死の支配者と王種の竜人の異世界冒険譚   作:Mr. KG

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大分遅れましたが第1話です。
いやぁ、小説執筆なめてました。週一投稿とか本当に尊敬します。
オリ主のザッハークですが、感想返しで竜人は竜系種族では無いと原作者様がおっしゃっていましたが王種の竜人になることで竜に近づくということでご納得ください。

設定を一部修正しました。
昔思いついたものを再利用しているので、今後もこういったことがあると思います。全ては設定を本文内で出す自信が無い故にスキルの名前などを固める前に投稿してしまった私の未熟さ故です。申し訳ありません。


1話 異変と守護者達

「………………………あれ?」

「………………………?」

 

モモンガとザッハークは困惑した。

既にユグドラシルのサービス終了時刻は過ぎているというのに、一向に終わる様子が無い。

 

(サービス終了が延期になったのか……?)

 

もしそうだとしたら運営から何かしら連絡が来ているだろう。そう考えたザッハークはコンソールを開こうとする。

しかし、コンソールを開く動作は何の反応も示さない。

ザッハークがモモンガの方を見るとモモンガも同じように、コンソールを開く動作をしているがやはり開かないようだ。

ザッハークは困惑しながらもコンソールを使わない他の機能を使おうとする。

しかし、強制アクセス、チャット機能、GMコール、強制終了、そのどれもが一切機能しない。

そして、更に異常に気付く。

 

感覚がおかしいのだ。

ユグドラシルに限らずDMMORPGのようなダイブ型のゲームでは、仮想現実から戻ってこない事態などを防ぐために味覚と嗅覚、触覚の一部に制限がかかる。

しかし、ザッハークの今の五感は口内の唾液や玉座の間の空気が感じ取れる。

それだけでは無い。

モモンガの側に待機するアルベドの気配や、玉座の下に跪くセバス達NPCの注意がこちらに向けられているのが、視界に入れずとも感じ取れる。

明らかに異常だった。ザッハークとてワールドチャンピオンを取得出来るほどだ、当然武芸の心得はある。だが、他者の気配やこちらに注意が向けられていることを鋭敏に察知するなど、到底不可能だ。五感が働いていて、それが異常なほど鋭くなっている。

この異常事態、とりあえずまずはモモンガと相談するべきだと判断したザッハークは流れている曲を止め、モモンガに話しかけようとするが、それより一瞬早くモモンガを挟んだ反対側から鈴を転がすような声が聞こえて来た。

 

「どうかなさいましたか?モモンガ様、ザッハーク様」

 

『な………』

 

声の方向を向き、その声が誰が発したものかを理解したモモンガとザッハークの声がシンクロした。その声に含まれた感情は驚愕。ありえない⁈、何故NPCが喋っている⁈、そんな思考が頭を埋め尽くす。

二人が困惑に包まれる中、声の主であるアルベドは反応が無いことが不安になったのか、モモンガに近づき再度問いかける。

 

「失礼致します。どうかなさいましたか?」

 

アルベドがモモンガに近づき、顔を覗き込む。異性と接したことなど数えるほどしか無いモモンガは狼狽えるが、とりあえず何か返事をしなければいけないだろうとショートした頭で考える。しかし、混乱し上手く働かない頭ではどう返答すれば良いのかわからない。

軽くパニックになりかけるモモンガだったが、不意に昔言われた言葉が頭の中に蘇る。

 

───焦りは失敗の種であり、冷静な論理思考こそ常に必要なもの。心を鎮め、視野を広く。考えに囚われることなく、回転させるべきだよ、モモンガさん。

 

モモンガは、アインズ・ウール・ゴウンの諸葛孔明と呼ばれた男、ぷにっと萌えの言葉を思い出したことにより冷静さが戻って来た頭でアルベドへの対応を考える。

 

「………いかがされましたか?」

 

しかし、その冷静さも間近に迫ったアルベドの美貌にどこかへ消えてしまいそうになるが、すんでの所で堪えもしかしたらという思いを浮かべ口を開く。

 

「………GMコールが利かないようだ。何か知らないか?」

 

「………お許しを。無知な私ではモモンガ様の問い掛けであられるじいえむこーるなるものに関してお答えすることが出来ません。ご期待にお応え出来ない私にこの失態を払拭する機会をいただけるのであれば、これに勝る喜びはございません。何とぞなんなりとご命令を」

 

モモンガと二人のやりとりを横で見ていたザッハークはNPCがこちらの言葉を理解し会話している事を確信する。

NPCが喋ること事態はそういったプログラムを組めば可能だ。実際ザッハークもNPC達にいくつかの音声データを入れている。

しかし、会話など到底不可能だ。NPCは特定のコマンドにしか反応しないし、音声データもあまり複雑なものは無い。

何よりありえないのが表情だ。喋るとともに口が動き、表情が変化する。ザッハークも表情を変えること自体は出来るが、あれはアイコンの代わりであり口は動かないし変えるまではずっと同じ表情だ。

自分のこれまでの常識が一切通じない現状にザッハークは一旦思考を放棄する。本来ありえないこの状況をそういうものだと受け入れ、放棄した思考の代わりに、自分はどうするか強引に冷静さを取り戻した頭で思考を重ねていく。

現状、最も必要なものは情報だ。この異常事態に巻き込まれたのはナザリック地下大墳墓だけなのか、それともユグドラシル全体がこうなっているのか。自分やモモンガの性能はそのままなのか。それ以外にも確かめるべきことはあるが、まずは安全の確保だろう。

とすると今やるべきは魔法やスキルの使用が可能かの確認とナザリック周囲の把握、NPCの忠誠心の確認、と結論を出したザッハークは、玉座の下に跪くNPC達を見る。

先程のアルベドを見る限りでは今すぐ襲いかかって来ることは無いだろうが、いつまでもそうだとは限らない。自分達が魔法やスキルを使えなくなっている場合それを知って亡き者にしないとは言い切れないし、ミスなどの何らかの要因で見限られる可能性もある。加えて、忠誠心があるようなアルベドも100%信頼出来るとは言い切れない。

他にも様々な不安があるが、まずは試して見なければわからない。やってみれば杞憂で終わるかもしれないのだ。というか、そうであって欲しい。

ええい、ままよ!と覚悟を決め、暗記している能力などから玉座の下に跪くNPC達の中で誰に命令を下すかを数瞬ほど考え、結論を出してザッハークは命令を下すべく口を開く。

 

「………セバス」

 

こちらの呼びかけに応じ顔を上げたセバスの表情は真剣そのものだ、何としても期待に応えるという気迫に満ちているように見える。

それを見て、ザッハークは内心の不安が幾分か軽くなるが、不測の事態に備えて、腰に()いたワールドチャンピオン・オブ・ニヴルヘイムを抜けるよう右腕に力を入れ、命令を下す。

 

「サイゾウとレイヴナントを連れてナザリックの周囲1kmを探索せよ。知的生命体が見つかった場合や不測の事態が起こった場合は指示を仰げ」

 

「了解致しました、ザッハーク様。直ちに行動を開始致します」

 

