新サクラ大戦 降魔世界大戦 乙女の血は紡がれて 第一部   作:魯竹波

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第二章 狼のように孤独な少女
第八話 お決まりの爆音と共に。


翌日

 

「全く、酷い目に遭ったよ…………口紅が未だにべったりと口について取れないし…………。」

 

日付が変わるまでいじめ…………弄られた後、ようやく寝ることが出来た。 

とは言え、朝起きるまで女装させられており、カツラや帯、袴は色々寝るのに邪魔だった。

 

「ま、とにかく女装やめて武道場に行こうかな」

 

優一郎は帯を解き、袴を脱ぎ捨て、支給された洋服(帝劇のモギリ服)に着替えた。

 

「……………これ、もうほぼ新次郎さんじゃん」

 

その顔立ちは中性的なので、真宮寺さくらだけでなく大河新次郎にもどことなく似ていたため、服を揃えたら結構似てしまうのだ。

 

「双葉おばさんにも言われたっけ………。

まあ、霊気の測定結果から間違いなく僕は父さん母さんの子供らしいけど………………。」

 

太正25年に李紅蘭によって開発された機械により、DNAではなく、霊気による親子関係の測定が可能となっていたのである。

 

華撃団の関係者の子女は6才の時にこの検査を受けるのが義務となっていた。

 

(ただ、妙なのは………………あや姉さんは詳細な結果が聞けなかったらしい……。

あやねはうちの子だ! の双葉おばさんの一言で終わったとか何とかで…………。)

 

「まあ、それはともかく。  もう行くか。」

 

 

 

 

武道場につくと。

 

「はあっ! やあっ!」

 

「えいっ! たぁーっ!」

 

既に撃ち合っている声が聞こえてくる。

 

「おはよう」

 

中には既にあやねと昭子がいた。

 

「おはよう。 優ち…………って何でやめちゃったの女装っ!」

 

「おはようございます。 

とても可愛らしくて似合っていたのに…………勿体ないです。」

 

「君達ね…………。 僕は男なんだけど。」

 

「知ってるよ。 可愛い男の子」

 

「存じております。  

大変可愛らしいので、男の方になれていない私も安心しております。」

 

「……………………。

あ、そうだ。  2人はここで何を?」

 

「あやねさんは剣術の朝稽古を。

私は薙刀の朝稽古をしておりました。

 

何分、私は体を動かさないと、すぐ太ってしまう体質なもので。」

 

「成る程ね。  じゃあ、僕も混ぜて貰って良いかな」

 

「?!  い、良いですよ。」

 

「じゃあ、まずはあたしからね。」

 

「うん、かかっておいでよ。」

 

 

 

 

「あや姉さんの癖は掴めてるから、楽なんだよね。」

 

「うう~っ!  もう1回っ!」

 

僅か5手で剣先を喉元に突きたてた。

 

「流石、海軍兵学校出身ね。」

 

「次は私が………………。」

 

「かかって来なよ  薙刀を相手にするのは初めてだから楽しみなんだよ………………ねっ!」

 

「ああっ!   離れて………下さいっ!!」

 

(ふむ………威力があるが、威力が足りない………。

やっぱり、胸が邪魔なのか…………って何考えてるんだ僕は…………。)

 

「そこぉっ!」

 

「わっ!」

 

カランカランと薙刀が地点に転がる。

 

「ま、参りました………。」

 

「ね、どうだったあたし達??」

 

あやねが付かさず聞いてくる。

 

「うーん。 昭子さんの機体は中距離系………支援役で、あや姉さんが確か、近接系………壁役だったよね」

 

優一郎は付かさず逆に質問した。

 

「はい。」

 

「昭子さんの動きは威力が充分出ていたし、支援役はタイミングさえ間違えなければ良いから、体術面ではあまり気にしなくても良いかも。

ただ、近接戦闘でもある程度は戦えるように、棒術を参考にした技を身につけてみるのは良いかもしれない。」

 

「………わかりました! ありがとうございます。」

 

「で、あたしは?」

 

「…………相手が僕だから、手を抜いてるでしょ無意識に」

 

「……………ギクッ」

 

「この先、僕の姿をした敵が出てくるかも知れない。

その時に、ソイツに対しても、或いは操られた僕自身に対してもそれでは困るよ。」

 

「………精進します 師匠」

 

「あの、あやねさんは優一郎さんの弟子なのですか?」

 

「そうだよ。 と言っても、北辰一刀流の太刀筋は双葉伯母様にならったんだけどね。」

 

「基礎に関わる部分は僕が教えたんだ。

双葉おばさんが匙を投げるほど、昔のあや姉さんは致命的にへたくそだったからね~。」

 

「ちょっと! へたくそって何よ~っ!」

 

「人間だ、誰かしら下手な物があるんだから、それくらい良いじゃないかっ! やめて叩かないで痛いっ」

 

「ほんと、お二人は仲睦まじいですね………。」

 

昭子は一瞬顔を曇らせた。

 

(……………??)

 

優一郎がその様子を見て不思議に思っていると

 

 

 

キキーッ!   ドォオオオン!

 

 

 

 

劇場の表玄関から凄まじい轟音が聞こえてきた。

 

「「紅蘭さん……………。」」

 

「ああ、紅蘭さんか…………。」

 

呆れて3人が表玄関に出ると。

 

 

「あ、あの、ここやはり大帝国劇場でおわしますよなぁ」

 

「母さんはほんと変わらないな」

 

黒焦げの女性と女の子がそれぞれ一人、立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




あやね………髪の色:茶  
容姿モデル:「はいからさんが通る」の紅緒(2017年の劇場版アニメ)

昭子…………髪の色:黒
容姿モデル:無し

この女の子…髪の色:白
容姿モデル:デレマスのアナスタシアの表情を厳しめにしてチャイナドレスを着せた感じ。

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