IS -インフィニット・ストラトス- if   作:人食いムンゴ

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4月17日 朝

──教室────────

 

 

「織斑くん、おはよー。ねえ、転校生の噂聞いた?」

 

朝。席に着くなりクラスメイトに話しかけられた。

 

「転校生?いやー聞いてないな」

 

「なんでも中国の代表候補生なんだってさ」

 

「へぇー」

 

「私も聞いたそれー」

 

と話していくうちにどんどん俺の周りには女子が集まってきた。

 

女子はこういう情報は敏感だよな。流行にも敏感だし。

 

そして今度は中国か。

ほんとこの学園は国際色豊かだと改めて感心する。

ちなみにうちの代表候補生といえば。

 

「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら」

 

一組のイギリス代表候補生、セシリア・オルコット。

相変わらず、腰に手を当てたポーズが似合う。

 

「セシリア。このクラスに転入してくるわけではないのだろう? 騒ぐほどのことでもあるまい」

 

こちらの篠ノ之箒は腕を組み堂々した仁王立ちのポーズがよく似合う。

 

「まぁそうですわね」

 

頬に手を添えて、オホホホと言っている。

 

にしても、なんだかんだ二人が名前で読んでいることに感心した。仲が深まっているのは間違いないのだろう。

 

とりあえず、そのことはさておき、今は中国代表候補生の話だ。

 

「中国代表候補生か。どんなやつなんだろうな。一目は見たいよなー」

 

モワモワと頭の中に浮かび上がってくる一夏の想像の候補生。

と言ってもスリット深めのチャイナドレスを身に包んだ女子で、片手に銀色のお盆を持ってお盆の上には肉まんを持っているイメージ図。

 

俺的にはこのスリット深めというのがポイントだ。

チャイナドレスの魅力の一つといっても過言ではない。

 

「む……気になるのか?」

 

「ん?そりゃあ、どんな女子か気になるじゃん」

 

「………お前というやつは」

「一夏さ~ん!」

 

聞かれたことに素直に答えたら、箒とセシリアの機嫌が悪くなった。むすっという擬音がよく似合う表情をしている。

 

こちらは仮にも男子ですからな。

 

「今のお前に女子を気にしている余裕があるのか? 来月にはクラス対抗戦があるというのに」

 

「そう! そうですわ、一夏さん。クラス対抗戦に向けて、より実戦的な訓練をしましょ。

あ、相手ならこのわたくし、セシリア・オルコットが務めさせていただきますわ。なにせ、専用機を持っているのはまだクラスでわたくしと一夏さんだけなのですから」

 

『だけ』という部分を強調された。

なんだか箒にも似てきているような気がする。

 

再度クラス対抗戦について詳しく説明すると読んでそのまま、クラス代表同士によるリーグマッチのこと。

 

本格的なIS学習が始まる前の、スタート時点での実力指標を作るために行い、また、クラス単位での交流およびクラスの団結のためのイベントだそうだ。

 

「まあ、やれるだけやってみるか」

 

「やれるだけでは困りますわ! 一夏さんには勝っていただきませんと!」

 

「そうだぞ。男たるものそのような弱気でどうする」

 

「織斑くんが勝つとクラスみんなが幸せだよー」

 

セシリア、箒、クラスメイトと口々に好きなことを言ってくれる。

 

俺のクラスは十分団結力はあると思う。

こんな感じだし。

 

さらに言うと、やる気を出させるために、1位のクラスには優勝賞品として学食デザートの半年フリーパスが配られる。

この学食デザートはただのデザートではなくて、有名な一流パティシエ監修のものらしく、IS学園のために特別に作られたものらしい。

 

そりゃ、女子が燃えるのも頷ける。

 

まぁ、とやかく言われても、ここ最近はISの基本操縦でつまずいていて、とてもじゃないが自信に満ちた返事は出来ない。

 

セシリアの説明も高度な説明になってきてるのもあり、見て覚えるのにも限界に近づいている感じがする。

 

「織斑くん、がんばってねー」

 

「フリーパスのためにもね!」

 

やいのやいのと楽しそうな女子一同の気概をそぐわけにもいかないので、俺は「おう」とだけ返事をする。

 

 

「――その情報、古いよ」

 

 

ん? 教室の入り口からふと声が聞こえた。

 

なんか、すげえ聞いたことのあるような声……。

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」

 

腕を組み、片膝を立ててドアにもたれているその女子は

 

「中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ」

 

俺のセカンド幼なじみだった。


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