ザッハークの命令を受けたセバスは青味の強い紺色の忍び装束を着た紺の髪の青年───サイゾウと手と首から上以外の肌を覆う和風ドレスを着た膝から下が無い半透明の黒髪姫カットの女性───レイヴナントと共にモモンガとザッハークに跪拝し、玉座の間を退出して行く。

セバスを選んだのは実験だ。ユグドラシルが現実化したように思われる今、拠点から出られないようになっているNPCが外に出られるかを確かめるのは必須と言える。システム通り出られないままなら反旗を翻された時ナザリックの外に出れば自分達を追えるのは製作方法が違うため外に出られる7人だけになるのだから。

確かめるだけならばプレアデスでも良かったが、もし出られた場合ナザリックの周囲にあるグレンベラ沼地には80Lv以上のモンスターもいる以上、プレアデスでは対処出来ないのだ。

そしてセバスが出られなかったとしても忍術と隠密に特化した人狼(ワーウルフ)のサイゾウと精神系魔法詠唱者(マジックキャスター)で霊体種族のレイヴナントの外に出られる2人だけでも探索は可能だ。魔法やスキルが使えなくなっているという事態になっていない限り周囲の把握という目的は達成出来るだろう。

ザッハークはNPC達がこちらに従ってくれるということに安堵し、残りの者達の方を向き、命令を下す。

 

「プレアデスとフィリア達は第九階層に上がり、異常が無いか警戒せよ」

 

「承知致しました、ザッハーク様」

 

命令を下されたNPC達がセバス達と同様に跪拝して玉座の間から退出していくのを見送ったザッハークはモモンガ達の方へと向き直ると、アルベドが優しげな微笑を浮かべこちらに問い掛けてくる。

 

「ではザッハーク様。私はいかが致しましょう?」

 

「ふむ………」

 

アルベドの問い掛けにザッハークは考え込む。この場で試せるような魔法やスキルを試したいため、退出させることは決まっているが、ただ退出させるより何か命令を与えた方が自分に対する忠誠心の確認も出来る以上その方が良いのだが、肝心の命令がとんと思いつかない。

悩むザッハークが出した結論は、

 

「何かありますか? モモンガさん」

 

モモンガへの丸投げだった。癖の強いギルメン達をまとめていたモモンガなら何か案を出してくれるだろうという信頼だったが、傍目からは冷静に指示を出していたように見えるザッハークに任せて自分は思考に没頭していたモモンガにとっては寝耳に水であり、それ故に

 

「え?えっと、そうですんんっ! そ、そうだな………」

 

盛大にテンパった。謎の精神安定のおかげで落ち着けたが、思考に没頭していたせいで上手く考えがまとまらない。頭を軽く2、3度振って無理矢理未だ残る混乱を払って考え、口を開く。

 

「アルベド、私の元まで来い」

 

「はい」

 

嬉しそうな表情を浮かべてにじり寄ってくるアルベドだったが、やけに近い。今にも抱きつかんばかりの距離だ。

モモンガは浮かび上がってくる邪念を払い、アルベドの手に触れる。

 

「………っ」

 

「ん?」

 

するとアルベドは痛みを堪えるような表情をする。モモンガは熱いものを触った時のように反射的に手を離す。

嫌だったのだろうか、とモモンガが軽く傷つく中ザッハークは眼鏡の効果で可視化されているアルベドのHPが減少したのを見て疑問に思う。

ユグドラシルでは同士討ち(フレンドリー・ファイア)は無いためダメージは受けないはずなのだが、同じギルドに所属しているアルベドにダメージが入っている。

同士討ちが解禁されているというのは、ユグドラシルが現実化したと思われる現状ではありえることだ。仲間だから攻撃が当たってもダメージが無いなど、現実ではありえないだろう。同じギルドの仲間としてカウントされていないという可能性もあるが、その可能性は低い筈だ。

となると、少しまずいか、とザッハークは考える。ザッハークが持つパッシブスキルの一つに物理攻撃に即死効果を乗せるというものがあるのだ。即死耐性や物理耐性を貫通出来るものの、ダメージを与えなければ即死判定が入らない上、耐性を持った相手だと即死率は大きく低下するため即死対策が当たり前なユグドラシルでは発動すればラッキー程度で両の指で足りる程しか発動したことがないが、何かの間違いで味方に発動したら目も当てられない。

切っておいた方がいいかどうか、ザッハークは悩む。まだNPC達が襲いかかってこないという保証が無く戦闘に入る可能性がある以上切らない方が良いようにも思うが、戦意の無いNPC達に何かの間違いで発動した結果戦闘に入ったりしたらそれこそまずい。

高速思考により数瞬ほど考えたザッハークはスキルを切っておく。もとより発動したらラッキー程度のおまけなのだから、争いの芽は早めに摘んでおいた方が良い。

まるで呼吸のように自然にスキルの切り方が分かったことに少し驚くが、この異常事態への驚きに比べれば些細なものだ。

ザッハークはこちらをチラチラ伺うモモンガの様子から何を試そうとしているかを察し、何かあった際モモンガを庇えるように注意しつつ顔をそらしてモモンガとは反対の方向を向いておく。

何やらモモンガの方から初めてがどうのこうの聞こえるのを無視してザッハークはモモンガの方に気を払いつつ先程放棄した思考を再開する。

とはいってもザッハークの中で既に答えは出ていた。ただ、普通ありえない結論であるため、頭を整理したかっただけだ。

思考を重ねていると「一時間後に第4、第8階層守護者を除いた全階層守護者を第6階層の円形劇場(アンフィテアトルム)に来るように伝えろ」とモモンガの指示を受けたアルベドが少し早足で玉座の間を退出していくのを察知する。

 

「ザッハークさん」

 

「分かってます。色々話し合いたいところですが、まずは自分が出来ることを確認しましょう。時間は有限です」

 

「そうですね、まずは魔法やスキル辺りからですか」

 

長い付き合い故短い会話でやるべきことを纏めた二人はまず、ゲームで出来たことが出来るかの確認をすることにした。

 

 

 

▪️▪️▪️▪️▪️

 

 

 

「とりあえず魔法やスキルは普通に使えるみたいですね」

 

「ええ、耐性もそのままのようですし、アイテムも使えます。これなら全階層守護者相手にしても大丈夫でしょう」

 

検証した結果アバターの性能は一部フレーバーテキストに合わせたものに変化していたが、そのままのようだ。玉座の間で試せるものしか試していないが恐らく他のものも使えるだろう。

そしてどうやら先程からの鋭敏な感覚はユグドラシルでは単純な探知効果だったパッシブスキルの〈ドラゴニック・センス〉がフレーバーテキスト通りに変化したもののようだ。ついでにスキルであると同時に感覚でもあるためon/of切り替えは出来ないことも分かった。

 

「さて、次はこれですね」

 

そう言ったザッハークは今は鎧により見えないが、右手中指に嵌められた指輪をかざす。

見た目こそただの金のリングだが、その指輪の名はソロモンの指輪。ダンジョン《時間神殿》を最初に適正レベルで攻略することで手に入る世界級(ワールド)アイテムだ。

 

召喚(サモン)、バアル」

 

ザッハークが──特に必要無いが──言葉を発すると業火が巻き起こり、中からネコ、ヒキガエル、王冠を被った男という三つの頭を持つ蜘蛛が現れた。

 

