魔法少女リリカルなのは ~彷徨える妖精~   作:拳を極めし者

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妖精の見定めなの?

「ふう……」

「な……」

 

桜色の光が弾けて再び姿を現したなのは。その姿はとても一瞬で着替えたとは思えない、異様な姿だった。

白を基調としたドレス風の服、服に不釣り合いな金属製の青い籠手(ガントレット)のような袖、ツーサイドアップの付け根に結ばれた白いリボン。そして極め付きは機械じみたデザインに加えてなのはが先程見せた赤い宝石が先端の囲いに浮いた奇妙な杖だ。

まるで漫画かアニメのコスプレではないか。だがそんな野暮なツッコミもすぐさま頭の隅に追いやられ、目の前の事実に優は動揺する。

 

「これで信じてもらえましたか?」

(霊気じゃねえ、妖気でもねえ…。人のものとは全く違う気配…。これが…魔法…!)

「あ、あのー?」

 

なのはの奇妙な姿だけでなく、気配にも動揺する優。これまで感じたことのあるどのタイプにも当てはまらない、異質で異様な未知の気配だ。

 

(でも魔法っつっても思ってたのと全然違うな…)

「おみなえさーん?」

 

(あ、そういやユーノはさっき結界魔法が得意って言ってたな。軽く流しちまって忘れてたぜ)

「聞こえてますか?」

 

(その結界魔法とやらも魔法と言うには弱すぎて、元の世界で言えばせいぜい強力な魔術ってとこだな)

「ハロー?」

 

(そもそも、その気になりゃアンドヴァラナウトなしでも再現できるから論外だけどな)

「にーはお?」

 

ユーノの結界魔法はアンドヴァラナウトを使っている分非常に高速かつ強力ではあるが、効果自体はこの世の理から逸脱するほどのものではなく、その気になれば特別な準備もなしに再現できるものなど元の世界では魔法とは言わないのだ。

 

(…ってことはこの世界じゃ魔法は元の世界の魔術と同じくらいで、元の世界の魔法と比べりゃそんなにやばいもんじゃねえのか?)

「もしもし?」

 

だが、ただの人間が霊気でも妖気でもない人間とはかけ離れた気配に切り替わるというのは常識では考えられない現象だ。

 

(いや、こんな一部分だけ見て決め付けるのは危ねえな)

「おーーーい!」

 

(よし、じゃあ今度は実際に…)

「おみなえさん!!!!」

「うわっ!」

 

顎に指を当てて考え込んでいる優の顔を、なのはが強引に覗き込んで一喝。完全に自分の世界に入り込んでいた優は意識外からの咆哮(?)にビビって思わず声を上げてしまう。

 

「お、おどかすんじゃねーよ!」

「わたしの話を聞いてくれないからですよ!!」

「あ」

「で、どうですか?これで信じてくれましたか?」

「むぅ…それは…」

 

言葉が詰まり、答えに困る優。しかし数秒後にやっと口を開くと……

 

「だったら本当にお前が戦えるのか見せてもらおうじゃねえか」

 

なのはの言葉を信じ、その実力を見定める決心を固めたのだった。


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