ルイズと動く図書館   作:アウトウォーズ

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お待たせ致しました。
3回書き直して、こうなりました。
久しぶりに真面目に話を書こうとして、物凄く苦戦してしまいました。
どうぞよろしくお願いします。


第21話 規制緩和

 

 

ルイズとデルフリンガーは、珍しく意気投合していた。

あの、お空で偉そうに舞っている竜騎士は、一体何様のつもりなのかと。せっかくこちらがヤル気を出してみれば、この掻っさらい具合。これだからブルジョワはムカつくゼ、と言わんばかりである。

 

タバサが地上に降り立つなり、ルイズは狂犬の様に吠え立てた。100%言い掛かりなので、あながち間違った表現でもあるまい。

 

「アンタはね〜〜、いっつもいっつもい〜〜〜っつも!美味しとこぜ〜〜〜んぶ取ってちゃうじゃない!私に何か恨みでもあるの?一体なんなのよ?!」

 

「アンタこそ何よ、助けて貰っておいてその言い草は。この、お漏らし娘。」

 

キュルケが物凄い正論を唱えて来るので、ルイズはううと唸った。こうまでスパッと核心を突かれてしまうと、立つ瀬がないのだ。八つ当たりをしている自覚がある以上、仕方がない。

 

「諦めんなピンク!誰もが口を閉ざしても、敢えて声を大にしなきゃならん局面があるんだよ!今が正にその瞬間だ!臆病で無口な衆愚に成り下がんな!」

 

デルフリンガーが勇ましくも虚しい言葉を吐くが、それは誰にも聞き届けられなかった。

タバサ以外には。

 

「何奴。」

 

彼女は鋭い目つきで、空中に浮かぶ怪しい剣を射抜いた。そしてこんな風に誰何されてメンチまで切られて黙っている程、デルフリンガーは殊勝な剣ではない。

 

「おうおう、チビ助が随分な口き〜てくれるじゃねーか。それ以上舐めた口ききやがると、容赦しねーぞっ……」

 

「…………面妖な。」

 

この後はもう、予想通りの展開となった。挑発に乗ったタバサがデルフリンガーを幽霊だと勘違いしたまま、全力で除霊しにかかったのである。

もちろん彼女は陰陽師ではないので、攻撃魔法を撃ちまくった。これでもかと言わんばかりに、四方八方にウインディ・アイシクルを連射したのである。さしもの彼女も脅威の生命力を持つ物の怪を目の前にしては、錯乱気味であった。

 

キュルケはファイヤーウォールを使って、パチュリーはジェリーフィッシュプリンセスを使ってそれぞれ防御し、高みの見物を決め込んだ。これに対して貧乏くじを引くことになったのは、ルイズである。

 

あわてんぼうの彼女は、デルフリンガーが魔法を吸収できるという事を綺麗さっぱり忘れていた。魔力で操ってヒョイヒョイと逃がしてあげたら、亡霊に肩入れしたとタバサに断じられて連射の的にされ……何とか収まりがついた時、デルフリンガーだけが己の成し遂げた偉業を声高に叫んでいた。

 

「うおぉぉい!今のオレ見た?!凄かっただろ?!………ま、マジで輝いてたぜ……」

 

彼はドサクサに紛れて超振動ブレードと化して、正面衝突しそうなウィンディ・アイシクルの一発をスッパリやっていた。だが………ルイズには、その事に気づく余裕は無かった。デルフリンガーを操りながら自分に迫る氷矢を偏向するという高度な作業に追われていたのだ。集中の鬼と化し、雑念の入り込む余地なぞ微塵もなかった。

 

キュルケはアタフタするルイズを見てケラケラ笑っていたし、唯一気がついていたパチュリーは大騒ぎする様な可愛い性格をしていない。速射砲と化していたタバサに至っては、魔力切れで意識朦朧としている。対空砲火さながらに弾幕を展開した後では、余裕がないのである。

 

「は、はぁっ??!!何なんだよ、お前らのそのうっす〜〜い反応は?!言っとくけど今一番すごい事したの、オレ様だかんな?!桃髪の並列処理よりも、青髪の速射魔法よりも、赤髪と紫髪の防御魔法よりも、よっぽどスゲー事やったんだぞ?!それなのに賛辞はおろか労いの言葉一つね〜って、一体どういうこったよ?! 」

 

「………青髪ではない……」

 

このときデルフリンガーのボヤキを止めたのは、息も絶え絶えなタバサであった。

彼女はそれだけは受け入れまいとするかの様に、ギラリとした目つきでデルフリンガーを見据えた。

 

「私の髪色は、スカイブルー。」

 

「いや、そんなカッコつけて空色とか言っても、青色である事に変わりは……」

 

「貴方が望むなら、蒼天(スカイブルー)のタバサで構わない。」

 

デルフリンガーはこのとき異様なプレッシャーに晒されて、ウウとたじろいだ。普通こういうセリフはさり気なく言い捨てる筈なのだが………今のタバサからはそう呼ばないとブッ殺すぞと言わんばかりの、強烈な迫力が感じられた。そのくらい何か凄まじい圧力が、身長150サントに満たない身体から迸っている。

 

「いや、スカイネットだかスカイホークだか知らんけど、強制しないで欲し」

 

スカイブルー・タバサ!