「ふむ、特に変わってはいないようですね」

 

召喚されたバアルとの間に主従を示すかのような繋がりを感じとり、ザッハークが満足そうに頷く。運営にソロモン好きが居たのか元ネタに忠実に──厳密に言えば違うが──再現された72柱の高位悪魔の使役能力は利便性が高く、これが使えるかどうかで取れる手段がかなり変わるのだ。

 

「うわぁ、何度見ても凄まじい姿ですね。私、やっぱり好きになれそうにないです」

 

召喚されたバアルの姿を見たモモンガが呻く。しかし、それも仕方ないだろう。何せ三種類の頭を持った1.5m程の蜘蛛という醜悪な姿なのだ。それでも戦闘力は高いためザッハークは重宝している。

 

「戻れ、バアルよ」

 

ザッハークは自分の言葉を受けたバアルが召喚時と同じように業火の中に戻っていくのを見送り、ゴーレムなどの確認をするためにモモンガと共にソロモンの小さな鍵(レメゲトン)へと移動する。

 

 

 

 

「戻れ、レメゲトンの悪魔達よ」

 

モモンガの言葉に従い72柱のゴーレム達は己の配置場所へと戻っていく。ゴーレム達防衛システムが正常に機能することを確かめたモモンガは「ふぅ」と言葉だけの息をつく。

レメゲトンのゴーレム達に自分達以外に従わないように指示を出し、それが出来ない五行図の方は機能を停止した。途中ザッハークがこっそりレメゲトンの5つの章にちなんだ5体の上級ゴーレムを隠していたことが判明するというハプニングがあったものの、無事確認は終了した。

一息ついたところで、ふとザッハークが口を開く

 

「そういえば、少し気になったことがあるんですが」

 

「何かありました?」

 

「モモンガさん、アルベドが退出していった後『やっちまった………』って雰囲気出してましたがどうかしたんですか?」

 

「あー。えっと、その、実は……………」

 

「アルベドの設定を変更しました?」

 

「な、何で分かったんですか⁈」

 

モモンガはあっさりと当てられたことに驚愕する。精神安定が発動する程では無いが、肉の無い骸骨の顔でも分かるほど驚いている。

 

「そうですね、私がアルベドの設定を見ていたモモンガさんに声をかけた時の驚きようと、さっき言った雰囲気から推測しました」

 

モモンガは、ザッハークの軽い笑い混じりの声音でそう思った根拠の説明に納得すると同時に相変わらずの鋭さに感心する。最もザッハークからすればモモンガが分かりやすいだけなのだが。とりあえずアルベドの設定をどう変更したのかを聞いたザッハークは軽く竜人故に分かりづらい笑みを浮かべ、言葉を紡ぐ。

 

「それだったら大丈夫だと思いますよ」

 

「どういうことですか?」

 

「前にモモンガさんが会議の資料作らないといけなくて三日ログイン出来なかった時がありましたよね。その時にログインしていたギルメンでちょっと討論したんです」

 

「討論ですか?」

 

「はい。『アインズ・ウール・ゴウンに所属する者の中で自分の作ったNPCを嫁or婿に出すとしたら誰か。』という議題で。で、その中にタブラさんがいたんですけど『俺はNPCを嫁に出すならモモンガさんだな』って言ってました。それでその会議、最後は殴り合いに発展しましたね」

 

「何があったんですか⁈」

 

「まぁ、色々と。なのでアルベドの設定変更、タブラさん的には問題無いと思いますよ?」

 

「そうなんでしょうか………………」

 

ザッハークは設定の変更について問題無いだろうと伝えるが、律儀なモモンガはそれでも罪悪感が消えないようだ。モモンガの罪悪感はタブラの作ったNPCを変えてしまった、ということに起因するのだから当然なのだがザッハークとしては「生真面目すぎやしないか?」と思う。まぁ、そういった生真面目さが慕われる要因になっているのだし別に構わないのだが。

それはともかく、設定が生きているというのは僥倖だ。それはつまり、メイドのフィリアやシズ、忍者のサイゾウなど従者としてのキャラメイクをしたNPCは信用出来るということになるのだから。

ただそうなると、元ネタからプライドの高い貴族として設定されたカーミラや神へ反旗を翻した天使がなるという設定の種族《堕天使(フォールンエンジェル)》のルシフェルが不安だが、もし叛逆されたとしても倒すことは出来る。

 

「はぁ………」

 

ザッハークは思わず溜め息が出る。自分の子と言えるNPC達を仕方ないのだとしても疑い、殺すことまで考えるなど、心底嫌になるが今はそんなことをしている時ではない。

円形劇場(アンフィテアトルム)への集合時間まであと30分ほどだ。思考を切り替えモモンガへ自分の案を告げる。

 

「とりあえず宝物殿へ行きましょう」

 

「宝物殿、ですか………」

 

「ええ、いざという時の逃げ場は必要ですから」

 

「確かにそうですけど………」

 

モモンガは苦い声で呻く。それが大事だとは分かっているようだが、自分の黒歴史と対面しなければならない以上、明らかに気乗りしていない。

 

「ほら、渋ってないで行きますよ。あと30分ほどで第6階層に行かないといけないんですから」

 

「はぁ……。分かってますけど気乗りしないですね………」

 

モモンガは渋々といった雰囲気で宝物殿へと転移する。ザッハークもそれに続き、転移する。

一瞬視界が黒く染まり、つい1時間と少しほど前に来た宝物殿の光景が目に入る。

先に来ていたモモンガと共に奥へと向かう。途中、軽く打ち合わせをしつつ、モモンガは魔法、ザッハークは翼により飛行して金貨の山を超え、宝物殿の奥へと続く扉の前に到着する。

ザッハークが合言葉で扉を開き、様々な武器が展示してある部屋をさっさと通り過ぎて霊廟前の部屋へと出ると、その部屋にいた軍服を着たハニワそっくりの人影が大仰な仕草と共に出迎える。

 

「ようこそおいでくださいました。ザッハーク様に私の創造主モモンガ様っ!」

 

「………久しぶりだな。パンドラズ・アクター。元気そうで何よりだ」

 

そのハニワ──パンドラズ・アクターの自分の黒歴史そのものな言動に一瞬で精神安定が発動したモモンガは苦味を帯びた声で応える。

監修しかしていないザッハークは懐かしいで済んでいるが、動作や設定を考えたモモンガとしては見ているだけで恥ずかしい。

 

「はい! 元気にやらせて頂いています。ところで今回は、どうなされたのですか?」

 

「ああ。現在ナザリックは何かしらの異常に巻き込まれているようだ。何か異変は無いか?」

 

モモンガの問いにパンドラズ・アクターは顎に手をつけ、少しの間考え込んだ後、ゆっくりと首を振る。

 

「いえ、思い当たることはございません」

 

「そうか。それなら構わない。私がここに来たのはお前に頼みたいことがあるのだ」

 

「はっ!何なりとご命令を、モモンガ様っ!」

 

びしっと擬音が付くような見事な敬礼をするパンドラズ・アクター。会話でも度々大仰な動作を入れるため、既にモモンガの精神安定回数は2桁に迫ろうとしていた。

モモンガはさっさと宝物殿を出るべくパンドラズ・アクターへ事前に打ち合わせしていた命令を下す。

 

