翌日の訓練中のこと……
「ユーノ、ちょっといいか?」
「はい、なんですか?」
「ジュエルシードのことで聞きてえことがあるんだが…」
「ジュエルシードですか?いちおう古文書は読んでるので、その範囲での質問なら大丈夫ですよ」
「そうか。じゃあ…」
優はなのはの自主練習の時間を利用し、ユーノに気になっていたことを質問することにした。
「ジュエルシードはおかしくなる前はどんな状態だったんだ?」
「後で調べてわかったんですが、中身を封じ込める宝石とそれを収める箱の両方に封印が施されていたみたいです」
「じゃあこないだみたいに単体で暴れたりするような状態じゃなかったってことか」
「はい、その通りです」
「暴れてたヤツを見る限りではこの世界に落ちた直後から暴れてたって訳じゃないみたいだが、なんか暴れ出す条件でもあるのか?」
「ジュエルシードはその性質から人や動物の負の感情を吸収する力を持っていて、それが一定値以上溜まるとあんな風になるようです」
「ふーん、じゃあそれまではどこにジュエルシードがあるかわかんねえみたいだな」
「そうでもありません。ジュエルシードはエネルギーの塊みたいなものです。核になっているあの化け物がエネルギーを生み出しているのである程度活性化すれば強いエネルギー反応を示して、上手くいけば暴走する前に確保することもできますよ」
「なるほど。その反応をなるべく早く見つけられれば手間が省けるんだな」
「そうできれば幸いなんですけどね。あ、そうだ。暴走する条件がもう一つあります」
「ほう、そりゃなんだ?」
「強い魔力反応に晒されるとより激しく暴れてしまうみたいです」
「より激しく?なんでだ?」
「それは……よくわかりませんでした」
「そうか。でもそうなるとあんまりお前やなのはに探させるのはあぶねーってことになるのか?」
「いえ。そうとう強い魔力反応が近付くか、そうでなくで直接魔力流を受けない限りはそうはなりません。どこにあるのかわからないジュエルシードに魔力流をぶつけるの至難の技だし、そんな危険な探し方をわざわざする気はありませんから」
「それなら一安心だ。いくらなんでもこんな広いところじゃ、しらみ潰しに探すしかねえオレ1人だったらぜってー見つけらんねえからな」
「確かになのはも探すことはできますけど、見つけるのはボクの役目です。それはボクに任せてください」
「おう、頼もしいじゃねえか。だったらそれはお前に任せたぜ」
「はい!」
ユーノともすっかり打ち解け、和やかな雰囲気で質問を終えると、2人はなのはの自主練習をゆっくりと眺めていた。
そして特訓を開始してから3日後、優たちはついに試練の時を迎えることとなる。