ソードアート・オンライン 黒と紫の剣舞   作:grasshopper

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いよいよキリトとユウキです!


2話 出会いとレクチャー

キリトside

 

「帰ってきた、この世界に」

  俺は《始まりの街》の広場にログインし、思わず呟いた。

  辺りを見渡す。

「ユージオはいないか」

  どうせキャラメイクに時間がかかっているのだろう。俺は待たずに先に武器屋に行くことにし、走り始めた。

「おい、そこの兄ちゃん!その迷いのねぇ走りっぷり、元テスターだろ。恥ずかしながらオレ、フルダイブは始めてなんだよ。ちょいとレクチャーしてくれよ」

  悪趣味なバンダナを巻いたロン毛イケメンが言ってきた。

「ああいいぜ。俺はキリト、よろしくな。あんたは?」

「ああ、オレの名前はーー」

「なになにレクチャーしてくれるの?」

  俺の後ろから声がした。

  女の子だ。それも美少女。

  紫色の髪が腰辺りまであり、どっかのロン毛同様にバンダナを巻いているが、こちらの方がとても似合っている。

  ロン毛の奴は名前を言うのを中断させられたのにニヤニヤしている。

  しかし、この世界ではどうせ男が作った美少女アバターだろうから、俺は男子に接するように言う。

「ああ、そうだぜ。なんならお前もレクチャーしてやろうか?」

「えっ!いいの!」

「別に一人から二人になったところで大して変わらないさ」

「じゃあお願いしようかな。ボクはユウキ!よろしくねキリト。……と誰ですか?」

「まあ、ユウキが中断させたんだけどな」

「えっ!そうだったの!」

  そう言ってユウキはロン毛の前にいった。

「お兄さんの名前は?」

  ユウキが言うとロン毛は名乗り始めた。

「じ、じじ自分は、くくくクラインと申します!独身で、グハッ!」

  クラインとやらがアホな自己紹介をしたのですかさず腹を殴って止める。

「な、何すんだよ、キリト」

「すまんすまん。少し強すぎた。……じゃあ武器屋行く?」

  こうしてパーティーを組んだ。

 

 

  草原フィールド。

  そこで俺達は狩りをしていた。

  ユウキはすぐにコツを掴んだ。ユウキの奴、感覚派だな。

  一方クラインは、他のゲームでスライム相当のモンスターに苦戦していた。

「はははっ、そうじゃないよクライン。初動でスキルが立ち上がるのを感じたら、あとは、こう、ズパーン!て打ち込む感じで…」

  我ながら説明が下手だなと思った。

  ようやくクラインが片手用曲刀基本技《リーバー》を発動させ《フレンジーボア》を倒した。

「初勝利おめでとう」

「ああ。……しっかしここがゲームの中なんて未だに信じられねぇよ。オレこの時代に生きてて良かった!」

「大げさな奴だな」

「キリトもホントは同じでしょ」

  いつの間にか俺の隣にきていたユウキが言った。心の中を読まれたみたいだったが正直に言う。

「まあな。……それよりまだ狩り続けるか?」

「もちろん!」

「あったりめぇよ!と言いたいところだが、五時半にピザの宅配が来るんだよ」

「準備万端だな」

「準備万端だね」

  俺とユウキが同時に言った。

「つうわけでログアウトするんだが、フレンド交換しようぜ」

「ああ」

  そうして俺達はフレンド登録をした。

「それにしてもユウキちゃんの上達ぶりはすげーな」

「キリトの教え方がいいんだよ」

「いいや、才能の差だと思うぞ」

「あっ!ひでぇ!」

「それにあいつの方が教えるのはよっぽど上手い……」

  そうして俺はユージオのことを思い出した。

「あっ‼︎」

  二人は驚いた。

「どっ、どうしたのキリト」

「いや、大したことじゃないんだけどさ、ベータの時にコンビを組んでいた奴の時ことをすっかり忘れてて」

「おいおい、それって大丈夫なのか?」

「ああ、一様リアルでも知り合いだし。ていうか俺が誘ったようなもんだし」

「二人揃ってベータテストを受けれたってすごいね」

「まあな」

「それで、そいつはキリトの彼女なんか?」

「ちげーよ。そいつは男子だよ」

「なーんだ。つまんねーの」

  俺に彼女がいたらクラインの質問攻めがめんどくさいんだろうな」

「じゃ、オレはここらで落ちるぜ。……そうだ、後で一緒に徹夜で並んでゲームを買った奴らと会う約束してんだよ。紹介すっからあいつらともフレンド登録しねぇか?」

「ボクは遠慮しておくよ」

  俺も正直遠慮したかった。

  紹介された人達と気まずくなって、そのせいでクラインとも気まずくなるのは嫌だ。

「いやいや!無理にとは言わねぇよ」

「……悪いな」

「おいおい謝るなよ!それに礼を言うのはこっちだぜ。お前のおかげで助かったぜ」

「ああ、困ったことがあったら連絡してくれ」

「おう!頼りにしてるぜ。じゃあな!」

  そうして俺達は握手をした。

「じゃあ続けるか、ユウキ」

「うん!」

  俺達は再び狩りを続けようとした。その矢先に、ログアウトしたはずのクラインに呼ばれた。

  俺とユウキは同時に振り返る。

「どうしたんだ?」

「ログアウトボタンがねえよ」

 

 

  俺にとってソードアート・オンラインが《ゲーム》であったのはこの瞬間までだった。




ユージオの出番がありませんでした。ユージオ好きの皆さん申し訳ございません。次も出番ないかもです。
そして、次はいよいよデスゲームです。

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