「私達はこれから第4、第8階層を除く全階層守護者と会ってくる。現在ナザリックは未知の異変に巻き込まれている以上反旗を翻す者がいるかも知れん。その場合私達は一旦ここへ転移するつもりだ。その時に備え、お前は戦闘準備をしておけ」

 

「恐れながらモモンガ様。それならば私がモモンガ様へと扮していった方がよろしいかと」

 

パンドラズ・アクターが進言する。確かに安全にいくならその方が良い。しかし、打ち合わせによりその進言がある可能性を予期していたモモンガは淀みなく反論する。

 

「いや、もしそれがバレた場合守護者達がどう反応するか分からん。それに戦いになった際、転移を封じられればザッハークさんと二人で戦うことになる。ザッハークさんとの連携は一緒に戦った経験の無いお前には厳しいだろう」

 

「なるほど、さすがはモモンガ様。過ぎたことを申しました」

 

「構わん。それでは準備をしておけ」

 

「承知いたしましたっ!」

 

命令を受けたパンドラズ・アクターはまさしく舞台俳優のごとき大仰な身振り手振りを交えた優雅な礼を見せる。

それを見たモモンガは宝物殿に来てから数えるのも億劫になった精神安定が発動する。とりあえず手首に巻いてある腕時計を確認すると守護者達の集合まであと20分ほど。まだ時間に余裕があると判断したモモンガはパンドラズ・アクターを部屋の隅まで引っ張っていく。

そちらの方から「敬礼はやめないか?」やら、「我が神のお望みとあらば(Wenn es meines Gottes Wille)!」やら聞こえてくるのを聞いてザッハークはだから後で後悔すると言ったのだがなぁ………などと思いながらも壁側から聞こえたパンドラズ・アクターの言葉から一つの推測を打ち立てる。

NPCは自分の創造主を最も尊重するのではないか、と。確証は無く、推測でしかないがザッハークはほぼ確信していた。何せ、他のギルメンに対して『迷い無く』なのだ。

と、そこで恐ろしいことに気づく。

 

(…………もしや、あれがデフォルトなら設定に『主に対して絶対の忠誠を持つ』と書かれたフィリア達はあれ以上になるのか?)

 

大仰な身振り手振りと口調のせいで分かりづらいが、パンドラズ・アクターは自分の創造主であるモモンガに相当な忠誠心を持っているように思える。

それならば自分が製作したNPCはシズを除いて特殊なスキルで製作している上、メイドや忍者、侍、天使など誰かに仕える種族や職業、役職の場合、主が最上位だと設定してあるのだ。既に絶縁してはいるものの家柄は良かった為傅かれるのは慣れているザッハークだが、応えるだけで潰れそうな忠誠を向けられるなど想像したことすらない。

ザッハークがありえそうな予感を立ててう〜むと唸っているとパンドラズ・アクターとの話が終わったモモンガがこちらに戻ってくるのを感じ取る。

どうも疲労の状態異常とは無縁のアンデッドにも関わらず、げんなりとしているように感じる。それ程までに自分の黒歴史が凄まじかったのだろう。ザッハーク的には割とアリだと思うのだが、普通の感性ならダサく、元中二病患者からすれば恥ずかしいというのは理解している。

ザッハークはとりあえず時間もおよそあと15分しか無いのとモモンガの精神のためにパンドラズ・アクターについては触れずに二人で話し合ったルベドや第8階層のあれらへの最後の保険をかけに第6階層へ転移する。

 

転移した先は洞窟だ。3mに迫る身長のザッハークが手を伸ばしても天井に届かないほどの高さの洞窟は怪物が口を開いているような錯覚すら覚えるほどの威容で佇んでいる。

この洞窟は『ラビリンス』。第6階層から第7階層まで繋がった大型迷宮。ここに配置しているモンスターこそが最後の保険なのだ。

ラビリンスの入り口に立ったザッハークが中へと呼びかける。

すると、奥から巨大な何かの気配がこちらへ来るのを感じ取る。

ラビリンスの中から現れたのは二足歩行をする漆黒のドラゴンだ。それもただのドラゴンではない。

類人猿のような四足歩行も出来る骨格で、竜人形態のザッハークですら見上げるほどの5mはあるだろう巨躯。背中にはコウモリのような飛膜を持った巨大な翼を生やし、強靭な体を包む漆黒の鱗は特級の呪具を彷彿とさせる程、荘厳にして禍つ闇の威圧感。何よりの特徴として、夜天の凶星のごとき真紅の双眸煌めく首が3つ。

このドラゴンはアジ・ダハーカ。課金ガチャの超激レアモンスターだ。そのレア度は流れ星の指輪(シューティングスター)をあっさりと引き当てる豪運を持ったザッハークさえ容易には引けず、嘘か誠か有志の計算によると1%を軽く下回るらしい。

魔力系、信仰系、森司祭(ドルイド)系と三系統の魔法を90個ずつ第十位階まで使いこなし、自己再生のスキルやダメージに応じてモンスターを生み出すカウンタースキル、奥の手まで備えており、ステータスも前衛が出来るほどの高さの強力なモンスターなのだ。

 

「久しいな、元気だったか?」

 

アジ・ダハーカはザッハークの問いに地響きのような唸り声で返す。鳴動する大気は猛毒じみた精神への圧力と化すが、ソロモンの指輪の能力の一つであるテイマー職無しでのモンスターのテイム──設定文によると動植物との会話能力──により、意外なほど鷹揚な問題無いという返答を理解出来た。

ザッハークはアジ・ダハーカに円形劇場(アンフィテアトルム)上空での待機を命じる。

アジ・ダハーカが〈完全不可知化(パーフェクトアンノウンブル)〉を使い円形劇場(アンフィテアトルム)上空へ飛んでいくのを見届けた二人は、ラビリンスから円形劇場(アンフィテアトルム)まで転移する。

 

転移した先の通路で最終確認をしてから通路を抜ける。

闘技場まで出ると「とあ!」という声と共に貴賓室から人影が跳躍する。

人影は空中で一回転すると足を軽く曲げるだけで衝撃を完全に殺し着地する。

 

「ぶい!」

 

飛び降りてきた人影は両手でvサインを作り、得意げな表情を浮かべる。

 

「アウラか」

 

モモンガはその人影の名前を呟く。闇妖精(ダークエルフ)の特徴の浅黒い肌と長く尖った耳を持ち、緑と青のオッドアイはキラキラと輝いていた。その闇妖精(ダークエルフ)はアウラ・ベラ・フィオーラ。第6階層守護者の一人である。アウラが小走り──ただし速度は獣の全力疾走並み──でモモンガとザッハークの方へ向かってくる。ある程度まで近付くとアウラが足で急ブレーキをかける。靴が地面を削り土埃が上がるが計算しているのかモモンガとザッハークには届かない。

 

「いらっしゃいませ、モモンガ様、ザッハーク様。あたしの守護階層までようこそ!」

 

満面の笑みでの挨拶は敵意の類は感じられず、パンドラズ・アクターやアジ・ダハーカと同様〈敵感知(センス・エネミー)〉にも反応は無い。やはり、NPCは基本的にこちらへ忠誠心を持っていると考えていいようだ。

