がとても暗かった。

 

 

 

「ここは本来魔術王があなたを閉じ込める為に作った空間です」

「…魔術王が…なんでわざわざ俺なんかを?」

 

こう言っちゃなんだが、殺した方が手っ取り早いのではないのだろうか?

こんな空間を作れて、なおかつ黒幕だというのならあのレフ達魔神柱の親玉でもある。そんな奴が俺一人殺すなんて容易いだろう。

 

「もちろん、魔術王からすればマスター一人消すのはわけないでしょう…()()()()()は…」

「へ?」

 

どういうことだ?それだとまるで…

 

「理由は聞かないでください。今は…まだ早い。魔術王には、あなたは()()()()のです」

 

そう、つまりそういうことになる。理由を聞くなと言われたからとりあえず喉から出そうになるこの疑問をなんとか引っ込めるが…

どういうことなのだろうか…

 

「そしてあの暗黒の空間は先ほども言いましたが、あなたを縛り付ける為の大結界…監獄島…()()()()()()です」

「形を…」

 

失った…島…まさしく監獄島だ。

ていうかなんだそのネーミングは…“形のない島”みたいな名前しやがって…喧嘩売ってんのかあの野郎…

 

「そしてあなたがいるここは唯一形を失っていない()()()()()…といってもじきにこの風景も周りの監獄島(形を失った島)に押しつぶされ、私と共に消えて無くなるでしょう」

「メドゥーサが…はぁ!?なんで!?」

 

メドゥーサ姐さんが消える。それを聞いただけで背筋に氷を詰め込まれたかのような感覚に襲われる。

 

俺は思わずメドゥーサの肩を掴み、自分の胸元へ押し付ける。

そのまま腰へ腕を回し、抱きついた。

 

「……ふう…本当に…好きなんですね」

「…なんで…あなたが消えちゃうんですか?」

「私はシャドウサーヴァント。正規の英霊じゃないんです…本当ならこうやって自我を保ってるだけでも辛いのに…召喚された土地を離れて…ふふ…私らしくもない。こんなおかしなマスターの為に体張って魔術王の結界に拮抗する結界を維持させている…」

 

ああ…なんてこった…つまるところ、メドゥーサは俺の為に…こんな細い“縁”を紡いで、俺をマスターとして守ってくれようとしてくれてんのか…

 

直で触ってみてわかる…彼女の身体(霊基)はすでに…ボロボロだった…

 

 

罪悪感と自己嫌悪に押しつぶされそうなのに…

 

「俺…最低だ…メドゥーサが…こんなにボロボロの霊基になってるのに……嬉しさで…にやけちまう…」

 

惨めったらしく涙と鼻水垂らしながら俺は彼女を抱く腕の力を強める。

 

「…本当に…おかしなマスター…普段のヘラヘラした顔からは…予想もできない表情…」

 

彼女はその白く細い指先を俺の令呪にツンと突きつける…

その瞬間、俺の魔術回路に強烈な圧がかかった。

 

「がぁ…!なに…を?」

「契約です。私はここで消えます…ですがあなたの影として私は生き続けるでしょう…私という自我は消えますが…せめてこの力があなたの助けになるよう…」

 

今までにないくらいの亀裂が一気に空間に走る。

この空間の消滅は…

 

「さよなら、シャドウの私の最初で最期のマスター…あと、返事をしてませんでしたね」

 

 

 

 

 

 

「私は…あなたのこと…そんなに嫌いではないですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー《F/GO》ー

 

 

 

————青空が砕け散り、あたりは薄暗い幕に包まれる。

 

俺は気づけば、あの黒い浜辺に立っていた。

どんよりとした風になびく自身の髪の色が変わっていることに気がつく…自画自賛してしまいそうになるほどの…紫色の綺麗な髪に…

 

「…行こう…」

 

泣いてる暇はない。うずくまってる暇はない。

立ち止まる暇も理由も意味も義理も…俺にはないのだから。

 

「ありがとう。俺の最初で最期のサーヴァント」

 

 

 

 

 

————告げる。

  汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

  聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

 

ランサーの名において…あなたを我が影として認めます…

 

 

我が真名をメドゥーサ。いずれ最愛の姉妹さえ食い滅ぼす形なき島の女怪。

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも俺は、あなたに恋しました————

 

 

 

 

これは、女神の影(シャドウサーヴァント)から始まった物語。

 

 

 




ゑ?打ち切りっぽい?安心して下さい。続きます(震え声)

感想指摘待っております。

今回の出来事

ぐだ「なんか嫉妬の具現がいたような気がしたが…そんなことはなかったZE☆
あと美人に出会ったゾ!」

くず「やっぱりメドゥーサ最高」


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