 

「………はい、さーせん……」

 

デルフリンガーはついに押され負けた。これ以上余計な口を挟むと、鍔口を溶接されて、二度と喋れなくなりそうだったから。

 

 

 

 

「はい、次!次の議題!一息ついてる暇はないわよ!盗まれた物を取り返しましょう!先生、よろしくお願いします!」

 

ルイズは、何となく入り込みづらくなってしまった空気を甲高い声で一掃した。

 

パチュリーにお願いして、フーケに盗まれたものを召喚して貰おうとしたのである。これに応じた七曜の魔女は、いつもの気だるげな調子で呪文を唱えた。万事が丸く収まる流れである。

問題は、そこからだった。

何と、不発に終わったのだ。いや正確には、召喚ゲートだけ出来上がって、何も出てくる気配がない。

 

ルイズは首をかしげた。

 

パチュリーが勝手に改造したサモン・サーヴァントは、ファジー検索可能な優れものである。この場合はフーケに盗まれたものを云々、としていたが………

 

「どういう事?検索の条件が間違っていたのかしら。」

 

「盗まれたものが生物であったり情報であれば、こうなるわ。」

 

パチュリーの回答を耳にしたルイズは、頭を抱えたくなった。

おいおい、生物が盗まれたってそりゃ、拉致事件ではないか。まさかこの場に居ない生徒の誰かが誘拐されたとか、そういう話ではあるまいな。………いやしかし、フーケは殺人もする超凶悪犯らしいが、不思議と人身売買に手を染めたとは聞かない。ウームと唸ったルイズに対して、キュルケはポンと手を叩いた。

 

「情報っていうと、知的財産とか?それならあり得そうな話よね。」

 

「あり得そうって何よ、心当たりあるの?」

 

ジト目になったルイズに対して、キュルケは胸を張って答えた。

 

「この学院の宝物庫にあるのって、いわゆる禁書の類でしょ?原本は書棚に戻して写本を作って売り捌けば、ノーリスクでお金儲け出来るのよ。闇市に流せば、教師の目に留まることもないし。速記術自体は平民でも出来るから、フーケならば身に着けていてもおかしくなわよね。」

 

「何でそんな具体的なのよ、アンタ何考えてんの?!」

 

「ビジネスかしら?知的財産の簒奪は露見しても、現行法では罪に問われないのよ。ゲルマニアでもようやく議論が持たれるようになったくらい、新しい分野だから。トリステインに至っては言わずもがなでしょ。」

 

これを聞いたルイズは、キィと唸り声を上げてキュルケを懲らしめようとして……非常に嫌な光景を目にしてしまった。

パチュリーが、魔法陣を展開しているのである。キュルケが禁書云々と口にしたそばから、コレである。ルイズは頭痛に襲われた。

 

「貴女はさり気なく、一体何をしようとしているワケ?」

 

「召喚をやり直すのよ。」

 

「話聞いてなかったの?そもそも、何も盗まれていない可能性が……」

 

「オッカム・レイザーね。」

 

「はい?」

 

「私たちは、変に深読みしてしまったという事よ。さっきの現象はもっと単純に、私の召喚魔法がブロックされたと解釈するのが普通なんじゃない?」

 

「……いや、全然普通だと思えないんだけど。貴女自分がどれだけ稀有な話をしているか、自覚はあるの?その理屈だとフーケが、貴女より優れたメイジだという事になってしまうんだけど。」

 

「面目ないけれど、認めざるを得ない事よ。」

 

ルイズは呆れ返って、ものすご~く大袈裟にため息をついた。

な〜にが面目ない、だ。もしも本当に魔法の腕で上を行かれたら、そんな風に泰然としてはいられまい。パチュリーがメンタル弱いのを、ルイズは知っているのである。ミセス・シュブルーズのトンチに負けたくらいで気絶したのだ、魔法に関して全面敗北したと自覚した暁には、発狂するだろう。

 

今この瞬間に喋っていることの全てがデタラメと見て、間違いなしである。もはやパチュリーの眠たげな目が、胡散臭い詐欺師のものに見えて仕方がなかった。

 

「悪いけど今の話、全っ然説得力ないからね。宝物庫の書物を読んでみたいからってテッキトーなこと言い始めたのが、丸わかりだから!嘘をつくなら、もっとマシなつき方をしなさいよ。だいたい貴女がオリジナルにカスタマイズした召喚魔法を、フーケは一体どうやって防いだというつもりなの?」

