新サクラ大戦 降魔世界大戦 乙女の血は紡がれて 第一部   作:魯竹波

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色々バタバタしてまして………。


第四話 種明かし

「久しぶり…………です…………。」

 

「どうかしたか?」

 

「いや、その……………。」

 

「!?」

 

息子の、いや、あやねや昭子までもが揃いも揃って微妙な表情をしているのに気づいた一郎。

 

ふと、背後に立っている人物に気づいた。

 

「…………………あ」

 

「まったく、あなたのそうやっていっつもすぐ飛び出していくのは若い頃から全く変わりませんね。」

 

呆れながらも強烈な殺気を発している、その人こそ

 

「飛び出していく勢いで支配人室に散らばった食事を誰が片付けると思っているんですか?!」

 

優一郎の母親、真宮寺さくらである。

 

髪型や服装、雰囲気、そして口調も年相応に落ち着いており、嫉妬深さも結婚後は鳴りを潜めていた(?)が、その恐ろしさだけは磨きがかかっていた。

 

「ご、ごめん………。」

 

「まあ、あなたのそういうところ、あたしは好きですけどね」

 

苦笑してみせた。

 

(こ、怖っ 双葉伯母さんに迫りつつあるな………。

父さんが母さんとくっついたのは案外、そう言うところが似………)

 

「…………優一郎さん、今、何を考えていました?」

 

「い、いえ。

久しぶり………です……………母さん」

 

優一郎は声を絞り出した。

 

(す、鋭い…………。)と思いながら。

 

「海軍兵学校に入って以来だったかしら

あの頃よりも随分大きくなって………。」

 

「はい!  でもなぜか、早期卒業扱いを受けてここに居るのですが…………。」

 

「それについては、俺が説明するよ。」

 

「そうですね。  後はお願いします。」

 

「ついてこい、 優一郎。」

 

「は、はい…………?」

 

(やはり、父さんが呼び寄せたのか。

軍人が劇場支配人なんておかしいとは思っていたけれど…………

ただ、妙だ。

父さんは身内贔屓で人を選ぶような人ではないはず。

 

新次郎さんや昔の加山さんといった例外はあるけども………。)

 

怪しみながらも優一郎は支配人室までついていく。

 

 

 

 

 

「………………うわぁ」

 

支配人室に入ると散らばった食事が目に入る。

 

「そっ、それは気にしないでくれ………。

それだけお前の到着を待ち侘びていたんだよ。」

 

「…………………。」

 

微妙な空気が流れた後で。

 

「さて、まず、俺の上にある表額を見てくれ」

 

「帝国歌劇団……………大帝国劇場支配人ですから、普通では」

 

「…………お前の配属先は大帝国劇場・帝国華撃団花組だろう?」

 

「はい。 表には歌劇団、裏には華撃団。

そういう秘密組織があるんですよね?」

 

(あや姉さんが歌劇団、僕は華撃団、そういうことだろう

 

 

どんな人が仲間なんだろう…………。)

 

「物分かりが良いな。   

俺の時は大分戸惑ったものだけれど。」

 

「…………え?」

 

「お前の言うとおり、帝国華撃団花組は帝国歌劇団花組でもあるんだ。

帝国歌劇団花組の女優達は、帝国華撃団花組の隊員でもある。

大神優一郎少尉!」

 

急に真面目な顔つきに戻る大神一郎。

 

「は、はっ!」

 

「貴官には帝国華撃団花組隊長見習いとして、霊子甲冑・光武に乗り、花組の隊員の皆の戦闘の指揮を執ってもらう。」

 

「はっ!…………………え?  えっ!?」

 

(………戦闘?  花組が? あの2人も?

霊子甲冑が蒸気甲冑に類するものであるということ以外、まるで話しが分からないぞ…………。)

 

戸惑いを隠せない優一郎。

 

「どうかしたのかい? 蒸気甲冑に乗ることだけは知らせておいた筈だけれど。」

 

「いえ、まず、花組が戦闘とは?」

 

「そのまんまの意味だよ 花組の女優達…………あやねや昭子くん達を率いて、帝都の闇と戦うということさ」

 

「え……………」

 

(ちょっと不安すぎるぞ……………。)

 

優一郎は顔から不安を隠せない。

 

「不安そうだね。

彼女達が戦えるのか。 

若しくは、優一郎、お前自身のの問題かい?」

 

「はい。 どっちもです

それに、女優業と戦闘員を兼業するなんて、負担が大きすぎるのではありませんか?」

 

帝国歌劇団花組は、1945年を最後に戦闘要員が大神一郎・真宮寺さくら夫妻しか残っていない状態に追い込まれており、今日(1952年4月)に至るまで、女優業と戦闘要員を兼務する人材は、花組には不在だった。

 

乙女組・奏組が機能していたのと、難敵が現れなかった為にそれでも問題はなかったのである。

 

「それは心配いらないよ。 

二人には既に実戦経験を積ませてあるし。

霊子甲冑の操縦なら、彼女達に一日の長がある。

 

お前に関しても…………しばらくは俺が一緒に出るから、その時に経験を積んでいけばいいし、何よりも、お前は物覚えが良いから、すぐ二人をも追い越してしまうとも思う。

 

女優との兼業に関しては、米田さんの時はそうしてきた訳だし、難しいこともない。

 

ただ…………。」

 

「僕の、僕自身の問題ですね。」

 

「そうだ。 お前には、彼女達が命を預け得るに足るかどうか、まだ分からない筈だ。

 

だから、彼女達の強さを知って貰いたいと思う。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




年月を踏まえて大神一郎、真宮寺さくらの口調はいじってありま………力量不足ですゴメンナサイ 

さくらさんのはガチですが。

真宮寺さくらの容姿変化については、黒髪のあやめさん的な感じに近いのを想定しています。

大神さん?  想像におまかせします。

二人の中身は、やはりショウ劇場(4コマ)を多分に活用することになります。

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