IS -インフィニット・ストラトス- if   作:人食いムンゴ

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4月11日 夜 その3

──同時刻 脱衣場 箒サイド

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箒は、風呂から上がり体を丁寧に拭きあげる。

 

(……。)

 

風呂から上がっても気持ちはスッキリとはしない。

 

(……。)

 

それは、セシリアとISに関してのことで、セシリアにますますリードを許してしまう可能性があるということが浮上してきたのだ。

クラス代表は、クラス対抗戦と呼ばれるクラス代表者同士で戦う模擬試合が行われる。

その試合があるので必然的に放課後はISの特訓をする時間が増える。

一夏自身も自分のISを早くものにしたい気持ちが伝わってくるので、特訓をしないという選択肢はない。

ということは今日のような状態が続くということだ。

 

ISのことに関しては、先程、一夏に言われたのもあって職員室にいた山田先生に声を掛けて訓練機の使用許可の申請を行った。

だが、山田先生から言われたのは訓練機の使用許可はすぐに降りない可能性があると言われたのが、非常に歯痒い。

 

(私も同じ土俵に立たなければ…。)

 

思考がぐるぐると頭を回る中で、着替えを置いた篭の中に入っている下着を探す。

 

(…あれ?)

 

肝心の下着が見当たらない。着替えの衣服を広げてみても、床を見てもどこにも見当たらない。

 

(確かに風呂場に行く際に持ったはず…。)

 

その記憶は間違いない。

だとすると、部屋に落としてしまった可能性が高い。

 

着替えの寝間着用の浴衣を着て、下着を取りに行こうと考えたが、ノーブラノーパンで部屋をウロウロと移動し下着を探す行動が箒にとっては、とても不埒な行動をしているようで抵抗があった。

 

だが、このままでは脱衣場から出られない。

 

(いったいどうすれば…。)

 

目に付いたのは壁に掛かっているバスローブ。

 

(せめて、これだけでも羽織っておいて…。)

 

バスローブを羽織り紐を縛る。

 

(こ、ここは不本意だが、一夏に声をかけて部屋に下着がないか探してもらおう。

あれば、脱衣場近くまで持ってきてもらえば……いや、待て待て!

それもそれで一夏に不埒なことをやらせているではないか!?)

 

脳内に過る。最悪なシーン。

 

『箒がそんなやつだったとは思わなかったよ…。俺はセシリアと仲良くするから。さよなら』

 

(い、嫌だ!そんなの絶対嫌だ!なんとしでも、それだけは避けたい!

だが、どうすればいい!落ち着け篠ノ之…ここは冷静に状況を判断だ。)

 

思い付いたプランはこうだ。

 

その1、箒自身もノーブラノーパンのバスローブの状態で鉢合わせるのは厳しいので、引戸を少し開けて一夏にはこちらに来ないで欲しいことを伝え、ベッドの布団に潜ってもらい周りが見えない状況を作ってもらう。

 

その2、一夏がいないかの周囲の確認を行い、下着が脱衣場前付近に落ちていないか確認する。

 

その3、あれば拾い着替えを行ってから一夏に大丈夫だと伝える。

 

その2で、もし、下着が周りになければ…。ここはやむを得ない。部屋を探すしかない。その際は一夏に釘を刺しておき、布団の中での継続を依頼する。

 

(そのプランしかない。やるしかない篠ノ之。)

 

いざ、引戸を目の前にすると酷く緊張した。

 

(落ち着け篠ノ之。大丈夫。)

 

自分自身に気合いを入れて引戸に手をかける。

 

(よ、よし!空けるぞ!)

 

ガラッ

 

「い、一夏すま…」

 

"ない"をいう前に、言葉が止まる。

脱衣場の引戸を開けた先にいたのは、下着で顔を埋めている一夏。

 

思考が停止する。

 

お互いが数秒間見つめあった後、箒の中から込み上げくる様々な感情。

 

 

「い、い、い、いち、いち、一夏ーーーー!!」

 

 

このあと、滅茶苦茶ボコった……。


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