 

「基礎となる術式は、ミセス・シュヴルーズの著作とそうそう変わらないわ。そこからの派生を全パターン想定した上で、対召喚フィールドを構築すれば、充分に抗し得る。ここまで単純な可能性にすぐさま思い至れないとは、私も耄碌したものよ。」

 

ルイズは思わず破顔し、パチパチと拍手していた。アカデミーの研究動向を調べた事があるルイズにも意味不明な単語を、物凄く当たり前な事の様に愚痴るとは、流石なものである。

 

「エレオノール姉様に素敵なお土産話を、どうもありがとう。そうした結界だかバリアーだかの概念を伝えてあげれば、恐らく偉大な功績を残す事になるでしょう。何しろ王立魔法研究所にはこれまで、そういった発想すらなかったんだから!一介の盗賊風情が一体どうやって、そんな大逸れたものを作ろうというアイディアを抱くのよ?!フーケってのは、どれだけ研究熱心なワケ?!盗賊なんかやめて、今すぐアカデミーに就職しなさいよ!推薦状書きましょうか?!」

 

「国立の研究機関だけが技術革新を齎す時代に、終止符が打たれたという事よ。これはそういう歴史の転換点とも言うべき事態と解釈すべきね。貴女も魔法使いの端くれならば、既得権益に囚われず大局を見据えなさい。」

 

ルイズはプルプルと肩を震わせて、一刻も早くこのバカバカしい議論に終止符を打とうとした。

 

「何を偉そうに講釈垂れてんのよ………貴女の話は全部、フーケが盗んだっていう仮定に基づいているじゃない!一体どこにそんな証拠があるのよ?!」

 

「盗んでいないと証明できない以上、その可能性は永久に不滅だわ。」

 

「盗んだと仮定すると、召喚できなかった事実と矛盾するじゃない、証明終わり!」

 

「背理法でしか明かし得ない命題は、真とは言えないわ。詳しくはブルバキを読みなさい。」

 

「そういう物言いは、頭にくるからやめなさいよ!……あ、コラ!まだ話は終わってないのよ?!」

 

パチュリーは一方的に会話を打ち切ると、とうとうサモン・サーヴァントの詠唱を始めてしまった。

ルイズは真っ青になった。

鬼に金棒、母様に風魔法、パチュリーに禁書、これらは全て収拾不可能な事態を表している。たとえ世界にとっては小さな出来事でも、全ルイズとっては大きな第一歩なのである………破滅へと向かう、踏み出したくもないやつだ。

 

最早、実力行使もやむを得まい。ルイズは覚悟を決めると、 左手をグッと握り込んだ。

 

「いつまでも私を、ゼロのままだとは思わない事ね……」

 

「ムキュ?」

 

このときパチュリーは詠唱の途中でそれを中断させられて、おやという目つきをした。その結果ルイズは、思わずニヤリとなった。

フハハハハハハ!やった!とうとうこの魔女に、吠え面かかせてやったぞ!

先の動作と共にルイズは念力で、パチュリー・ノーレッジの身体の一部を抑え付けていたのである。それは、七曜の魔女の薄い唇であった。当たり前の話だが人体は、こうされてしまうと発声出来ない。

 

「勿体ねぇなぁ!喉元締め上げていれば、チョーク・スラムなのに………」

 

デルフリンガーが本気で惜しむ程にこの発展型は、メイジや魔法使いにとって致命的だった。詠唱を封じられて魔法は使えない、これは常識である。如何に無言で魔法を使役できるパチュリー・ノーレッジと言えども、こと召喚魔法に限っては毎回呪文を唱えている以上、そこまでの域に達していないと見ていいだろう。

 

だが。

 

『勘違いしているみたいだけど、私が詠唱しているのは個人的な趣味よ。』

 

例の片方向通信でそう語りかけられて、ルイズは叫び声を上げた。

 

「し、しまっ………!」

 

この時パチュリーは、召喚魔法を無言で完成させたのである。ルイズの推測は、根本的に間違っていた。

事態はいよいよ、帰還可能地点を通り過ぎてしまった。

 

正しく魔導書然とした禍々しい書物が、召喚ゲートから現れてしまったのである。

『グリモワール・オブ・アリス』と題されたこれこそが、フーケが内容を書き写して何処かへと運び去ろうとしているものの原本と見て間違いない。それくらいこの書物には、著作者の人並外れた才気と研鑽が感じられた。

 

ルイズは咄嗟に杖を使って爆破処理しようとして、何処かに落としてしまったことを思い出した。ちなみにこの書物は学院が厳重に保管していた財産であるという認識は、頭から完全に抜け落ちている。とにかくパチュリーがこれに目を通す前に破壊しないと、とんでもない事になるという強迫観念に駆られていた。こうなったらもう、手段は選んでいられまい。