モモンガとザッハークは体に軽く入れていた力を抜く。

 

「………ああ、少しばかり邪魔させてもらおう」

 

「何を言うんですか。お二方はナザリック地下大墳墓の主人。絶対の支配者ですよ?そのお二方がどこかをお訪ねになって邪魔者扱いされるはずが無いですよ」

 

「そうか?ところでアウラだけか?」

 

モモンガの問いにアウラは貴賓室の方を向き、声を張り上げる。

 

「マーレ!モモンガ様とザッハーク様が来てるのよ!さっさと飛び降りなさいよ!」

 

「む、無理だよぉ………お姉ちゃん………」

 

アウラの声に距離もあり、ザッハークでも聞こえない消え入るような声がドングリ型の通信用のアイテムから返ってくる。

アウラは「はぁ」と溜め息をつき、更に声を張り上げる。

 

「お二方をこれ以上待たせるって言うの!さっさと来なさい!」

 

「わ、分かったよぉ………えい!」

 

その声と共に貴賓室からぴょこんと人影が飛び降りる。人影はそのままトテトテと走ってくる。その遅さにアウラは眉間を痙攣させ、怒号を放つ。

 

「早くしなさい!」

 

「は、は、ははい!」

 

走って来たのはもう一人の第6階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレだ。アウラにそっくりだが、格好や雰囲気は正反対で製作者であるぶくぶく茶釜の理想の弟像が反映されている。

 

「これが茶釜さんの本当に望んだアウラとマーレなんだろうな」

 

モモンガが感慨深げに呟く。ザッハークもそれには同意だ。もし二人の製作者であるぶくぶく茶釜がこの光景を見たら実弟を放ってずっと構っているのが目に浮かぶようだ。

 

「お、お待たせしました、モモンガ様………」

 

マーレがびくびくと二人を窺うように上目遣いをする。美少女に見える外見と相まってかなりの破壊力だが、現実は無情である。第6階層守護者の双子は製作者の趣味により異性装となっているのだ。つまり、男である。これにはザッハークも戦慄したものだ。

それはともかく、ザッハークは不思議に思う。ザッハークは子供が嫌いだ。特に無邪気な、言い換えれば鬱陶しいタイプは嫌悪と言っていいほどに。しかし、何故かこの双子には全く悪感情を感じないのだ。かつての仲間が製作し、自分もそれに関わったからなのか、人間ではないからなのか、それともそれ以外なのか。

まぁ、いいか、とザッハークは思考を放棄する。理由が分かったところで何かが変わる訳でもなし。それならば別に突き止めなくても構わないだろう。

この双子を嫌わずに済む。それだけでいい。敵対したならともかく、同じギルドに所属している相手を嫌いたくなどないのだから。

 

「ところでお二方はどんな目的で来られたのですか?」

 

「ああ、少し訓練をしようと思ってな。ザッハークさんは見物だ」

 

「訓練?え?モモンガ様が⁈」

 

アウラとマーレが驚愕の表情を浮かべる。NPC達が自分達を絶対者だと認識しているのは分かっていたため、モモンガは「そうだ」と簡素な返事と共にスタッフで軽く地面を叩く。それを見て双子の表情が納得に変わる。

 

「そ、それがモモンガ様しか触ることが許されないという伝説のアレですか?」

 

マーレが瞳を輝かせてモモンガに問いかける。モモンガはその問いに伝説のアレという言い方に引っかかるものを覚えつつスタッフを掲げ、双子に見せる。

今まで自慢したくともする機会がなかったためつい我を忘れて語りそうになるのを堪え口を開く。

 

「そう言うことだ。準備をしてもらえるか?」

 

「はい!かしこまりました。すぐに準備をします。それで………あたし達もそれを見てよろしいのですか?」

 

「ああ、構わない。私しか持つことを許されない最高の武器の力を見るがいい」

 

アウラはやったーと飛び跳ね、マーレは耳をピコピコと動かし喜びを表す。その姿にザッハークも嫌悪感など一切湧かず微笑ましく思う。モモンガも同様だが、二人ともそれを表情には出さない。

 

「それとアウラ。全階層守護者をここに呼んでいる。あと十分ほどで集まるだろう」

 

「全階層守護者って、もしかしてシャルティアも来るんですか⁈」

 

アウラが明らかに嫌そうな表情を浮かべる。お互いの製作者が姉弟でしょっちゅう言い争いをしていたためか、シャルティアとアウラは仲が悪いと設定されているのだ。マーレは特にそういったことは設定されていない。

耳をしょんぼりとさせるアウラの姿にモモンガは「一体どんなことになるやら」と小さく呟いた。

 

 

▪️▪️▪️▪️▪️

 

 

モモンガは闘技場の隅に立てられた藁人形ヘ指を向け狙いを定める。ここで試すのは玉座の間で試せなかった範囲攻撃魔法だ。

試す魔法を頭の中で選び、選んだ魔法を放つ。

藁人形ヘ向けた指から放たれた〈火球(ファイヤーボール)〉が着弾し、炎が広がる。

焼け焦げた藁人形を見るに範囲攻撃もユグドラシルとほとんど変わっていないようだ。むしろコンソールを操作する必要が無い以上こちらの方が使いやすい。

ザッハークがモモンガが魔法を放つのを見物していると〈伝言(メッセージ)〉が飛んでくる。

 

「レイヴナントか。周辺はどのような様子だった?」

 

『はい。周辺は見渡す限りの草原となっており、知性を持つ存在は確認出来ませんでした』

 

「草原だと? 沼地ではなく?」

 

『はい。目視のみですが上空から確認した限り、恐らく最低でも3kmは草原が広がっていると思われます』

 

レイヴナントの言葉にザッハークはふむ、と考え込む。ナザリックの周囲はグレンベラ沼地という毒の沼地でツヴェークなどのモンスターが生息していた。それが草原に変わり、知性を持つ存在もいないとなると、ナザリックが異世界ヘ転移した、という荒唐無稽な仮説が浮かぶ。平常であれば発言者の頭を心配するような考えだが、現状はその可能性が高いように思える。既に普通ならありえないことばかりの現状、常識的に考えてありえないなどと言っている方が愚かだ。

そんな思考に没頭していたザッハークだったが、レイヴナントの怪訝そうな『ザッハーク様?』という声に現実に引き戻される。

 

「ああ、済まない。思考に没頭していた。それで周囲は草原なのだな?」

 

『はい、間違いありません。食料問題などを抜きにして考えた場合、戦闘力の無い下等で脆弱な人間が放り出されても生存は容易いでしょう』

 

「そうか、分かった。では帰還し、第6階層の闘技場まで来い。そこに守護者達を集めている。そこでナザリック周囲の状況を説明してもらう」

 

『承知いたしました』

 

その返事と共に〈伝言(メッセージ)〉が切れる。ザッハークは新たに入ってきた情報に頭を抱えたくなるが、情報の共有をすべくそれを抑えこちらを伺うモモンガヘナザリック周囲の状況と自分の仮説を伝える。

 

「異世界転移、ですか………」

 

