べ、別に想像力が足りなかったわけじゃないゾ!ほ、本当だ!このハンカチに誓おう!(保証OK)
それではどうぞー
監獄塔に彼は目覚める
ピチョン…
水の滴る音が聞こえる。
ぼんやり見える光はロウソクの炎か。
じめっぽい空気に内側に着ているインナーがひっついて気持ち悪い。しかし、そこはひんやりとしていて、背中に鳥肌が立ってしまった。
石造りの床に大の字で寝ていたせいか、身体中が軋む。しかし現状を把握するには体に鞭を入れて立ち上がるしかない。
僕はとにかく立ち上がり、その空間の全貌を視界に収める。
「………ここ…どこ?」
僕は見知らぬ監獄にいた。
いや、本当にどこ?
薄汚れた空間。天井には蜘蛛の巣が張り付き、壁に一本だけついたロウソクの炎がゆらゆらと蠢いている。
鉄格子に水が滴り落ちている。それを目で追っていると牢屋が開いていることに僕は気がつく。
「…誘っているのかな」
誰かは知らないが、僕を一人っきりにするなんていい度胸だ。
静寂だった空間に僕が骨を鳴らした音が響く。
———
ー《F/GO》ー
牢屋の外は暗い石造りの廊下が続いている。壁には一定間隔ごとのロウソクが立っており、足元を照らす程度には廊下を照らしていた。
「にしても長いなぁ…こんな長い廊下歩いたことないよ…」
もうこのあたりでいいや。
僕は一定時間歩きいた後、立ち止まる。正直元いた牢屋から離れすぎるのも危険なため、これ以上の探索はやめにしといた。
というかこれ以上進んでも収穫はない気がする。
「ふぅ…“強化”…よし」
腕の強度を強化魔術で強化する。とりあえず物理的に出ることは可能なのか?という疑問を解消すべく、脳筋コマンドーよろしく、肉体言語で脱出を試みる。
「MAXIM〜…SMASH!!!!!!!」
————ドゴオオオオオォォォガガガガガガガ…
某有名な少年漫画風的に適当な語呂合わせをしながら壁を思いっきり殴る。
壁は凄まじい音を立てながら崩れていき、砂埃がたちこもる。うん、鼻にくるねこれ。
「ゲホゲホ…カルデア制服がなければ即死だった…で、穴が空いたわけだけど…あ(察し」
穴の奥には大量の亡霊がいた。
いやあ、亡霊のバーゲンセールだね(キチスマイル)
「「「「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎———ッッ!!!」」」」
「あはははははは!!!いいねいいね!亡霊って殴れるのかずっと気になってたんだ!殺ろうよ、諸君!!クリークだッッ!!」
長い長い鉤爪のような手で亡霊たちは引っ掻いてくる。
しかしそれは意外にも掴めた。亡霊って触れるんだな〜………っと死ね。ってもう死んでたか、わははは!!
掴んだ亡霊の腕を振り回し、ほかの亡霊の集団に叩きつける。
後ろからゆっくりと別の亡霊が迫ってくるが、顎を殴り飛ばし、跳ね上がった顔を上段蹴りの要領で蹴飛ばし、壁に叩きつける。
「◼︎◼︎◼︎——!!?」
「何驚いてるんだい?感情を動かしてる暇があるなら殺意を動かしなよ!」
後ずさる亡霊の後ろに回り込み、頭を鷲掴みにし、その状態から地面に頭を叩きつける。めり込んでOZTった亡霊を放置し、地面に手のひらをつけ、腕を伸ばす反動で宙を飛び、敵集団の中央に入り込む。
「あっはっはっはっはっははっはははあっはははは!!!!!!!」
拳を、足を、肘を、膝を、頭突きを、放てる体術全てを奴らに叩き込む。
気がつけば亡霊は一体もおらず、残ったのは僕が暴れた際にできた破壊痕のみ。
なんか懐かしいな。とにかく体を動かすの。
いつもならくず男が真っ先に止めに入って…
入って…あれ?