 

「キュルケ!」

 

「何よ、珍しくアンタから声掛けて来たわね。」

 

「お願いだからこの本焼いて、今すぐ!紙キレ一片に至るまで全て、焼き尽くして!」

 

「何よ~その普通な頼み方は~~。私に頼むなら楽曲に合わせてツェルプストー家の歴史と荘厳さを唱い上げてから………」

 

「は、話になんないわね……タバサ!何でもいいからこの本読めなくして!アンタもこれが読まれたらとんでもない事になるくらい、わかるでしょう?!」

 

これに対してタバサは、首を横に振った。

 

「手遅れ。」

 

泡を喰ったルイズとは異なり、シュバリエ・ド・ノールパルテルは非常に冷静だった。

彼女はパチュリーがとっくの昔に何がしかの魔術をこれらに施したであろう事を、予測していたのである。時既に遅しであると、直感していた。

 

何よりも今、より深刻な問題に真正面から向き合っている最中だったのである。

 

先ほどデルフリンガーがチョーク・スラムという技名を口にした瞬間に、ビビッと来たのだ。そういえば未だ自分には必殺技的なものがなく、編み出せた時にタイミング良くセンスフルな命名が出来る保証もない。これは………危機的状況である。今のうちから検討を重ねておかないと、後々大問題になるだろう。

今やタバサは自分が、スクエアの領域に到達しつつあると明確に実感していた。ならばその必殺技に至っては、その名前を聞いただけで敵が身動きを封じられ、呼吸を止めてしまう様な……スーパーミラクルハイパーゴッドアルティメットインビンシブルドレッドノートなものでなくてはならぬ。

………これは、一朝一夕に片付く問題ではない。しっかりと腰を据えて、長期戦を覚悟する必要がる。タバサはこうした決意を、心に刻み込んでいる最中だったのである。他の事なんてどうでも良かった。

 

黙りこくってしまったタバサを見てルイズは、もはや完全に手詰まりだと気が付いた。挙句にトドメとばかりの宣言が、パチュリーの口から発せられてしまった。

 

「言っておくけど、少々の魔法ではこの子はビクともしないわよ。耐火、耐水、耐衝撃、耐腐敗、耐召喚、防爆の性能を付与したから。」

 

ルイズは歯軋りした。

 

「いいい一体何なのよ、その意味わかんない鉄壁さは?!大魔王に最終決戦でも挑もうっての?!」

 

「耐召喚と防爆を除けば、私が運営していたヴワル図書館での初歩的な保管措置よ。私のものとなった以上、たとえ全世界が敵に回って攻撃して来ようとも、擦り傷ひとつ負わせないわ。」

 

くそっ、何だかちょっとカッコいい。

ルイズは女の子として一度は言われてみたいかもしれないセリフをパチュリーが言い切ったことに、感動してしまった。しかしドサクサに紛れて所有権が明後日に行ってしまったことを、聞き逃す筈もなかった。

 

「何が私のもの、よ!それはこの学院のものでしょうが!」

 

「フーケに盗まれたものを私が取り返したのだから、所有権は私にある筈よ。」

 

「その理屈はオカシイでしょう?!何で、取り返した人のものになっちゃうのよ?!ちゃんと持ち主に返さなきゃ、ダメに決まってるじゃない!百歩譲ってフーケが盗んでたとして、二重に盗んでどうするの?!」

 

「易々と書物を奪われる様な防衛体制しか構築出来ていない施設に、図書館と名乗る資格はないわ。ヴワルは私が去った後も、全自動で外敵を排除し続けているわよ。近寄るものは全て敵だと認識しなければ、大切なものは守れない。」

 

「だっから貴女は一体、どこの国境線沿いにある国防最前線な要塞の話をしているのよ?!図書館ってのは、作戦コードか何かなの?!」

 

「貴女が不意打ちなんてことをするから、それに学んだのだけれど。」

 

「ここでその話を蒸し返さないでよ?!」

 

ルイズは余りのことにウガーと唸って、本当にこれからどうしようかと悩んだ。

マズイ、非常にマズイ。

破壊不能になってしまった以上、パチュリーがこれを読むのを止めようとするだけ時間の無駄だろう。ならばせめて学院に返却して貰わないと、単純に窃盗した事実だけが残ってしまう。

 

「いいいいいいずれにせよ、ちゃんと返さなきゃダメなのよ!図書館ってそもそも、公共の施設なんでしょう?!誰かが借りたまま自分の物にしちゃったら、他の人が読めなくなっちゃうじゃない!」

 

そうこうしているうちにも、パチュリーはその魔道書のページを捲り始めていた。すわこれから読書タイムか、いい度胸だ、完全にナメ腐ってくれちゃってぇ……とルイズがボルテージを上げかけた瞬間に、パチュリーはパラパラと全頁をブラウジングした。

 

「まあ、そんなに焦ること無いわよ。返すわ。」

 

「もう読み終わったの?!」

 

「そこは妥協して、覚えることだけに集中したのよ。」

 

「……画像として記憶したのね。」

 

ルイズは呆れ返って、とりあえずはパチュリーが決定的な泥棒にならなくて済んだ事にホッと胸を撫でおろした。これでまあ何とか、ちょっとお茶目な借用に収まるのではないか。反省文の内容は今のうちから、考えておくことにしよう。

……しかしそれにしては、パチュリーが妙にホクホクした雰囲気であるのが気になった。

いやこれはどちらかというと、ワクワクに該当するのではないか?

