(弱点見つけたぜ!)
態勢を立て直して怪物へ向かっていく優。
〈なのは、アレの準備だ!〉
〈は、はい!〉
なのはに
「おりゃあ!!」
「グバッ!?」
左腕を真上に振り上げ、左足を伸ばして身体を開きながらのジャンプアッパーで腹部を殴り付けると、怪物は更に
「させるか!!」
擦れ違いざまに片翼をナイフで切り落とし、バランスを崩した怪物は体勢を立て直すことなく頭部から落下していく。
(やっぱりな!)
怪物は飛行する直前に両翼を展開していたにもかかわらず、飛び上がる瞬間以外は羽ばたかせていなかった。
それに違和感を覚えた優はその理由を推察し、飛行自体にほぼ使わなくても飛行の制御には両翼が必要であると即座に見抜いたのだ。
そして無論、先程切断した前足と同じように切り落とした片翼が3匹のヘビに変身したが、それを織り込み済みの優は難無くナイフの一振りでまとめて葬り去った。
『Mode change,Cannon mode.』
そしてついに作戦の最終段階…「なのはの封印」の時間だ。
「ディバイーーーン……」
砲撃形態と化した杖の先端に光が収束していく。
「グウッ…!」
「バスターーーー!!!」
飛行を維持できなくなった怪物は一直線に落下していき、不時着して地響きと土煙を巻き上げると、なのはが怪物に向けて構えていた杖から清浄なる封印の光が放たれた。
(よし!)
(これで!)
封印の光が怪物を目掛けて飛び、目前まで迫り来る。優もなのはもその光による封印の成功を疑う余地はなかった。
だがしかし、予想外の出来事とは当然ながら予想しないタイミングで起こるもの。その「予想外の出来事が起こる瞬間」は、正に今この時だったのだ。
「グブッ」
「「!?」」
怪物はなのはの放った光ではない
「え?あれ、なに?」
「こ、これは…」
〈なにがあったんですか!?〉
優となのはは確かに見た。
なのはの放った光が怪物に命中する直前、黄色い光に包まれた
「え…」
「………」
爆風が収まり、着弾点のクレーターを再び見つめると、そこには動物と石が姿を現した。
その動物は先程優たちが戦っていた、ジュエルシードに取り込まれて怪物と化していたネコ。
その石はなにを隠そう淡い輝きを帯びた青い宝石ジュエルシード。ジュエルシードはネコの上で揺蕩うように浮揚している。
しかしそこにあった……そして
〈…ユーノ〉
〈すみません!あともうちょっと…〉
〈お前がなのは以外に力を与えた奴はいるか?〉
〈……なのはだけです。ボクが関わったのはなのはの他にはいません〉
〈……そうか〉
優は着弾点を睨みながらユーノに確認を取ると、落ち着いた声で抑揚なく語り掛ける。
「お前、どこの誰だ?」
「………」
そこには大きな黒マントを羽織り、黒いハイレグのようなものに白いスカートを付けた服を着た、長い金髪ツインテールの少女がそこに立っていた。
優の繰り出したジャンプアッパーは、KOFシリーズに登場するキャラであるリョウ・サカザキの必殺技「虎咆」をイメージしています。