魔法少女リリカルなのは ~彷徨える妖精~   作:拳を極めし者

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それぞれの決意なの

〈なのは、起きてるか?〉

〈はい、まだ起きてますけど…なんですか?〉

〈今後、ジュエルシードを探すにあたって確認しておきたいことがある〉

〈確認…ですか〉

 

念話でマイルームにいるなのはへ語り掛ける優。

これは単なる暇潰しではなく、今後の方針を固め、なおかつ薄れかけていた緊張感を取り戻し、精神の安定を得るための話し合いだ。

 

〈ジュエルシードを追いかける限り、あの金髪のガキは必ずオレたちの前に現れる。これはわかるな?〉

〈…はい〉

〈じゃあよ、そうやってそいつと対峙した場合、お前はどうする気だ?〉

〈………わかりません〉

〈それはマジメに答えてんのか?〉

〈だって…わたし、まだあの子のことをなにも知らない…わかってないんですよ!〉

〈そいつのことがわかったらジュエルシードを諦めんのか?〉

〈そういうことじゃありません!でも…あの子のことを知らなくちゃ、きっとわたし…次の一歩を踏み出せない気がするんです…〉

〈だったらそいつと話し合えよ〉

〈〈………〉〉

〈え?〉

〈ん?〉

 

なのはは自分の意見が否定されるものという前提で話しており、予想外の優の返答に一瞬だけ思考回路が停止してしまった。

 

〈ど、どうして?わたしてっきり…〉

〈そうでないとすっきりしねえんだろ?〉

〈言い出したわたしがこういうこと言うのもおかしいですけど………本当にいいんですか?〉

〈そうでもしなきゃお前はガキのことが気になって集中できねえんだろ?そんなんじゃ戦力になりゃしねえじゃねえか〉

〈う……〉

〈それによく考えてみればあいつの正体も目的もなんにもわかんねーしな。それでお前の悩みも解決できるなら一石二鳥だ〉

〈そ、それじゃあ…!〉

〈手伝ってやるよ、少しはな〉

優に否定はされても説得するか、もしくは説得できなければ1人で少女との対話に挑むつもりだったため、あっさりと協力を申し出る優に感極まるなのはであった。

 

〈だが、こっちにその気があってもあいつはないみてえだ。こないだと同じようにいきなり襲ってきたら話どころじゃねえぞ〉

〈言葉がダメなら行動で伝えます!〉

〈行動?なにする気か知らねえが、それもダメならどうする?〉

〈言葉と行動、両方です!〉

(……なにか考えがあるのか)

 

妙に自信たっぷりのなのはの宣言に頼もしさを感じた優は静かになのはを見つめ…

 

〈………本気なんだな?〉

〈はい、本気です〉

〈わかった。オレは説得が苦手だし、話し合いはお前に任せるぜ。暴れたらオレが抑えてやる〉

〈でもあの子、すっごく速いですけど…〉

〈たしかにけっこう速えが見えないほどじゃねえし、見切れないほどでもねえ。オレをナメんな〉

〈…わかりました。よろしくお願いします!〉

〈おう、任せとけ〉

 

話し合いをなのはに一任して自分はサポートに回ることを決意する。

こうして2人は金髪の少女への対処を決めたのだった。

 

(あの子とちゃんとお話ししなくちゃわたしは前に前に進めない…。だから次は絶対…!)

(まあ、極力戦わなくて済むようにオレもできる限りの努力はしなくちゃな)

 

ちなみにこれはのちにユーノへ伝えられ、事後承諾という形でユーノも(強制的に)方針に従ってもらうことになったとさ。

 

それから数日後の夜のこと。

夜の帳が下りて色とりどりの街灯が煌々と街を彩る時間、金髪の少女との再会の時は訪れた。


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