新サクラ大戦 降魔世界大戦 乙女の血は紡がれて 第一部 作:魯竹波
(おそらく、あれが帝国華撃団花組の霊子甲冑………僕はあれに乗って戦うことになるんだな。
多分、あの桜色の霊気は母さんの機体………あるいはあや姉さんの可能性もあるけど……。
とりあえず、僕に出来るのは…………。)
優一郎は少年を避難させにかかる。
「お兄ちゃん、あれは一体?」
少年が尋ねてくる。
「ああ、あれはね、正義の味方だよ。
黄金バットとか、ああいうのに近いやつ。」
ごまかした。
「かっこいいなぁ……………!!」
「でも、あれは秘密部隊だから、今日見たことは秘密だよ。
いいかな?」
「うん!」
「よし。 それじゃ、お父さんお母さんのもとにお帰り。」
「わかった! ありがとうお兄ちゃん!」
「じゃあね~!」
少年を見送るや、優一郎が戦場に戻ると。
「増えてるな…………。」
降魔が30体くらいに増えていた。
だが、4体の霊子甲冑は怯んでいない。
二振りの太刀…………大神一郎機と思われる機体と、一振りの太刀………恐らくはさくら機と思われる機体が降魔を牽制し、そこへつかさず、
一際、大きな光線が飛ぶ。
(なんだ、あの霊気は? 色んな気が雑じってるぞ………。)
その光線は桜色、藤色、山吹色の三つの霊気が雑じった妙なものだった。
太刀筋は北辰一刀流。
おそらくあやね機だ。
(父さん母さんの子供だから、両親の力が混ざったからあんな変な色をしているのかもしれないな。
僕もあんな変な色だとしたら…………嫌だなぁ。)
だが、その光線により、降魔のうちの中央の10体を粉砕した。
つかさず薙刀をもった機体…………昭子機が薙刀の刃先に円盤のような紫色の塊を次々と作り出し、次々と放っていく。
円盤のような塊の気は、回転しながら降魔の頭を次々と両断していき、8体くらいが消えていく。
残りは12体。 華撃団は残敵掃討に移った。
4機は隊列を崩すことなく、次々と敵を葬っていく。
すると、大神一郎機が見覚えのある動きをした。
(あ、あの動きは?!)
その動きこそ、まさしく、蒸気甲冑の演習にまざった時に乗っていた機体に身をまかせて菊原の機体に放った一撃だった。
(あの時、乗せられた機体は…………父さんの機体だったのか…………。)
程なく、降魔30体は跡形もなく壊滅した。
すると、4人は機体から降りてきた。
「やっぱり、父さん達だったんですね!」
優一郎は4人に駆け寄っていった。
「まさか、優一郎が行った方に敵が出現するとは思わなかったけどね。
とにかく、あの少年共々無事でなによりだ。」
「はい。 そして、これが………。」
「ああ。 霊子甲冑・光武だよ。
ところで、不安は払拭出来たかい?」
父親の問いに。
「はい! もうすっかり。」
優一郎ははっきりとした頷きで返す。
(むしろ、僕が出て大丈夫なのかと思えるくらい、父さん母さん、あや姉さんや昭子さんは強い。
僕の不安は杞憂だったようだ…………。)
「ちょっと、まさか、優ちゃん、あたし達に不安を感じてたってこと?!」
あやねがつっかかる。
「し、仕方ないじゃん。 だって女の子が武芸を習うならまだしも、戦うって、あまりにも非現実的だったからさ!
いくら、母さんがそうだったとは言え…………。
けど、もう大丈夫だから。 むしろ、2人について行けるか心配なくらいだよ。」
「なら良かった。
ただ、もし、遅れを取ったとしても、あたし達に頼ってくれてもいいからね。
あたしが優ちゃんに、幼い頃、頼ってきたように。」
「あや姉さん…………。」
「それじゃ、これからよろしくね。
優ちゃん。」
「よろしくね。
あや姉さん、昭子さん。」
「は、はいっ。」
慌てて昭子も返事し返す
「さて、いつものやつ、やりましょう。」
「いつもの?」
「そうだね。 せーの」
優一郎以外の4人は、叫んだ。
「「「「勝利のポーズ きめっ!」」」」
(な、ナニソレ……………。)
そして、優一郎はそう思いながら、呆れつつそんな4人を眺めていた。
だが、彼の心の中では、この帝国華撃団でやっていくことへの希望が間違いなく大きくなっていた。
子供に人気なヒーローの変遷はこの世界と大差ありません。
黄金バット…………古いですねぇ