IS -インフィニット・ストラトス- if   作:人食いムンゴ

21 / 28
4月15日 朝

──学園校門前─────────

 

今日の篠ノ之箒は気分が絶好調だった。

 

一夏とデート♪ふふふ。

 

髪はいつものように緑のリボンを着けているが、白のレーストップスにネイビーのフレアスカートのコーディネートで大人っぽい雰囲気を醸し出す。

手にはフラワーパークのチケットを握りしめ、軽やかな足取りで校門前へと向かう。

 

一夏はというと少々行く準備に手間取っているため、校門前に先に行ってほしいと言われた。

言われた通りに行ってみると

 

「!?」

 

見覚えのある人物が、校門前に立っていた。

箒の表情からスゥーっと笑顔が消え、慌ててその人物の前まで行って確認する。

 

「オルコット!?」

 

「篠ノ之さん!?」

 

そこには同じくバッチリよそ行きの格好であろうワンピーススタイルのショートドレスを着たセシリアがいた。

向かい合う二人、沈黙が続く。

 

 

「奇遇だな。」

 

 

 

「えぇ全くですわ。」

 

 

 

また沈黙が続く。

 

 

 

「今日、私は一夏とデートなのだ。」

 

自信に満ち溢れた出で立ちと表情でアピールをしてそっぽを向く箒。

 

「生憎、わたくしも一夏さんとデートですわ。」

 

同じく自信に満ち溢れ…(以下同文)

 

 

 

「「!?」」

 

 

「今、なんと言った!?」

「今、なんとおっしゃいました!?」

 

そんな二人の険悪なムードをよそに気の抜けた雰囲気でやってくる一夏。

 

「おーい、お待たせ。いやー流石に三人分の飯を作るのはた……。」

 

「一夏!どういうことだ!」

 

「説明を求めますわ!」

 

怒り心頭の二人。

きっと言いたいことはわかる。どうして二人きりじゃないのかって、一夏的には二人の親睦を深めてもらうために誘ったのだ。

先に二人きりじゃないと言えば相手を断れなんだの言われるのは目に見えていたので、あえていることは言わなかった。

 

「二人にはいろいろ世話になってるし、今日は俺からの感謝の気持ちってことで

ほら、せっかく天気も晴れていいのに、二人の可愛い顔が台無しだぞ」

 

一夏の笑顔と合わせて二人を褒める。

 

「………なっ…ふん!」

「もう、一夏さんったら…」

 

箒はそっぽを向いて照れ隠しをして、セシリアは両手を頬に当てて恥ずかしがっていた。

 

 

(ふぅ。なんとかなったか…。)

 

 

─◯◯駅フラワーパーク前──────────

 

電車に揺られること30分程、フラワーパークのある最寄りの駅に到着して、フラワーパークまで歩いて目指す。

 

俺の左隣には箒。右隣にはセシリアといった並びで歩いていた。

積極的に話してくれるセシリア。俺のことについていろいろと聞いてくる形で話をして移動中の場を持たせてくれていた。

 

「一夏さんは休日はどのように過ごされてますの?」

 

「そうだなー。去年は受験やバイトとかで忙しかったから…。でも、暇なときは漫画読んだり、ゲームしたり、友達と映画観に行ったり、カラオケ、ボウリングとかしたりして遊んでたな」

 

「ビリヤードはしませんの?」

 

「ビリヤードか…そういえばしたことないな。でも興味はあるよ」

 

「なら、今度一緒にどうですか?」

 

「セシリア、得意なのか?」

 

「はい!」

 

「へぇー見てみたいな」

 

「セシリア・オルコットの華麗なテクニックを御見せ致しますわ」

 

手の甲を頬に添えてオホホホと言っている辺りが、絵に書いたようなお嬢様だ。

 

「箒は剣道以外なんかしてなかったのか?」

 

「私は…多少茶の心得については勉強していたな」

 

「へぇーお茶か。いいな。機会があれば飲ましてくれよ」

 

「ああ、いいぞ。特別に入れてやろう」

 

ふふっと笑みをこぼす箒。

 

可愛い。

 

「一夏さん、わたくしも紅茶なら嗜んでおりますのでよかったら是非」

 

セシリアも可愛い。

 

大事なことなので、もう一度言うが二人とも可愛い。

 

歩いている道中、周りから二人を目で追っている人が結構いる。

 

「うわー。あの二人ヤバくね?」

 

「足たまんねぇしブロンド美人。セレブ感が半端ないw」

 

「胸でけぇ…グラビアアイドルか?」

 

「俺、声かけよっかな?」

 

「バカ。真ん中に男がいるだろ」

 

そんな声があちこちから聞こえてくる。

これは男性の声だが、女性からの声も同様に聞こえてくる。

 

「スタイルすごい…。」

 

「読モとかしてるのかなー?」

 

「真ん中いる男子も格好よくない?」

 

「うんうん」

 

「美女と美男子…絵になるわー」

 

「隣にいるのはやっぱ彼氏かなぁ?」

 

その言葉に反応して俺の両隣にいる二人は、突然俺の手や腕を握ってきた。

 

その光景を見てか何処と無く感じる、嫉妬の視線。

そんな視線を感じるが、俺は優越感に浸って目的地へと歩いていった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。