ここにくる前…僕ら何してたんだっけ?
えっと…第四特異点が見つかって…モーさんに会って…本が幼女で…ショタがイケボで…人造人間18g…じゃなくてフランに会って…寸胴鍋が数学者で…魔神柱が異様にイケメンのオッサンで…それで…あれ?
バーサーク・アーチャーを倒したまでの記憶しかないゾォ?あ、あとおっぱいでっかいアルトリアさん(悲しい事件だった)
…あれ?おっぱいアルトリアを倒すまでの過程で…何か抜けてるような…
くず男とは何時間ぶりかに再開して…ムムム…何も覚えてないぞ。これまずいんじゃないのか?ここに来るまでの間にあった事がすっぽり抜けテーラ。
…ま、まあなんとかなるでしょ。とりあえずは素数を数えて落ち着こう。
2、3、5、7、11、13、17、19、23、29…素数は1と自分の数でしか割れない孤独の数字。僕に勇気を与えてくれる…あ、ダメだ。どこまで数えたか忘れた(ショート中)
「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎———!!!!!」
「ん?」
後ろからの叫び声に気づき、振り向くとそこにはさっきまでいなかった別の団体監獄ツアー御一行が待ち受けていた。
「くく…ははは!いいのかい?そんなにホイホイ付いてきて…僕は異形だろうとサーヴァントだろうと、『君が!泣くまで!殴るのをやめないッ!!』って言いながら殴りつけちゃうんだぜ?」
「「「「「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎————!!!!!!」」」」」
さあ!第2ラウンド始めっか!!WRYYYYYY!汚物は消毒だァァァァァァ!!!!!(ランタン落トセ!!)
ー《F/GO》ー
〜カルデア〜
カルデアでは現在、第四特異点での出来事についての会議が行われていた。
終盤による圧倒的格上の襲撃者。今回の事件の黒幕。
「まさか…こんなに呆気なく…」
———魔術王ソロモン。奴はそう自身を名乗った。
ソロモンによってマスターの一人、多田野 荒木はなんらかの手段により転移…最悪の考えでは消滅。
もう一人のマスター、藤丸 立香はソロモンがけしかけてきた魔神柱4体をなんとか撃退に成功するが、疲労困憊と同時になんらかの強力な呪術により意識不明の状態。
ロマ二は頭を抱える他なかった。
「くっ…立香くん…荒木くん…」
「「「「「………」」」」」
会議室に長い沈黙が起こる。
外が焼却された今、サーヴァントと契約を可能とする『マスター適正』、コフィンでのレイシフトを一定以上可能とする確率を持つ『レイシフト適正』…この二つを持ち合わせているのは、藤丸 立香、多田野 荒木しか存在していない。
文字通りの『人類最後のマスター達』なのだ。
故に二人の再起不能とは、カルデアの…
————人類の敗北を意味する。
〜ぐだマイルーム〜
ベッドに人形のように動かなくなった青年が眠っていた。
いや、より正確に言うなら眠っているというより、人形のように動かない。の方が正しい。
虚ろなその瞳はただじっと天井を見つめる。
「…先輩、目が乾いてしまいますよ」
その部屋にはもう一人、彼の後輩でありサーヴァント、マシュがいた。
彼女は第四特異点から帰還した直後に立香が倒れてからずっと甲斐甲斐しく介護をしていた。
ロマ二には「休みなさい」と言われようと、彼女は首を横に振り、彼から離れない。
優しくその白く柔らかい手で、彼の瞼を閉じさせる。
ポト…
「あ、」
愛用のメガネに雫が突然現れる。
メガネを外し、拭こうとすると、今度は手にもいくつも雫が現れる。
「…せん…ぱい………」
涙だ。マシュの大きな瞳には涙が溜まりに溜まっていた。彼の顔についてはいけないと目を何度も拭うが、全く涙は止まらず、むしろ増えていった。