 

「ところでこの本は、一体どういう内容なのよ。」

 

ルイズは肝心の本の内容が気になって、目次と後書きに目を通した。そしてあまりの事にウゲーッと、子女にあるまじき悲鳴を上げてしまった。

 

第一部:断食の章

第二部:不眠の章

第三部:不老の章

第四部:召喚の章

 

後書き:

 

『巨人ゴリアテを召喚する試みは、失敗に終わった。やはり死者は召喚できないのか、それとも旧約聖書が創作なのか。疑問は尽きぬが私は、諦めない。必ずや自律人形として生を与え、彼の者が自由に闊歩する都会を築き上げてみせよう。』

 

何だこれは?!意味不明な癖にスケールの大きさだけが伝わって来る後書きからは、パチュリー的思考法がビシビシ伝わって来る。彼女の創作物ではないのか?!

 

「ちちちちちょっとこれは一体、どういう事よ?!まさか、咄嗟に入れ替えでもしたの?!この期に及んで変な小細工するの、やめなさいよ!」

 

「ハイスクールの学生みたいな斜め読みで、ものを言わないで頂戴。これはアリスという非・魔法族の女の子が、種族魔法使いになるまでの過程を記した日記よ。」

 

ルイズはそれを聞いた瞬間に貧血を起こして、ヘナヘナと座り込んでしまった。

何てこった、捨食と捨虫はメイジの様な魔法族が更なる上を目指す為に成す、そういう術だと思っていた。しかしこのアリスという女の子は、ハルケギニアの平民と同じ位置からスタートして……これ程の頂きに自力で到ったというのか?間違いなく、超異才である。自分が恥ずかしくなる。

 

……いや、問題はそこではない。

内容次第によってはこれ、非メイジが種族魔法使い化するためのマニュアルとして機能してしまうのではないか?

ルイズがパチュリーの言葉を聞いて真っ先に危惧したのは、正しくこの点なのである。

彼女は貝の様に黙りこくって、座り込んだ膝の上でその古文書………『アリスの魔導書』の頁をめくって行った。その真後ろからキュルケとタバサがどれどれと覗き込んで来たが、何も言う気になれない。

 

「アンタ何でそんな、真っ青な顔してるの?こんなのどう見ても、出鱈目な御伽噺でしょうが。餓死して終わりでしょ。」

 

「この人は、努力の方向性を間違っている。」

 

修行なんて死んでもやりそうにないキュルケと、『寝たままハシバミ草を食べ隊』の斬り込み

隊長タバサが気を利かせて声をかけてくれたが、申し訳ないことにルイズには気休めにもならなかった。メイジならばこうした反応をするだろうと、判っていたからだ。

 

敢えてこんな苦行を積まなくても魔法が使えるのだから、魅力に乏しくて当たり前だ。

けれどもこの世界の平民にとっては、どうだろうか?この本を読んで、同じように笑って済ませてくれるだろうか。

………それでは収まらない気がするのだ。

 

「パチュリー………盗まれたものとは言わず、フーケ本人をこの場に召喚してよ。」

 

「敵意ある者を召喚しないよう、この術は強制力を持たないわ。フーケという者が見ず知らずの私に召喚をかけられて、それに応じてくれると思うの?」

 

「何よ此の期に及んで、白々しい!貴女の作る召喚ゲートはいっつも、地面と平行に上向いて出現してるじゃない。これまで散々落とし穴的に運用しておいて、今更その理屈が通る訳ないでしょう?」

 

この時パチュリーは、肩を竦めるかわりにフウとため息を吐いた。

 

「やりたくないわ。」

 

「何でそんな意地悪言うのよ!」

 

「手間だから。」

 

「あ、貴女ねぇ………」

 

ルイズはこの事態がどういう可能性を示唆しているかを語り出そうとして、余りにも荒唐無稽な話になってしまう事に気がついた。

 

もしもデルフリンガーの言う通りにフーケが、孤児院に顔が広くて。

御伽噺がわりにこの写本を読んだ孤児が、飢餓対策として捨食の術を試みたら。

トリスタニアの貧民街には、それなりの数の魔法使いモドキが出現する事にはなるまいか?