「ええ。荒唐無稽ですがレイヴナントの〈伝言(メッセージ)〉と現状を合わせて考えるとこの可能性が一番高いと思います」

 

ザッハークの仮説にモモンガはふむ、と考え込む。ふと、ザッハークは不安が出てくる。今まではやることがあったため考えていなかったが、ザッハークに元の世界に帰るという選択肢は無い。しかし、モモンガもそうだとは限らないのだ。一部の特権階級のためのディストピアではあったがそれでも残したものがあるのなら帰ろうとするだろう。

口を開くが、元の世界に帰りたいと思いますか?という問いが貼り付いたかのように出てこない。

 

「とりあえず、今は守護者達のことを考えましょう。集合まであと10分ありませんよ?」

 

結局ザッハークの口から出てきたのはそんな言葉だった。答えを聞くのが怖くて目前の問題に気を向けることで問題を先延ばしにしようという普段であればしない逃避をする。

モモンガがそうですね、と返し引き締まった雰囲気になり、ザッハークも先ほどの思考を頭から払う。

それとほぼ同じタイミングでザッハークが〈伝言(メッセージ)〉でレイヴナントと会話していた間に始まっていたアウラとマーレのコンビと根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)の戦いが終わる。

時間が余り無いから早めに終わらせるように、とモモンガに言われた二人は見事な連携による苛烈な攻めで3分ほどで根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)を倒してみせた。

 

「二人とも、素晴らしかったぞ」

 

「ああ、正に連携の見本のようだった」

 

モモンガとザッハークの心からの賛辞に二人とも嬉しそうな笑顔を浮かべる。

 

「ありがとうございました、モモンガ様。こんなに運動したのは久しぶりです!」

 

そう言って二人は額の汗を拭う。それを見てモモンガはアイテムボックスから無限の水差し(ピッチャー・オブ・エンドレスウォーター)とグラスを取り出し、水を注いで二人に差し出す。

恐れ多いと遠慮する二人に苦笑し、いつも良く働いていることへの感謝の表れだ、と伝え再度差し出す。

照れたように顔を赤らめた二人がふわー、と気の抜けたかのような声を出し恐る恐るグラスを受け取る。

嬉しそうに笑みを浮かべる二人にザッハークもアイテムボックスの中を探る。

取り出したのは飴だ。両端を捻って留めた包装紙に包まれている飴と聞いて誰もが思い浮かべる形をしている。

一定時間体力が回復し続けるというアイテムだが、100Lvからすると微々たる量の持っている意味の無いアイテムだ。しかし、リンゴやブドウ、オレンジと──効果は変わらず設定だけだが──様々な種類があったためコレクター魂が刺激されて全種類持っていたのだ。

アウラにはリンゴ、マーレにはブドウを選びモモンガさんと同じ感謝の気持ちだ、と渡す。

渡されたアウラとマーレは嬉しそうに顔を綻ばせるが、飴を舐めながら話すのは問題だと考えたようでポケットにしまう。

 

「ザッハーク様は知ってましたけど、モモンガ様ってもっと怖い方だと思ってました」

 

「そうか?その方がいいと言うのならそうするが………」

 

「今のままの方がいいです!絶対いいです!」

 

 

アウラがかなりの勢いで返答する。その勢いの強さにモモンガは面食らうが、表に出さずなら、このままだな、と返す。

 

「も、もしかしてあたし達にだけ優しいとか………」

 

アウラの呟きに何を言うか迷ったモモンガは何となくアウラの頭を撫でる。えへへ、と嬉しそうに笑顔を見せるのをマーレが羨ましそうに見ていたため、ザッハークもマーレの頭を撫でておく。約三倍の体格差から指先で撫でる形になったがマーレは嬉しそうに耳を動かしている。

 

「おや?わたしが一番でありんすか?」

 

唐突に少女の声の廓言葉が響き、地面から影が扉の形に持ち上がる。

その中から出てきたのは漆黒のボールガウンに身を包んだ銀髪の少女、ナザリック地下大墳墓の第一から第三階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールンである。

シャルティアは真っ直ぐにモモンガへと向かい、首に両手を回して抱きつくような姿勢になる。

 

「ああ、我が君。わたしが唯一支配できぬ愛しの君」

 

同じ吸血鬼のカーミラ辺りがやれば妖艶な光景だが、いかんせんシャルティアでは身長など色々と足りず微笑ましいだけだ。

シャルティアがモモンガヘ向ける態度は設定された性癖の一つ、屍体愛好家(ネクロフィリア)によるものだろう。

エロゲにありがちな設定らしいが、ザッハークが製作者のペロロンチーノに勧められてプレイしたエロゲにもそれ以外のエロゲにも出てきていないため、屍体愛好家に関してはペロロンチーノの趣味ではないかと疑念を抱いているのだが肯定された場合が怖くて聞けていない。

 

「いい加減にしたら………」

 

アウラの怒気のこもった低い声にシャルティアはそちらを向き、嘲笑を浮かべる。

 

「おや、チビすけ、いたんでありんすか?視界に入ってこなかったから気づかんでありんした」

 

怒りを浮かべるアウラを無視し、シャルティアはマーレに声をかける。

 

「ぬしも大変でありんすね。こな頭のおかしい姉を持って。こな姉からは早く離れた方がいいでありんす。そうしないとぬしまでこなになってしまいんすよ」

 

シャルティアが自分を出汁に使ってアウラに喧嘩を売っていると悟ったマーレの顔色が悪くなる。

しかしアウラはそれを気にせず微笑みを浮かべ、

 

「うるさい、偽乳」

 

爆弾を投下した。

 

「………なんでしってるのよー!」

 

一瞬で先ほどまでの雰囲気が崩れ、廓言葉を忘れるほど動揺するシャルティア。

そこからは昔製作者姉弟がよく繰り広げていた光景だった。シャルティア(ペロロンチーノ)の必死の反論をアウラ(ぶくぶく茶釜)があっさり叩き潰す。

口喧嘩の末、戦闘態勢に入る二人を止めようとザッハークが口を開きかけたその時、「騒ガシイナ」と硬質な声が響く。

声の主はライトブルーの甲殻に身を包み、冷気を纏った二足歩行の昆虫のような姿の異形、ナザリック地下大墳墓の第五階層守護者コキュートスだ。

 

「御方ノ前デ遊ビ過ギダ………」

 

「この小娘がわたしに無礼を働いた───」

 

「事実を───」

 

睨み合うアウラとシャルティアにモモンガは軽く息を吐き、威厳に満ちた声を発する。

 

「………シャルティア、アウラ。じゃれあうのもそこまでにしておけ」

 

「「申し訳ありません!」」

 

モモンガに諌められた二人は即座に頭を下げる。

ザッハークは二人への対応をモモンガに任せ、コキュートスへと話しかける。

 

「久しいな、コキュートス。よく来てくれた」

 

「御方ノ御呼ビトアラバ、即座ニ」

 

コキュートスは武人らしい生真面目な答えを返す。ザッハークはそうか、と軽く返し闘技場の入り口に新たに来た二人の気配を感じとり顔を向ける。

 

「オヤ、デミウルゴスニアルベドガ来タヨウデスナ」

 

