ソードアート・オンライン 黒と紫の剣舞   作:grasshopper

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原作8巻のお話であったものです。初めてのクエスト。


4話 始まりの日

キリトside

 

  俺達は正式サービスのチュートリアルが終わってすぐに次の村へと向かった。そして今目的地に到着したところだ。村の名前は《ホルンカ》。

  この村の武器屋に行ったがベータ時と同じでいい片手剣をなかった。初期装備よりもいいものはあったが、耐久値が低く、今から受けようと思っているクエストは量を狩るものなので初期装備のままがいい。

  そうして俺達は武器屋をでて、次に道具屋に入り、有り金全部を回復ポーションに使う。

  そして最後にとあるNPCの民家に入り、クエストを受ける。クエスト名は《森の秘薬》。このクエストの報酬は片手直剣《アニールブレード》。強化すれば三層の迷宮区まで使える。俺もユウキも《片手用直剣》スキルをとっているので、必須だ。

  もう一つのスキルスロットは、ソロで生きるために最重要な《隠蔽(ハイディング)》と《索敵(サーチング)》スキルなのだが、俺とユウキでそれぞれ取得しようということで俺は《索敵》スキルをとった。つまり俺達はスキルスロットが三つになるレベル十までコンビを組み続けることになる。といっても一層のうちにレベル十までいくのだが。

  そうして俺達はクエストをクリアするためのキーアイテム《リトルネペントの胚珠》を取りに、森フィールドに出た。

 

 

  森フィールド。

「ユウキ、スイッチ!」

「うん!」

  ユウキがそう言いリトルネペントに、片手剣ソードスキルの単発水平斬り《ホリゾンタル》を使う。

  今倒したネペントは《実つき》で胚珠をドロップしない。だが、実つきを倒せば倒すほど、胚珠をドロップする《花つき》が出現しやすくなる。それに今日は二レベルまで上がった。

  パンパンという音がする。俺達は音の方を見る。

  するとプレイヤーが茂みから出てきた。

「レベルアップおめでとう。早いね」

「それを言うならそっちこそ。ボクはあと二、三時間は誰もこないと思ってた」

  俺は今気づいた。

  この青年は元テスターだ。

「せっかくだから、このクエ協力しない?」

「でも、一人用のクエストのはずだけど」

  まあ、俺もユウキと協力しているのだが。

「三人で乱獲した方が花つきの出現率が上がるから。別のパーティーは組まなくてもいいよ。胚珠も先に君達に譲るし、ブーストかかったまま付き合ってもらえれば」

「じゃあ、それで」

「本当かい⁉︎良かった。僕は《コペル》。宜しく」

「俺は《キリト》だ。宜しくな」

「ボクは《ユウキ》。宜しくね」

 

 

  そうして数十分たったのち、花つきが出現した。

「僕が実つきを抑える。二人は花つきを」

「……わかった」

「……わかった」

  俺とユウキは同じタイミングで言った。

  ユウキが花つきまで走っていく。俺も追いかける。

  花つきがユウキめがけて攻撃するが、ユウキは簡単にパリィする。そのまま反撃をくらわしたのち、叫ぶ。

「キリト、スイッチ!」

「おう!」

  俺は奴に《ホリゾンタル》をくらわす。

  胚珠が俺の足許まで転がってくる。ストレージに入れる暇などないので、ベルトのポーチに入れる。

「悪い!遅くなっ………」

  俺はコペルを見て絶句する。

  俺はユウキにネペントには垂直斬りはするなと言った。もしそうしたら実が破裂し、その匂いに他のネペント達が寄ってくるからだ。ベータの時にそうなった奴は必ず死んだ。

  そしてコペルが実つきに単発垂直斬り《バーチカル》のモーションをとっている。

「ごめん、キリト、ユウキ」

「いや、だめだろそれ」

  コペルはネペントに向き直り、ソードスキルを発動させた。

  実つきはあっけなくやられたが、破裂した実から煙が出ていて、煙はここまで臭う。

  コペルはデスゲームを受け入れられず、俺達を巻き込んで死のうとしているのだろうか。

  しかしコペルは走り始めた。まだ、生きることを諦めていない。俺は《索敵》スキルを発動する。だが、コペルのカーソルはない、恐らく彼は二つ目のスキルスロットに《隠蔽》スキルを取得していたのだろう。

  つまりコペルはこの世界で初めての《MPK(モンスター・プレイヤー・キル)》だ。

  コペルはデスゲームという現実を受け入れたのだ。

  怒りはなかった。この作戦に穴があるからだ。それはリトルネペントのような視覚以外の感覚を持つMobに《隠蔽》は効果が薄いからだ。コペルは《隠蔽》スキルを取得するのは初めてなんだろう。

  においに寄ってきたネペントのうち半分は後方のコペルの方に行った。前方をなんとかすれば生還できる。せめてユウキだけは。

  俺はポーチから胚珠を取り出し、ユウキに投げる。

「俺がタゲを取る。ユウキは村に戻れ」

「嫌だ!ボクも戦う!」

「ユウキ……君には死んでほしくないんだ」

「ボクだってキリトに死んでほしくない!」

「死なない!絶対に戻るから……待っててくれ」

  少しの間。

「うん……わかった」

  俺の気持ちが届いたのか、ユウキは村に戻ることを決めたようだ。

  俺がネペントをおびき寄せ、ユウキが走る。この森はリトルネペント以外なら《隠蔽》は通用するので安全に村に帰れるだろう。

  そして俺は前方の敵に剣を振るう。ツルや腐食液をかわしながら一体ずつ確実に倒す。

  後方からプレイヤーの死亡エフェクトがした。コペルが命尽きたのだろう。

「おつかれ」

  俺はネトゲでログアウトした者に対する定番の挨拶をした。

  俺は今死にたくないと思っている。それが一番の原動力だ。

  だが、もう一つ俺を動かすものがある。

  これだ。これがSAOだ。武器と体はただのアイテムやオブジェクトではない。それらと意識が一体化して、行ける境地がある。

  コペルが戦っていたネペントに花つきがいた。もう少しで胚珠をゲットできたのに。

  俺はコペルが戦っていた奴らに斬りかかる。

  どうやったか忘れたがなんとか全て倒した。

  だが俺はそこで倒れてしまった。

  気絶ならすぐ目が覚めるのだが、そのまま寝てしまう。

  これじゃあ敵を全滅したのに意味ないな。などと思う。

  ごめん、ユウキ。




会話が少なかったですね。では次回予告をどうぞ。


圏外で倒れてしまったキリト。その運命はいかに。
次回 5話「再会」

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