ましてやこうした現象を耳にした他の地方の平民たちにも、写本が齎されたらどうなるのか。

 

仮定を重ねすぎており論ずるに値しない、普通ならその様に結論するのだろう。しかし本当にそうやって、一笑に付してしまって良いのか?これは正しく、僅かな可能性でも消し去るべく行動すべき局面ではないのか。ましてや面倒臭い、で放置するなど……

ルイズがここまで考えた時にパチュリーは、ついでとばかりにとんでもない事を口にし始めた。その内容にギョッとしたルイズは思わず、叫び出しそうになってしまう。

 

「手間だというのは、正確な表現ではないわね。書物を広めようとしてもその伝手がない私には、再現不能な話だから。それを頼みもせずにやってくれるのだから、フーケには感謝しているわ。」

 

「な、何をトチ狂ってんのよ。」

 

「それはあんまりな言い方じゃない?この世界の全生命が種族魔法使い化したら、完璧な魔法文明を築く事が可能なのだから。魔法使い化する為の修行を貴女に積んで貰っているのは、一番強力なメイジからトップダウンでそれを推し進めて貰う為よ。フーケはこれをボトムアップに進めてくれるみたいだから、私達の行動は補完し合っているわ。お互い何を考えているかは、別として。」

 

おい、ちょっと待て、一体何の話だ?!

ルイズは突如と切り出された内容に、パチュリーの顔を穴が開くほど見つめてしまった。

 

今のセリフは、ともすればこの世界の支配者として君臨したがっている大馬鹿者の弁だが、そういう内容でない事は理解していた。実際にルイズへ、そんな尖兵じみた行動を強制して来たことは一度もない。そんな事に現を抜かすほど、パチュリー・ノーレッジは世間擦れしていまい。

 

彼女としてはあくまで、そういう可能性の種を蒔くことに終始する筈だ。何故なら学者肌すぎて、自説の社会実験を試みようにもノウハウが無さ過ぎるから。

その様なパチュリーがフーケを放置するという事はつまり、先ほどのセリフの後半部分に、それなりの確度を見込んでいるという事になる。

 

「ボトムアップって貴女一体、それはどのくらいの可能性があると思っているの?まさかこの世界の全員に素質があるとか、言い出さないわよね。」

 

「その通りだけど。」

 

「どうしてよ、無茶苦茶でしょそんなの。」

 

「何故ならこちらの世界では、魔法という概念が固定観念のレベルにまで定着しているから。魔道を歩み始めんとする者にとってこれがどれ程のアドバンテージとなるか、私が元居た世界を知らぬ貴女には、想像もつかないでしょうね。この世界の住民は等しく、充分な可能性を秘めている様に思えるわ。このハルケギニアがこれからどう変わっていくか、今から楽しみよね。」

 

まさかパチュリー自ら、魔法の自由化に関してお墨付きを与えてくれるとは。正直、やめて欲しかった。全然嬉しくない。

 

ルイズはもういっそのこと、今聞いたことを全て忘れてしまいたかった。

 

これまで貴族と平民が曲がりなりにも協力し合って来れたのは、前者が魔法を使って高付加価値な活動を担い、後者がその銃後を支えるという分業体制が築かれていたからだ。言わば魔法が障壁となって、社会の安定性を保ってくれていたのに。それがいきなり吹き飛んだらどうなるか。

ルイズはせめてもの安心材料を求めて、否定的な理屈を探し始めた。とりあえずそうしない事には、心の平穏が保てなくなりそうだった。

 

「でもでも、そうはならないわよね?ある時点を境にいきなり魔法使いが大量発生したらアウトだけど、それは流石に現実的ではないもの。漸次的に増えていく過程で旧勢力……つまりは系統メイジに一掃されてしまう筈でしょう?その……貴女の世界であった魔女狩りみたいに。」

 

パチュリーがこれに対して答えを返すまでに、一瞬の空白があった。

ルイズが違和感を覚えた時には解消されてしまったので、その事を蒸し返すことも出来なかった。

 

「……そうね、私もそう思うわ。新たに生まれて来る魔法使いの実力がどの程度になるか、全く未知だから。だからこそ貴女にはこの事態に関して、静観を貫いて欲しいのよ。これは言わば私の、ささやかな夢だから。せめて踏みつけるならば、そっとして頂戴。」

 

「無茶なこと言わないでよ……。魔法の使えなかった私がそれを使えるって知った時、どれほど嬉しくて高揚したか、貴女も見たでしょう?この熱狂が全平民に伝搬したら、歯止めが効かなくなるわ。ましてや身分闘争と結びついたら、世界規模での悪夢が始まる様なものよ。……フーケは、何としてでも止めなくっちゃ。」

 