ザッハークに少し遅れて闘技場の入り口へと顔を向けたコキュートスが呟く。

アルベドが先に立ち、その後ろには三揃えのスーツを着こなした浅黒い肌の東洋系の顔立ちの男が続く。

男が一礼し、口を開く。

 

「皆さん、お待たせして申し訳ありませんね」

 

男はデミウルゴス。ナザリック地下大墳墓の第七階層守護者でナザリックの軍事面の最高責任者である。

 

「では皆、至高の御方々に忠誠の儀を」

 

アルベドの言葉に守護者達が佇まいを正し、真剣な雰囲気へと変わる。

アルベドを前にし、守護者達はその後ろに並ぶ。

まず、シャルティアが一歩前へ出て片手を胸に当て、跪く。

 

「第一、第ニ、第三階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン。御身の前に」

 

シャルティアに続き、コキュートスが前へ出て臣下の礼を取る。

 

「第五階層守護者、コキュートス。御身ノ前ニ」

 

その次は闇妖精(ダークエルフ)の双子が。

 

「第六階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ」

 

「お、同じく第六階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレ」

 

「「御身の前に」」

 

そしてデミウルゴスが。

 

「第七階層守護者、デミウルゴス。御身の前に」

 

最後にアルベドが。

 

「守護者統括アルベド。御身の前に」

 

集合した守護者全員が跪く。そのままアルベドが続ける。

 

「第四階層守護者ガルガンチュア及び第八階層守護者ヴィクティムを除き、各階層守護者、御身の前に平伏し奉る。ご命令を、至高なる御身よ。我らの忠義全てを御身に捧げます」

 

ここからが正念場だ。主にモモンガに任せているが、場合によってはフォローなどが必要になるだろう。

モモンガの右後ろに移動したザッハークは唾を飲み込む。

モモンガの方からピリピリとした空気を感じ、竜人の広い視野で見てみるとモモンガが漆黒の後光を背負い、絶望のオーラを纏っていた。

その支配者らしい威厳にザッハークは感心し、モモンガに倣ってスキル〈魔王の覇気〉を発動する。

 

「面を上げよ」

 

モモンガの言葉に守護者達の頭が一糸乱れず一斉に上がる。

 

「まずはよく集まってくれた、感謝しよう」

 

「感謝などおやめください。我ら、至高の御方々に忠義のみならずこの身全てを捧げた者達。至極当然のことでございます」

 

アルベドの返答は迷い無く、本心からのことだと感じる。他の守護者達も同じようで誰一人として口を挟もうとしない。

パンドラズ・アクターとの会話で多少耐性がついたようでモモンガは即座に口を開く。

 

「それでは今回守護者達を集めた理由を説明しよう」

 

モモンガの言葉に守護者達の表情の真剣さが増す。一言たりとも聞き逃さないといった気迫だ。

 

「現在ナザリックは原因不明の異常事態に巻き込まれていると考えられる。詳しい話は地表の探索に出しているセバス達が戻って来てからになるが、どうやらナザリック地下大墳墓が草原へと転移したようだ。この異常事態について、何か前兆など思い当たる点がある者はいるか?」

 

アルベドが肩ごしに守護者達を伺い、その顔に浮かんだ表情から返答を把握し口を開く。

 

「いえ、申し訳ありませんが私達に思い当たる点はございません」

 

「では、階層守護者達に聞きたい。自らの守護階層で何か異常事態が起こった者はいるか?」

 

モモンガの問いに階層守護者達が口を開く。

 

「第一階層から第三階層まで異常はありんせんでありんした」

 

「第五階層モ同様デス」

 

「第六階層もです」

 

「は、はい。お姉ちゃんの言う通り、です」

 

「第七階層も異常はございません」

 

守護者達の答えは異常無し。アルベドが第四、第八階層の探査をモモンガに申し出る。

その申し出にモモンガがアルベドに一任したところでザッハークは闘技場の入り口の少し前からこちらへ向かってくる内一つがひどく希薄な三つの気配を感じとり顔を向ける。

 

「どうやらセバス達が戻って来たようだな」

 

ザッハークの言葉にモモンガと守護者達がそちらに顔を向ける。

セバスが小走りでこちらへ近づいて来る。その後ろにサイゾウとレイヴナントが片方は忍者走り、もう片方は霊体らしく宙を滑るように続く。

セバス達はモモンガの元へ着くと守護者達と同様に跪く。

 

「遅くなり誠に申し訳ありません」

 

「構わん。それではお前達が見てきた周辺の状況を教えてくれ」

 

「了解いたしました。まず周囲1kmですが───」

 

セバスによると周辺は草原で、モンスターもおらずいたって普通とのことだ。

周辺の状況を説明を聞いたモモンガはセバスを労い、守護者達へ命令を下す。

 

「全員、己の守護階層の警戒レベルを一段階引き上げろ。もし侵入者がいれば殺さず捕らえろ」

 

守護者達は頭を下げ了承を示す。

 

「次にアルベド。各階層守護者の間での情報のやりとりや警備のシステムはどうなっている?」

 

「各階層の警備は各守護者の判断に任されておりますが、デミウルゴスを総責任者とした情報共有システムは出来上がっております」

 

アルベドの言葉にザッハークは表情に出さず少し驚く。

ユグドラシルではNPCはAIの通りに動くだけで、情報共有のシステムなどあるはずもないがこれも現実化の影響だろうか。ザッハークはどこまで現実化により変化しているか気になるが、今はそれを考える時ではないと思考を払う。

 

「では、ナザリック防衛の最高責任者デミウルゴス、守護者統括アルベド。両者の責任の下でより完璧なものを作り出せ」

 

「了解いたしました。それは八、九、十階層を除いたシステム作りということでよろしいでしょうか?」

 

アルベドの問いにモモンガは先ほどアルベドに下した命令を撤回し、七階層から直接九階層へ来られるよう封印の解除を命じ、九階層及び十階層を含んだ警備を行うよう告げる。

NPC達は九階層と十階層をギルメンしか入ることが許されない聖域だと認識しているようで驚愕し、畏れ多いといった様子だったがモモンガが問題無いと許可を出したことで了承した。

モモンガは双子へ視線を向け、問いかける。

 

「次にマーレ。ナザリック地下大墳墓の隠蔽は可能か?」

 

「ま、魔法という手段では難しいです。地表部の様々なものまで隠すとなると…………。ただ、例えば壁に土をかけて植物を生やした場合とか…………」

 

「栄光あるナザリックの壁を土で汚すと?」

 

アルベドの言葉にマーレがビクリと肩を震わす。他の守護者やセバス達も何も言っていないが、雰囲気から察するにアルベドと同じ意見のようだ。

 

「アルベド、余計な口を出すな。私がマーレと話しているのだ」

 

「はっ、申し訳ありません、モモンガ様!」

 

モモンガの低い声にアルベドが深く頭を下げる。モモンガの叱責を自分達にも当てたものと受け止めたようで、それと共に守護者達やセバスの顔が引き締まった物へ変わり、空気も変化する。

 

「壁に土をかけて隠すことは可能か?」

 

「は、はい。お、お許しいただけるのでしたら………ですが………」

 