普段自身の頭を優しく撫でてくれる彼の手を強く握る。
———ふと…立香の親友であるもう一人のマスターを思う出す。
「くず男さん…私は…どうすればいいんですか…」
目の前で消えていった彼を、目の前で倒れた先輩に重ね合わせる。
時間は残酷に過ぎていく。
カルデアは一種の暗黒期に突入していた。
ー《F/GO》ー
〜????〜
ぐだ男視点
「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎!!!!?!??」
「あはははははどこへ行こうとゆうのかねえ?…すでに射程距離内に入ってる!今度は逃がさない!(まあ僕スタ◯ド使いじゃないんだけどね)」
先程から乱闘続きだが、そこから何体か逃げ出そうとする。
別にそれくらいどうでもいいけど、あとで不意打ちでもされたら面倒だ。それはコーラを飲んだらゲップが出るのと同じくらい面倒だ。というかなにより…
「このぐだ男がランタンを見逃すような奴に見えるのかァァァァァァ!!?WRYYYYYYY!周回担当はこのぐだ男だ!以前変わりなく!!」
顔面を蹴りで貫く!何が起こってるかわからねえと思うが、自分でも何をしてるのかわからない。
しかしりんごがない。以前なら「りんご!食べずにはいられないッ!」って感じなんだが、ここはさっきから動き回っているのに全く疲れないな。
コツ…コツ…
「———これはまた…
「おうん?いきなり後ろから誰だぁ?ウリィ?」
突如後ろから現れた黒コートの人物に僕は自然と中国拳法の猫脚立ちになっていた。いや、別の僕は拳法を習っていたわけじゃないが自然と本能的n(ry
「はじめまして…これをいうのも
「ん?ああごめんごめん。素材を剥ぎ取るって心の中で思った時その時すでに行動は終わってるって言わない?まあ今ランタン剥ぎ取ってる最中なんだ。あと十秒待ってほしい…フン!」バキィッ
さて、素材で懐ホクホクになったところで…
「おたく…どちらさん?いや…無粋だね。こう聞いた方がいいかも……
「クハ…ハハ!静かにこちらの様子を伺いながら懐で自己暗示による強化魔術をかけるか…今までにいなかったぞ。お前のような奴は!」
一瞬で強化魔術をかけたことがバレた…やっぱこういうちまちましたのはくず男の方が上手だな…あいつならきっとバレずにできたと思う…
結構な観察眼。戦闘慣れ…してるようには見えない…けど…強い。間違いなく…
「一応自己紹介といこう。わかっていると思うがオレは英霊だ」
「哀しみより生れ落ち」
「恨み 怒り」
「憎しみ続けるが故に」
「『エクストラクラス』を以って現界せしもの」
「そのクラス…
『アヴェンジャー』と呼ぶがいい。
ようこそ、
「お前の運命の地だ」
「——エクストラ…
またくず男に殺されそうだ」
僕は場違いにもニヤけた笑みを浮かべ、アヴェンジャーに歩み寄る。
「セリフ的に…君は僕を案内してくれるの?」
「…それはどうかな。オレはお前のファリア神父になるつもりはない」
「神父か…たしかに導き手だけどね…でも僕も神父は望んでない」
「ほう?ではお前はオレに何を望む?」
「僕が君に望むものはひとつだけ」
ここが運命の地なら、それはきっと乗り越えるものだ。
運命とは人生において、乗り越えるべきハードルでしかない。
僕のこの体も、この人生も、この令呪も、全てはハードルを超える踏み台でしかないのだ。
だから僕は望むんだ。
「運命を乗り越える…『覚悟』…それに値する存在でいてほしい」
「…いいだろう。覚悟を持って運命に挑むといい。
ところで、ばちばちしてるけど静電気?おっと地雷だったか…痛い痛い…バチバチしないで…
え?空の境界?なんのことだか…
感想指摘待ってます。
くず「コーナー!せずにはいられない!」
ぐだ「悪い子はレクイエムよ〜」
くず「俺のそばに近寄るなァァァァァァ!!!!!」