ルイズはこのセリフの結びとは反対に、決然とした行動をとりかねていた。何故ならいつもと変わらずに自分を見つめてくるパチュリーの目つきが、途轍もなく心地悪く感じられたから。それは正しく、自分の放った言葉が既得権益に縋らんとする守旧派を代表しているという自覚の裏返しであった。その事が負い目となって、ルイズの心に重くのしか掛かっていた。

 

……そもそも今の話は全て、可能性でしかない。

客観的に見れば一人の家出少女の日記が、書き写されて運び出されただけ。キュルケの理屈に沿うならフーケのやった事は、不法侵入くらいだろう。余罪は色々ありそうだが、貴族とはいえ学生に過ぎぬ自分がそこまで追求するのは、流石に度を越している。ならばあくまで一貴族の私刑という形式で、フーケにこれからの行動をやめさせなければならない。果たして今の自分にそこまで、思い切った事が出来るのか。

 

現実的にも、今から追い掛けて取っ捕まえるのは、ルイズ単独ではかなり無理がある。パチュリーは絶対協力しないと宣言した様なものだし、キュルケは社会変革とか大好きだろう、タバサは………タバサ?!

 

ルイズはこのとき小柄なメイジの肩がプルプルと震えている事に気がつくと、コレはキタ!と目を輝かせた。さすがは大国ガリアからの留学生である、危機管理に対する心構えは、かくもたるや。これはこの上なく頼もしい味方になってくれそうである。

 

「タバサ、いくら反体制的な思考を持つ貴女でも、流石にアナーキストに傾倒している訳ではないわよね?ヴァリエール家三女として、フーケ捕縛に協力を求……って、ちょっと、どうしたのよ?」

 

ルイズはタバサの目を覗き込んで、完全にこことは違う場所を見ていることに気がついて、背筋が寒くなった。自分以上に小柄なこの少女は一体、何を考えているのか。

タバサはこの時ようやく現実世界に戻って来たようで、唇を震わせながらか細い声で呟いた。

 

「ぜ、全世界ナイトメア………」

 

「は?」

 

「…………こ、これは……」

 

「あ、アンタ大丈夫?一体何を……」

 

「貴女は今のを聞いて、どう思った?」

 

ルイズは完全に置いてけぼりを喰っていたが、貴重な協力者候補に対してなんとか話を合わせようとした。何しろタバサの血走った目つきが迫力あり過ぎて、今すぐこれに真面目に答えないと血を見ることになりそうだったから。

 

「お、恐ろしいわよね。見てよこれ、鳥肌立っちゃったわ。」

 

タバサはルイズが言葉の通りに恐怖に震えている事を確認すると、非常に重々しく、王者の貫禄すら醸し出すような鷹揚さでウムと頷いた。この瞬間に彼女の中で、未だ見果てぬ自身の必殺技……の名前が決まったのである。

全世界ナイトメア

何と甘美で、蠱惑的な響きだろうか。理性と伝統が心地よいソプラノとなって、攻撃性と暴力をオブラートに包んでいる。気高さと力強さが絶妙のバランスで保たれた、珠玉とも思える音階である。

コレだ、コレにしよう。

具体的なイメージは未だ得られぬが、名前負けせぬだけの究極技を必ずや産み出してみせよう。

 

ルイズは尋常ではない様子だったタバサがひと段落ついたのを見計らって、話を次へ進めようとした。

 

「それで今後についてなんだけど……」

 

「今の私では、力不足。方向性が見えたに過ぎない。周到に準備を重ねる必要がある。」

 

「そんなノンビリしてる場合じゃ……」

 

「拙速を尊び小手先の技術でどうにかなる程、軽々しい問題ではない。」

 

「うぅ……た、確かに現段階で、フーケには引っ掻き回されてばっかりだものね。今の状態では、返り討ちかしら……」

 

ルイズはタバサから何を言っているんだ?という目つきで見返され、その直後に深い感銘を受けた。

 

「貴女はもっと堂々として、自信を持つべき。全世界ナイトメアのキッカケは貴女の言葉にある事を、忘れるべきではない。」

 

指摘を受けたルイズは、自らを恥じた。

 

なる程、確かに。さすがは雪風と呼ばれるタバサである、目の付け所が違う。

彼女は慌てふためくルイズに対して、種族魔法使い化はルイズがメイジを中心として推し進める事も可能だと示唆してくれたのだ。平民が魔法使い化する可能性があると言っても、何も明日いきなりそうなる訳ではないのだ。それよりも今の自分にできる事に自信を持って、一歩一歩着実に歩みを進めて、やがて来る事態に備えることの方が重要だと教えてくれた。

 

結局のところは自分に出来ることは少なく、はじめからパチュリーの言葉の通りであると気づかされたのである。

 

「……そう、そうね。私は愚かにも、勇み足で駆け出してしまう所だったわ。」

 

「?………分かってくれれば、それでいい。」

 