「だが遠方より観察された場合、大地の盛り上がりが不自然に思われないか? レイヴナント、この周辺の地形はどうだった?」

 

「はい、目視によるものですが最低でもおよそ3kmほど平坦な草原が続いておりました。夜ではありましたが、(わたくし)はアンデッドの身なれば、見逃した可能性は極めて低いと思われます」

 

「そうか………。しかし壁を隠すとなるとマーレの手が妙案。であれば周辺の大地にも同じように土を盛り上げ、ダミーを作れば?」

 

「それならば突如丘が出現したことは不自然に思われるでしょうが、隠蔽自体には問題無いかと」

 

「よし、ではアウラとマーレで協力してそれに取りかかれ。その際に必要な物は各階層から持ち出して構わない。隠せない部分には後ほど、ナザリックに所属する者以外に効果を発揮する幻術を展開しよう」

 

「は、はい。かしこまりました」

 

「よし。私からは以上だ。ザッハークさんからは何かありますか?」

 

マーレの返答にモモンガは満足そうに頷き、ザッハークに問いかける。聞かれたザッハークはええ。一つだけ、と返答し一歩前へ出てモモンガの横に立つ。

 

「アルベド、デミウルゴス。おまえ達には防衛システムを組むついでで構わん、フィリアやパンドラズ・アクターと協力し、恐怖公の眷属やシャドウ・デーモンのような、死んだとしてもナザリックに被害の無い者で情報収集部隊を作ってもらいたい。パンドラズ・アクターは知っているか?」

 

「はい。面識はありませんが存在は把握しております。宝物殿の領域守護者でございますね?」

 

「ああ、その通りだ。後でモモンガさんに紹介してもらえ。宝物殿は指輪が無ければ入れないからな。それと恐怖公には使者や伝言(メッセージ)による連絡でも構わん」

 

「………ぇ?」

 

「「かしこまりました」」

 

「頼んだぞ。おまえ達ならば出来るだろう」

 

そう言ってザッハークは一歩下がる。モモンガの声は幸いにも守護者達には届かなかったようで誰も反応しない。モモンガがザッハークに聞いていないといった視線を向けた後、口を開く。

 

「では、今日のところはこれで解散だ。各員、行動を開始せよ。どの程度で一段落つくか不明である以上、しっかり休息を取り決して無理をしないように」

 

モモンガの言葉に守護者達が頭を下げ、了承を示す。

 

「最後に各階層守護者に聞きたいことがある。まずはシャルティア──おまえにとって私やザッハークさんはどのような存在だ」

 

モモンガの問いにザッハークは誰にも気づかれないようにため息をつく。評価を正面から聞くのは苦手なため気乗りしなかったのだ。それに何と無く嫌な予感がしていた。

そしてその予感は当たることとなる。

まずモモンガに関して、シャルティア曰く美の結晶、コキュートス曰く守護者各員より強き方、アウラ曰く慈悲深く配慮に優れている、デミウルゴス曰く賢明な判断力と瞬時に実行する行動力を有している、セバス曰く最後まで自分達を見放さず残った慈悲深い方、アルベド曰く最高の主人で愛しいお方。

そしてザッハークに関しては、シャルティア曰くモモンガとはまた違った美の結晶、コキュートス曰くナザリックにおいて最強の方、アウラ曰く慈悲深さと包容力を併せ持ったお方、デミウルゴス曰く類稀な武勇と聡慧さを兼ね備えたお方、セバスは大体同じ、アルベド曰くモモンガを支え、並び立つお方。

 

正直勘弁してくれ、と言いたかった。確かにセバスの評価など間違ってないものもあるがモモンガもザッハークもそんな完璧超人ではない。

 

「………なるほど。各員の考えは十分に理解した。それでは私の仲間達が担当していた執務の一部までおまえ達を信頼して委ねる。今後とも忠義に励め」

 

モモンガとザッハークは大きく頭を下げ拝謁の姿勢となった守護者達から半ば逃げるようにレメゲトンへ転移する。

周囲を見渡し、ザッハーク以外誰もいないことを確認したモモンガが大きく息を吐く。

ザッハークも軽く息をつき、人間形態に戻るとアジ・ダハーカに伝言(メッセージ)でラビリンスへ戻っていいと告げる。

 

「ザッハークさん、パンドラズ・アクターの件、私聞いてないんですけど」

 

「まぁ。言ってませんし」

 

しれっと返したザッハークにモモンガがため息を吐く。自分でもそれがいい手だとわかっているのだろう。ただ、あの黒歴史を出したくないのだ。

 

「いや、にしてもすごい高評価でしたね」

 

「ていうか、最早別人ですって、あれ」

 

「冗談や演技って感じでもなさそうでしたね。もしあれが演技だっていうならお手上げですよ」

 

ザッハークの言葉にモモンガがはぁ、と本日何度目かのため息を吐き、気まずそうに口を開いた。

 

「………ザッハークさんは元の世界に帰りたいと思いますか?」

 

「え?」

 

モモンガの問いにザッハークは驚きの声をあげる。それはザッハークがいつか聞かなければいけないと思っていた問いだった。

 

「私は向こうに残してきた家族も友人もいません。でもザッハークさんはどうですか?」

 

「いえ、全く」

 

今度はモモンガが驚きの声をあげる番だった。

ザッハークは微笑みを浮かべ、答える。

 

「私もモモンガさんと同じです。元の世界に未練なんて一切ありませんよ」

 

ザッハークの返答にモモンガはそうですか………と呟く。その声に含まれた安堵を感じ取ったザッハークはそうです、と力強く肯定する。

 

「それでは、私はいろいろとやることがあるので自室に行きます。モモンガさん、パンドラの件忘れないでくださいね?」

 

「分かってますよ。はぁ、まさかこんなことになるとは………」

 

モモンガの嫌そうな声にザッハークは軽く笑い、自室へと転移した。

 




ザッハーク、人間形態で眼鏡掛けてるから竜人形態でも眼鏡なんですよね。純白の全身鎧を纏った白銀の竜人が眼鏡って何かシュール。
にしても細かく描写しちゃうせいか進まねぇや、文才とか他の要因もあるだろうけども。
信じられます?能力の検証に入るまでで5000文字超えたんですよ?
読者の方は知ってるだろうから削った方がいい部分があるのは分かってるんですが、どうも説明が少ないのはなんかダメな気がするんですよね。まぁ、これから頑張ります。
それでは、オリ世界級(ワールド)アイテムの解説です。

ソロモンの指輪
ダンジョン《時間神殿》を最初に適正レベルでクリアすることで入手出来る。能力は72柱の高位悪魔の使役、テイマーの職業無しでのモンスターテイム(設定によると動植物との会話能力)魔法に関するステータスの上昇、MP回復量増加の4つ。
能力が複数あるため、他の召喚系やステータス上昇系の世界級アイテムと比べると効果は低めだが、世界級アイテムだけあり死霊系特化のモモンガが指輪以外同じ条件の下でワールド・ディザスターのウルベルトに迫る火力を出せるようになる。

ところでオリキャラについてですが後書きに設定を載せるのと設定集を投稿するのと本文中で出していくの、どれが良いと思いますか?

感想や誤字、脱字、文章がおかしいという指摘などお待ちしております。

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