そして残るはチーム戦…。StrikerSの最後の模擬戦ではスバル達フォワードとリミッター無しのなのは達が戦っていい勝負してたっぽいので、厳格なルールのある試合ならヴィヴィオ達にも勝ち目あるかも?
「ガアアアア!!」
「ちいっ……!」
悪霊が繰り出すのは単純な刺突連撃。傍目から見れば手数が少し多い事を除けば先ほどと変わらない、実に安直な攻撃だ。
先ほどの攻撃を回避できる者ならばまず当たる事はないだろう。では優本人から見てもそれは同じだろうか?
「アアアアアア!!」
「くっ…!」
答えは否。優の身体は頭部へのダメージと出血によって既に限界が近かったからだ。刺突は次第に優の肩・腕・頭部を掠めていき、やがて次々と身体の芯を捉え始めた。
「アアアアアア!!」
「ぐううっ…!!」
こうなってしまってはただの走るサンドバッグ。優は覚悟を決めて両腕で頭部を防御しながらひたすらに突き進んだ。
「!?」
嵐が去ったかのように刺突の雨が止み、困惑と同時に過る悪寒。両腕のガードを解いて身を翻そうとした瞬間……
「ガアッ!!」
「うわっ!」
優の目を通り過ぎ、胸を掠めて横切る黒い塊。その直後、背後数メートル先の地面が爆発したかのように飛び散り、冷や汗をかく。
(あ、危なかった…。でもこれで!)
何たる僥倖。攻守逆転、千載一遇のチャンスが訪れた。悪霊は地面に深く突き刺さってしまったため、地面から出るのに時間がかかりそうだ。
「ブオアアア!!」
悪霊が地面を抜けるまでに3秒。
「オラァ!!」
悪霊が空中に飛び出すまでに1秒。
「オオオオ!!」
悪霊が優を発見して触手で刺突を繰り出すまでに1秒。
「時間だ」
「!?」
いつの間にか悪霊にくっついていた金属球が、懐で耳を劈く音と共に衝撃波と鉄片を撒き散らす。飛び散るものがが家屋に穴を開け、コンクリートの壁を穿ち、アスファルトを抉り、送電線を断ち切る。
「やっと…お出ましだな…」
スライムが跡形もなく飛び散ると、青い宝石だけが怪しげな輝きを放ちながら宙に漂っていた。
「じゃあ…オレのスーパーサイコブローで…!」
だが青い宝石は即座にスライムを集め始める。
「ケリをつけてやる!!」
優はそれを睨みつつ両掌から光の靄を出し、両掌を合わせてから抱えるように開くと、光の靄が両掌を合わせた分の数倍に膨張する。
これが、装着者の精神波を増幅し、手の平に集めて撃ち出すA・Mスーツの機能の一つ「サイコブロー」…その強化版である。
「くらいやがれぇぇぇぇ!!!」
優は先ほどの跳躍に負けない程の勢いで飛び出し、両腕を振りかぶってそれを宝石に叩き付けた。
「ヴォオオオオオオオ!!」
悪霊のエネルギーとの反発力で優は浮き上がり、同時に宝石の中から悪霊の顔が飛び出して怖気の走る阿鼻叫喚の様相を呈する。
「オォォォォ……」
「………」
間もなく反発力に負けた優は弾き飛ばされるが、悪霊は次第に声が掠れ文字通り霧散していく。やがて悪霊が完全に消滅すると宝石は輝きを失い、静かに地面へ落下。
(今の…叫びは……)
後から落下した優はサイコブローによって気力を使い果たし、遠のく意識の中で受け身も取れずに背中から地面に激突。同時に頭部を強打してそのまま意識を失ってしまうのだった。
短くてすいません!