「大きな借りが出来たわね。」

 

「!………私もウッカリしていた、それは牧場で手打ちにしたい。」

 

「……いや、流石に公爵家令嬢が外資に領地割譲する約束しちゃ、マズイわよ。」

 

「ムゥ……」

 

タバサは困った。コレでは巨大ゴーレム討伐に関する債権が、回収できない。一体どうしたら良いのか………

この時、流石に眠気と飽きに限界がきたのか、周囲をほっつき歩いていたキュルケが戻ってきた。

 

「ところでアンタ達、あのゴーレムどうするの?」

 

キュルケは未だに仁王立ちしているフーケfeaturingパチュリー製のデカブツ君を、指さしていた。

色々なことを経験し過ぎたルイズは最早、こんな事は瑣末な問題に思えてならなかった。

 

「フーケが置いてったんだから、もうすぐ崩れるでしょ。放置して帰りましょ、流石に疲れたわ。私はこの後部屋で、パチュリーとじっくり話合う事があるから。」

 

「アンタそこら辺、本当にザックリ割り切るわね。元はフーケのものでも、ミス・ノーレッジが手を加えたんだから彼女の同意を得なきゃダメに決まっているじゃない。使い魔の物は主人のもの、で済ませていいの?ゲストとして云々言ってなかったっけ。」

 

クッソ、何でキュルケがマトモなセリフを吐いているのだ?

ルイズは納得いかなかったがパチュリーに廃棄に関する了承を得ようとして、またもや口論になりかけた。

 

「ねぇ、パチュリー。このゴーレムに関してはとりあえず廃棄という事で……」

 

「固定化を掛けておいたから、貴女にあげるわ。」

 

「貴女いつの間に……って、何よそれは!こんなデッカいのがもうずっと、このままって事?!何てことしてるのよ?!いらないわよこんなの!!」

 

「ちょうどいい護衛になるでしょう?」

 

「大き過ぎるわよ!貴女と同じ、過ぎたるは云々ってやつ!」

 

何てこと言い出すんだ。本当にこちらとは見ている次元が違うというか……デルフリンガーを持ち歩くだけでも大変なのに、こんなデカブツ君を連れ歩いたら、テロリスト扱いされても何の文句も言えまい。

 

その時のことだった。

マントをクィクィと引っ張られたルイズは、何だ何だとそちらに顔を向けた。

タバサだった。

 

「欲しい。」

 

「へ?」

 

「アレ、欲しい。」

 

「だ、ダメよそんな……あんな物騒なモノ、易々と受け渡していい訳が……」

 

「ケチ。」

 

「け、ケチって何よアンタ!」

 

「いらないって言った。」

 

「それはそうだけど……あれで何する気なの?」

 

「乗る。」

 

「へ?」

 

「頭の天辺に、乗る。」

 

その光景を想像してしまったルイズは、最早どうでも良くなってきた。

 

「はあ……悪用しないなら、あげるわよ。大事に使ってね?」

 

「分かった。」

 

もう知らないぞとばかりに部屋へ戻ろうとしたルイズは、小さな抵抗を感じてその場に留まった。何なのよ、と見るとルイズの服を小さな手が掴んでいる。

タバサはもう片方の手で、ルイズがつけたと思しき傷跡を指差していた。

 

「壊れてる。」

 

「知らないわよ、そんな事。さっきまで命のやりとりしてたんだから、所々ぶっ壊れてて当然でしょうが。」

 

「壊した、私の。」

 

「私が壊した時は、フーケのものだったでしょうが?!時制がおかしいわよ!」

 

「直して。」

 

「私は錬金が使えないの!何よそれは、嫌味?!」

 

結局ルイズは、タバサがデカブツ君の修復を終えるまで彼女を空中に浮かばせて作業の補助をする羽目になった。

 

全てが終わった頃にはもう、東から太陽が昇ってきても良い時間になっていた。

長い一日がようやく終わろうとしているかにも思えたが……実はまだ始まったばかりであった。

 

 

 






グリモワール・オブ・アリスの内容に関しては、完全に創作です。
元々は無難に『ネクロノミコン』とか『エイボンの書』とか、由緒正しい魔導書を入れ込む予定でした。
しかしクトゥルフ神話の解説が長くなり過ぎて、ボツに。
その後は『第三身分とは何か』を入れ込もうとして、既に革命ものがあったのでボツに。
最終的にこうなりました。

パチュリーが種族魔法使いでハルケギニアを覆いつくしたいと思っている理由はもう少し細かく考えてあるのですが、それは後の話で描いていきます。

思えばタバサに「全世界ナイトメア」と言わせる為に、随分と遠回りをしてしまいました。
彼女はこの後で悪夢の塊みたいな吸血鬼と対決しますので、今のうちに可愛らしくノビノビとして貰いたいです。

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