新サクラ大戦 降魔世界大戦 乙女の血は紡がれて 第一部   作:魯竹波

11 / 12
第十話 己でさえも分からずに

一方、麗華

 

(何故なんだ  何故なんだろう

何故、私はここまで苛立ってる??)

 

自分でも分からずに苛立ち、その苛立ちを優一郎達にぶつけてしまった。

 

男嫌いではあったが、ここまで拒絶反応を起こしたことはない。

 

冷静になった今、何故ここまで自分が苛立っているのか、分からないでいた。

 

「麗華はん! ちょっと聞いてくれへんか!」

 

「済まない母さん 1人にしてくれないか

自分でも分からずに苛立ってるんだ…………。」

 

「…………。」

 

すると

 

「大分、落ち着いたかい?」

 

「大神はん」

 

「司令…………。」

 

大神一郎が来た。

 

「司令はやはり、私は皆と出撃しない方がよいと、そう考えていますか?」

 

「いや、そうは思わないよ」

 

「じゃあ、何故あの時、何も言わなかったのですか?」

 

「それは、麗華くんが戸惑っていたのが分かっていたからだよ」

 

「……………司令。」

 

「過去について、とやかく言う気は無いけど、麗華くんは男嫌いだからね。

優一郎にどう接したら良いか、分からなくなった。

そんな気がしたから。」

 

「………………おっしゃる通りかもしれません。

しかし、女の連中だけならともかく、私はあの隊長………優一郎と上手くやる自信がない。

私はやはり…………。」

 

「だったら、話し合って見れば良いじゃないか。

アイツは滅多に怒らないし、人の話をきちんと聞ける男だから、ちゃんと親身になって聞いてくれる筈さ。」

 

「ありがとうございます。 そうしてみようかと思います。」

 

「いや、良いんだ。 これも俺の役割だからね」

 

(………………いや、司令。

確かに、優一郎に警戒を感じない自分がいた。

あの中性的な顔。 穏やかな表情。

だが、それが自分の中で戸惑いを生んで本能的に拒絶反応を起こしたのかもしれないな。

 

ただ、なんとなく見えてきたが、それだけじゃない気もする。

何なのだ…………一体。)

 

やはり混乱は深まるばかりだった。

 

 

 

 

 

その頃優一郎達。

 

「今、振り返ってしまったならば、きっと私は貴方に付いていこうとしてしまうでしょう。

雛鳥が最初に見たものを親鳥と思うように………貴方は私にとっての………。」

 

さくらの主導のもと、台本の読み合わせを続けていた優一郎達。

 

「さらば愛しき人よ…………我らの夏はもはや過ぎ去っていったのだ……………ゲホッゲホッ………。」

 

優一郎は女装、加えて声を変えて話すことが求められていたので喉をそれなりに酷使することが求められていた。

 

「だ、大丈夫ですか………?」

 

「う、うん…………しかし、かなり無茶振りをするよね。 父さん母さんは」

 

「ごめんなさいね。  乙女組にもう少し霊力が高いのがいれば花組に昇格させられて良いのだけれど…………。」

 

「片や、音子さんなんか花組の霊力条件満たしてて、本人も花組加入要員として上京したのに、霊音が見られるとか何とかという理由で奏組だからね。 

世の中上手く出来てないよね。」

 

「そうなんだよね…………てか、昭子さん、上手すぎだよ!

普段と雰囲気がまるで違うもん」

 

「何言ってるの優ちゃん 昭子ちゃんは乙女組で首席だったんだから。」

 

「ど、道理で……………。」

 

「そ、そんなに褒めないでくださいな…………恥ずかしいじゃありませんか…………。」

 

「あ、いや、ごめん…………ついいつもと違う1面が見られたなと思ったからさ。」

 

「顔真っ赤だ………いつもの昭子ちゃんだね。」

 

「あ、そうだ。 何で2人はそんなに仲が良いの?

いくら2人とも乙女組出身だとしても、あんなに人数いたのに。」

 

「え?  あ、ああ………それはね………」

 

「さて、3人とも。 始めるわよ」

 

「「「は、はい!」」」

 

優一郎達の劇の練習は昼まで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。