IS -インフィニット・ストラトス- if   作:人食いムンゴ

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4月10日 放課後

試合は終わり天国の夢心地から一転して現在、千冬姉から大馬鹿者と言われお叱りの言葉を受ける。

 

「武器の特性を考えずに使うからああなるのだ。身をもってわかっただろう。明日からは訓練に励め。暇があればISを起動しろ。いいな」

 

「……はい」

 

頷く。頷くしかない。

勝てたかもしれない状況だったが、結局負けは負け。

しかも、クラスの中で大見得きった状態だったので、そう言われるのは間違いなかった。

 

「えっと、ISは今待機状態になってますけど、織斑くんが呼び出せばすぐに展開できます。ただし、規則があるのでちゃんと読んでおいてくださいね。はい、これ」

 

山田先生からは分厚い電話帳(IS起動におけるルールブックとは書いてある)を渡された。

これには愕然とする。

 

「なんにしても、今日はおしまいだ。帰って休め」

 

千冬に言われて一夏は重い腰を上げて、寮への道のりを歩いた。

 

 

―放課後―寮へと続く道――――――――――

 

「………一夏」

 

「ん、なんだ。」

 

箒と並んで歩いている一夏。黙って歩いていたが、先に話しかけてきたのは、箒からだった。

 

「その、なんだ…負けてくやしいか?」

 

「そりゃ、まぁ。悔しいさ」

頭の後ろに手を組んで歩き、空を眺めながら話す一夏。

 

「何故、あのとき勝負に躊躇した。相手は怯んでいた。勝機を見過ごすなど甘いぞ!」

 

一夏の進行方向を遮るように箒は前に出て強く叱る。

 

「まぁ、そうは言われてもぁ。怯えてる相手に武器振れないだろ。

俺、いじめるの趣味じゃないし」

 

「………それで負けていては意味がないではないか。ISに乗っているのはほぼ全員女だぞ!」

 

「ごもっともですけど…。」

返す言葉が見つからないとはこのことだ。

 

「私はお前の抱きついた行動に関しては納得していないからな!」

 

箒は見逃すわけがなかった。あんなムカつくやつとか言っていたのにも関わらず、ましてや戦っている最中だというのに抱きついているのだ。

一瞬、なにが起こったかわからなかった。

 

「いやまぁそれは……。でも、セシリアも正気を取り戻したからよかったじゃん。」

 

「全くお前というやつは!……もう、なんでもない」

 

しかし、箒の中では内心、一夏の助けた行動に関しては男らしいと賞賛していた。

あの状況の中で冷静に対処して、相手を見極めた技術。

圧倒的不利で無茶とも言える状況で助けようとする強い意志。

また、一夏のカッコ良さを再確認させられた───。

 

「なに、顔赤くしてんだよ」

 

「と、とにかく。あ、明日からはあれだな。ISの訓練も入れないといけないな」

 

「おお!ありがとな箒―――頼りにしてるぜ」

その言葉がよほど、嬉しいのか。しきりに髪をいじっている。長いポニーテールを絡めてはほどくを繰り返している。

 

「ふふ。一夏はほんとに私がいないとダメだな。」

 

───ほんとにズルいやつだ。と思いながら、満面の笑みを浮かべる箒であった。

 

 

 


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