IS -インフィニット・ストラトス- if 作:人食いムンゴ
──1025号室──────────
いやー楽しかった楽しかった♪
一夏は部屋へと帰還してベッドに寝転がっている。
「今日は楽しかっただろう。よかったな」
とげとげしい口調で箒が嫌味を言ってくる。
「箒は楽しくなかったか?」
「ああ、そうだな。全然!楽しくなかったな」
『全然』の部分をひどく強調された。今日のパーティー事態もいろんな女子と交流をしていたので、ほとんど箒と話すことが少なかった。
仕方ないと言えば仕方ない。
主催者の人達にもいろいろとお礼言わなきゃいけないし、箒だけ話していてもせっかく集まってくれた人にも申し訳ない。箒とは比較的にいつも一緒にいるし、たまにはこういった交流もよかった。
黛さんが撮った後は女子との写真大会みたいな感じでずっと女子と写真撮ったり、ビンゴ大会があったりとなかなか盛り上がっていた。
と、感慨に耽っていると突然枕が飛んできた。
「ぶべっ。――何しやがる!?」
「そ、それはこちらの台詞だ! 今から寝間着に着替えるのだから、むこうを向いていろ!」
あの下着事件以来、箒はわざとらしく俺がいる部屋で寝間着に着替えをするようになった。
「言っておくがな一夏――こっちを見たら許さんからな」
ギロッ。
これが毎度毎度の決まり文句。よくあるリアクション芸で『押すなよ押すなよ絶対押すなよ』という感じなのだろうか?
見ろよっ!と言っているようにも聞こえなくはないが、自ら地雷を踏みに行くようなことはしたくない。
ここは大人しく従っておくべきだ。
「わかったわかった。むこうを向けばいいんだろ」
とりあえず俺は体の向きをごろりと変える。
だけど、見たいのは見たい。
すごく。
「…………………」
「…………………」
衣擦れの音が聞こえてくる。
続いて、ぱさっとシャツを置く音が響く。
この、間仕切りの向こうで今、巨乳の女子が着替えている。
出来れば、あの下着に収まっている姿を拝みたいものだ。
だが、見えなくても以前目撃したシャワー上がりの姿やISスーツを着用していたときに浮き出る体のライン、落としていた下着。それらの情報を元に容易に箒の下着姿のことが想像できる。
恐るべき思春期パワー。
「い、いいぞ」
いつもの寝間着浴衣の姿だ。普段の髪を結んだ姿とは違う髪をおろした姿。
可愛いと言うより美しいのほうが表現として合っているだろう。
あれ?
「な、なにをジロジロと見ている。」
「帯変えた?」
腰に巻いている帯が昨日までのとは違うやつだったので、俺は何の気無しに指摘した。
「よ、よく見ているな」
「いや、色も模様も違うから、そりゃ気づくだろ。箒を毎日見てるからな」
「そ、そうか。私を毎日見ている……か。そうかそうか」
上機嫌で何度も頷いている。よほど嬉しかったようだ。
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「あ、そうだ。箒」
一夏はベッドから起き上がり、部屋の机に置いてあった長方形の紙を箒に渡した。
「これ、明日行かないか?」
箒は渡された紙を見ると『フラワーパーク 花祭り開催中』と書いてあるチケットだった。
ここは花をテーマにした施設で、この時期はチューリップや桜が見頃だとテレビで放送していたのを見たことがある。
「さっきのビンゴ大会で当たったんだ。」
「こ、これを私にくれるのか!?」
「あぁそうだよ。どうだ?」
「あぁ!行くぞ」
「よかった───なら、明日は8時半に出発しようぜ」
「な、なら早く寝ないと行けないな」
舞い上がる気持ちを抑え箒は自分の布団に入っていった。それに続いて一夏も布団に入って消灯。部屋は静寂に包まれた。
「一夏」
「ん?」
「さ、さっきは、その……なんだ。すまなかったな」
枕をぶつけたことに関してはだろうか。とりあえず、気にしていなかったので、気にしていないと一夏は答える
「そ、そうか。それなら、いい。……で、ではなっ」
「おう。おやすみ」
一夏とデート。
ふふ。楽しみだ。
箒は気分よく眠りについていった。